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魅了する女王とは?
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「リアン様、よく寒い北国へ行くことを決意なさいましたね。『寒い時は暖炉の前が一番好き』って言っていますよね?」
「そうよ暖炉の炎を見ながら怠惰にゴロゴロするのは最高よ!ボーーッとしながら燃える炎を見つめるだけの作業が幸せ……」
アナベルがそんなの非生産的すぎますっ!とツッコミをいれる。
馬車の窓に雪の粒がカチカチと当たる。この寒さのなかでは、御者は大変だろう。後から暖かい部屋と温かい飲み物をとれるように手配しておこうと思った。
「まぁ、シェザル王国の女王陛下が私のことをご所望しているらしいから、受けてたとうと思ったのよ」
「決闘状をもらったみたいな言い方やめてください。友好関係を築きにいくのですよね!?」
「もちろんよ。相手が築きたくなくても築きに行くのよ」
「また含みのあるような言い方をして!」
フフフと私が笑う。アナベルが嫌な予感がしますと長年の付き合いゆえの予感を口にする。
「お嬢様、これをどうぞ」
水筒から湯気の出るお茶を注いでくれる。ちょうど時刻はいつものお茶の時間。
「アナベル、どんな時にもお茶の時間を設けて、準備してくれているの?」
にっこりと笑うアナベル。
「もちろんです。なるべく快適に怠惰に毎日をお過ごししてもらうのが、リアン様付きのメイドの役目だと思っています」
さすが仕事熱心なアナベル。でもお茶……出せない時は出さなくていいのよと思う私だった。最悪の場合、お茶がなくても怠惰に過ごせるってものよ。
「そういえばシェザル王国の女王は人を魅了する魔法が使えるんじゃないかっていう噂なのよ。例えばウィル……じゃなくても、他の男性が使節として行ったとしましょう?魅了されては困るわ」
「ウィル様が好きになったら困りますよね。ウフフ。なんのかんのとリアン様は陛下のこと想っておりますものねー」
「ちっ、違うわよ!これで外交失敗してしまったならば、国の損失でもあるものっ!」
アナベルがよーくわかっておりますよ。と意味ありげに私を見た。
「ちょっと!?ほんとなんだから!雪に閉ざされしシェザル王国の女王は美しく、流れるような銀の髪にアイスブルーの目は冷たいながらも氷のようにキラキラと反射する。美声を聞けば、どんな男もその声にうっとりするそうよ。別名『冬の魔女』よ」
「リアン様は本当に博識ですね。相手のことを調べていたんですか?」
「もちろんよ。相手のことを知るのは戦では基本のこと!」
「戦しに行くわけではないでしょう?」
「外交とは見えない戦なのよ」
「リアン様の考え方が、好戦的すぎます。ただ単なる楽しい女性同士のおしゃべりをしたいだけかもしれないじゃないですか」
「……だといいんだけどね」
そんな理由で私をわざわざ北の地へ来いというような女王ではないだろう。だいたい後宮から出て外交する王妃などあまりいない。私が影で国政に関わってると知ってのことかもしれない。油断ならない。
窓の外の白さを眺め、温かいお茶を飲みつつ、私は頭に思い浮かぶものがあった。
美しい雪の女王に魅了されたものは帰れないというおとぎ話を昔読んだことがある。氷の世界に閉じ込められ、男は氷の牢獄から一生でれない。ウィルがそうなったら困るわ。これってヤキモチの一種かしら?
……でもね。私なら私の熱量でその氷の牢獄すら溶かしてみせるわよ!いざ!北の地へ!!
「そうよ暖炉の炎を見ながら怠惰にゴロゴロするのは最高よ!ボーーッとしながら燃える炎を見つめるだけの作業が幸せ……」
アナベルがそんなの非生産的すぎますっ!とツッコミをいれる。
馬車の窓に雪の粒がカチカチと当たる。この寒さのなかでは、御者は大変だろう。後から暖かい部屋と温かい飲み物をとれるように手配しておこうと思った。
「まぁ、シェザル王国の女王陛下が私のことをご所望しているらしいから、受けてたとうと思ったのよ」
「決闘状をもらったみたいな言い方やめてください。友好関係を築きにいくのですよね!?」
「もちろんよ。相手が築きたくなくても築きに行くのよ」
「また含みのあるような言い方をして!」
フフフと私が笑う。アナベルが嫌な予感がしますと長年の付き合いゆえの予感を口にする。
「お嬢様、これをどうぞ」
水筒から湯気の出るお茶を注いでくれる。ちょうど時刻はいつものお茶の時間。
「アナベル、どんな時にもお茶の時間を設けて、準備してくれているの?」
にっこりと笑うアナベル。
「もちろんです。なるべく快適に怠惰に毎日をお過ごししてもらうのが、リアン様付きのメイドの役目だと思っています」
さすが仕事熱心なアナベル。でもお茶……出せない時は出さなくていいのよと思う私だった。最悪の場合、お茶がなくても怠惰に過ごせるってものよ。
「そういえばシェザル王国の女王は人を魅了する魔法が使えるんじゃないかっていう噂なのよ。例えばウィル……じゃなくても、他の男性が使節として行ったとしましょう?魅了されては困るわ」
「ウィル様が好きになったら困りますよね。ウフフ。なんのかんのとリアン様は陛下のこと想っておりますものねー」
「ちっ、違うわよ!これで外交失敗してしまったならば、国の損失でもあるものっ!」
アナベルがよーくわかっておりますよ。と意味ありげに私を見た。
「ちょっと!?ほんとなんだから!雪に閉ざされしシェザル王国の女王は美しく、流れるような銀の髪にアイスブルーの目は冷たいながらも氷のようにキラキラと反射する。美声を聞けば、どんな男もその声にうっとりするそうよ。別名『冬の魔女』よ」
「リアン様は本当に博識ですね。相手のことを調べていたんですか?」
「もちろんよ。相手のことを知るのは戦では基本のこと!」
「戦しに行くわけではないでしょう?」
「外交とは見えない戦なのよ」
「リアン様の考え方が、好戦的すぎます。ただ単なる楽しい女性同士のおしゃべりをしたいだけかもしれないじゃないですか」
「……だといいんだけどね」
そんな理由で私をわざわざ北の地へ来いというような女王ではないだろう。だいたい後宮から出て外交する王妃などあまりいない。私が影で国政に関わってると知ってのことかもしれない。油断ならない。
窓の外の白さを眺め、温かいお茶を飲みつつ、私は頭に思い浮かぶものがあった。
美しい雪の女王に魅了されたものは帰れないというおとぎ話を昔読んだことがある。氷の世界に閉じ込められ、男は氷の牢獄から一生でれない。ウィルがそうなったら困るわ。これってヤキモチの一種かしら?
……でもね。私なら私の熱量でその氷の牢獄すら溶かしてみせるわよ!いざ!北の地へ!!
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