【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?

花澄そう

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進級試験前

11

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上目遣いで言った私の言葉に、豆鉄砲でも食らったような顔をする。
その顔はだんだん困ったような顔に変わって行き……

「ああ、嫌いだ。お前なんか……」


そう言われて、息が出来なくなる程に胸が締め付けられた。
「……っ」

ついこの前までは大っ嫌いだったディオンに、面と向かって『嫌いだ』と言われる事がこんなにも辛いなんて、自分でも予想していなくて……戸惑いが隠せない。

涙がこみ上げそうな感覚が走った時、ディオンは、まるでそんな私の気持ちをフォローするかのような事を口走った。

「……でも、悪くねぇとこもある」

悪くない所……?
その言葉を理解しようと、頭の中で『悪くない』の言葉の位置を考えてみる。

嫌い<悪くない<普通<良い<好き

なんだ、結局ほぼ嫌いなんじゃん……


駄目だ……やっぱり泣きそうだ。

「じゃあこんな事するのは、私が嫌いだから腹いせに?」
そう聞くと、呆れたような顔をして、窓側に向かって大きなため息をついた。

「……お前さ、いつも思うけど、俺が男だって分かってんのかよ」


「えっ……わかってるに決まってんじゃん。どう見ても女の人には見えないよ」
めちゃくちゃ綺麗だけど。

「ちげーよ馬鹿。男だって意識してんのかって言ってんだよ」
男……。意識……?
どうしよう。ディオンの言いたい事がサッパリ分からない。

「全然わかってねぇって顔だな。お前が隙だらけで無防備なのは、俺をなめてかかってるからだろ」
なめてかかってる!?私が!?

「あんな風に顔近づけたり、俺の前でグースカ寝たり……」
「別に……なめてなんて、無いんだけど……?」

「いいや、お前はなめてる。ジョウガサキ・アランも……あの胡散臭うさんくさい顔が貼りついてるサオトメ・ロレンツォって奴に対してもだ!お前は警戒心が無さすぎんだよ!だからこんな事になるんだろ!自業自得だ!」

「本当に……なめてなんかないのに」
「お前、まだ意味分かってないな」

吊り上げた目のディオンは、私の顔よりも少し下側に手を伸ばして来る。

その手の角度的に、ネックレスを強引に取られてしまうんじゃ、という予感が走った瞬間――

なんと、ディオンは私の胸を掴んだ。
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