黒と堕天使

成瀬 海兎

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ミカヤ過去編

紅い戦争- deep red war -前編

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リオンの能力で倒された道化師だったが。
グチャグチャ
「痛いなー。さっきの雷野郎ガキはなかなか殺しがいあるかもしれないねぇー。」
一方ミカヤは。
「バーゼルトさん!ブラインさんが!まだリオンが戦ってるの!」
(ふっ、やっぱブラインじゃ負けたか。)
「お嬢ちゃん。つかまっておけよ。」
「え?」
同行していた魔術師に。
跳躍ハイジャンプの呪文かけてくれ」
「御意」
フワッと体の浮く感触とともにバーゼルトが力を込め地を蹴る。
「うわぁぁぁぁぁぁあ!!」
そして空を蹴り森へと直進する。
ミカヤは気絶しそうになりながら叫んでいた。
たまたま上をみたリオンは。
「あ?なんか飛んできてるぞ。ってあいつらか!?」
ドゴンッ。
衝撃とともに地面に着地。
「どうだ?楽しかっただろ?」
「殺す気か!!」
バーゼルトはアハハと笑う。
「なんだ?うるさいなぁ。」
道化師が奥から出てくる。
「アンタさっきの…。リオンは!?」
(こいつはさっきの逃げたから何も知らないのか)
「くっくっ死んだ…」
言い切る前に吹き飛ぶ道化師。
「誰が死んだって?」
リオンだった。
「くっ。小賢しいッ!」
「リオン!」
再開の喜びも束の間
道化師が取り出したのはロープ。
「!!」
ロープはしっかりとリオンの右足首を捕らえ固く結ばれた。
執念の縄ベンズロープ!」
「うぐっ」
「ハハッほどけないだろう。執念の縄は相手を憎めば憎んでいるほど固く結ばれる。貴様にやられた傷がお前を殺せと疼いているからな。」
そのままリオンをぐるぐると回しながら大木の方へと投げる。
「ガハッ」
ロープを繋いだままリオンを引きずる。
そして持ち手を木にかけた。
「リオン!」
リオンは気絶しているのか反応がない。
「ハハハハッ。やっといたぶれる。殺しちゃいけないなぁ。」
「オイ。」
バーゼルトが言う。
「あ?あぁここにも虫ケラどもがいたのか。」
「リオンを離してくれ。俺らの探索クエストの目的はお前じゃあない。」
交渉にでる。が、
「あ?俺はコイツを殺さなきゃ気が済まないんだよッ!」
するとバーゼルトが鼻で笑う
「仕方ねぇな。覚悟決めろよ。」
そう言い剣を前に構える。
「!」
猛スピードで道化師の場所まで突っ込む。
(み、見えねぇ。どうする!?)
焦りから出した道化師のナイフは容易く避けられバーゼルトの大剣で吹き飛ばされる。
「こんなもんか。」
続いてもう一発打とうと向かうと。
「おっと。これ以上は私がお相手しますよ。」
横からバーゼルトの大剣を受け止めたその男は。
「誰だお前は。」
「おやおや恐いですねぇー。私は演者ですよ。」
その演者がバーゼルトに一蹴り入れた。
「グオッ!」
(お、重いッ!蹴りがここまでとは…)
完全にバラバラにされた一同。
「ケッヒッヒ、これでこのガキを痛め付けれるなぁ。」
道化師は笑う。
「……げ…ろ…。」
「あ?」
リオンが微かに発した言葉は。
「逃…げろッ!」
「あー。まだ人のことを考える余裕があったんですねぇ~。」
ミカヤは下を向いている。
「まぁ確かにこんな小娘に何が出来るって話だもんなぁ?ねぇ?」
煽る道化師。
「おい何とか言ってみろよ。つまらねぇと切り刻むよ?」




一方バーゼルトは。
「ハァハァハァ。なかなかやるじゃあねぇか。」
「あら?こんなものでくたばってもらっても困るのですが。」
「冗談キツいぜ。この力もまだまだこれからよ。」
バーゼルトはギュッと固く拳を握る。
「こいよ。お前から。」
「いいんですか?このままだと終わってしまいそうで。」
「ハァーー。」
大きく息を吐くとバーゼルトは大剣を真上に投げた。
それと同時に前方へ走り込み拳を振るう。
「狂ったか?格闘技で私に勝とうなどと。」
そう言い演者と名乗るヤツはバールの様なものを持った。
「グオッ!」
それでバーゼルトの顔面を殴り付ける。
「こんなもので俺を倒せるとでも?」
煽り返すバーゼルト。
「調子にッ乗るなッ!」
ひょいと宙に浮かび上から降ってくる大剣を握り真下に下ろす。 
演者敗北者は誤算していた。
自分の体感では既に30秒は優に越えていた。
だが、バーゼルトはさっき投げた大剣を今受け取った。
(どう…いう…こと…だ…)
「ケッ。もうくたばったか。簡単だ。上げた大剣を止めていた。魔法でな。助かったぞブライン。」
「あぁ。」




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