【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?

花澄そう

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放課後の実験室

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「こっちの薬品とこっちの薬品を入れて……」

大きな魔法実験室で一人居残り勉強している私は、ふわりと湯気立つフラスコに集中して魔力をゆっくりと注ぎ込む。

「そして魔力で薬品を融合ゆうごうさせて……」

すると、ポンッと小さな爆発音が鳴って緑色に染まった湯気が天井に向かって飛んだ。
それを見た私はガックリとうなだれる。

「はあぁ~、また失敗!もうやだ……」
頭を抱えて、ついなげいてしまう。

「何度やっても駄目!やっぱり、魔力が少な過ぎて融合が上手くいかないんだろうなぁ……」

魔力を使えば使うほど、多少だけど魔力は増えて行く。
そんな当たり前の事実が、私にだけは例外のように感じる。

だって私は放課後、こうやってしょっちゅう居残り勉強をしている。
みんながショッピングをしたり友達と遊んでいる時間に。

なのに、いまだに成功しない。
ほとんどの人は授業を聞いているだけで成功するというのに。


この実験は、進級試験で必ず出るものだから、ここで成功出来ないなら来年もFクラスのままだろう。


焦りと苛立いらだちが胸を締め付ける。どうして私だけがこんなに苦労するのか、と自問自答を繰り返す。
一度深呼吸をして、心を落ち着かせようとする。


「もう一回だけ、頑張ろう」

なげいても成功しない!やるしかない!


その時、この教室にチャイムが鳴り響いた。
辺りを見ると、いつの間にかこの実験室が夕陽色に染まっていて、時計に目をやると、もう寮に戻らないといけない時間を指していた。

「もうこんな時間か……。今日は私が夕食の給食当番だっけ?」

今日も成功できなかった事に、残念さを隠せない。
私は大きなため息をついて机の上に広げたノートやプリントを片付け始めた。


その時――

どこからともなく、前方に黒っぽい大きな影のようなものが音も立てずに現れた。

その事に驚いて固まり、まとめていたノートとプリントを全部床に落としてしまった。

バサバサっという音に反応した黒い影は、こちらを見た。
鋭い眼光がこちらを向き、よく見ると人のような形をしている影に、更に恐怖が増す。

耐えられなくなった私は叫ぼうとしたけど、
「キ、キャ……っ!?」
すぐに何かで塞がれて不発に終わる。

「んぐっ!?」
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