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第九章 大会の賞品はEカップ?
第六話 ハーティア新公国の職員の皆様!一番上がこの人で不満はないんですか!?…ですよね…
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部屋の中に案内された私は…唖然とした。
「何よここ…部屋の広さが民宿の規模と伴ってないじゃない…」
ドアの開けてすぐのびっくりシャンデリア。
大理石の床に香木が贅沢に使われた家具に「ここまでデカい必要性無くね?」と言いたくなるようなベッドエトセトラエトセトラ。
「この部屋だけで建物の六割を占めています」
「ろ・く・わ・り!?」
意味ねえ…民宿の意味全くねえ…。
「この建物は民宿に偽装した我が国の…別荘のようなものですね」
「…別荘というよりアジトね…」
「アジト…ですか…。あまり良い言い方ではないみたいですが…」
…この人あんまり堪え性ないわね。誤魔化してるように見えるけど…言葉の中にイラつきを感じる…。
「そこの家具の下。反対側の壁の向こう。天井裏。窓のすぐ下…。全員で6人いますね」
あ、面白い。
ロザンナさん一気に顔色がかわったわ。
「窓のすぐ下の人は次第点をあげられるけど…あとはダメダメね。天井裏のなんかナイフを抜く音を響かせるようじゃ…」
アサシンや密偵の類いじゃなく…単なる衛兵ね。
「ロザンナさん。私と何を話したいかはわからないけど…この状態はあまりにも私に対して失礼じゃありませんか?」
ロザンナさんは口をパクパクしてる。
「警備上必要だ!…とか仰りたいのならご心配なく。そこの“刃先”がいればまず問題ないかと」
…竜の牙折り全員で一斉攻撃しても負けるだろうしね…。
話を向けられた“刃先”は肩を竦めた。
「…く!……良かろう…私は心が広い故にあなたの指摘を受け止めましょう…全員下がりなさい!」
自分で「心が広い」なんて言うかね…。
…あ、気配が遠のいていく。
…ん?
「…|≪偽物≫《イミテーション》」
ザスッ!
私は短剣を床に突き刺して言う。
「…私のすぐ下に来た理由はわからないけど…退散しないなら刺し通すわよ」
……しばらくして床下の気配も去っていった。
私が短剣を引き抜くと先端に少しだけ血がついている。
我ながら絶妙な刺し加減だったわ…と考えながら短剣を霧散させた。
「…これはあなたの指示ですか?それともあなたの配下の暴走ですか?」
「……許してくれ…私に対する忠節なのだ…」
…“刃先”は「我関せず」か…。
「わかりました…お互いに話し合う環境は整いましたね」
まだ若干顔色が悪いロザンナさんではあるが、気を取り直したようで。
「始めるとしましょう」
…私をまっすぐに見つめてきた。
「…えっと、つまり…」
「何か?」
「話を総合すると…私に挨拶がしたかった!以上!…で良かったですか?」
「総合しすぎる感もありますが…概ねその通りかと」
バカだ。
「あ~…今さらですが…例えば道すがら『そこにいるのはサーチさんじゃないですか、私はハーティア新公国の以下略。それではお見知りおきを』て感じの軽い挨拶でよかったのでは?」
…自分で自分の演技力の無さに嫌気がさす…。
「そのような庶民が使うフレンドリーな言葉使いを私にしろと!?無礼ではないか!」
…「フレンドリー」って言葉も充分に庶民的な言葉だと思うけど…。
「そうではなくてー…あのー…」
…言いにくい。
「つまり『そんなくだらん用事でわざわざ呼びつけるくらいなら、どこかで会ったりしたときに軽く挨拶するくらいでいい』と言いたいんだ」
いや、“刃先”の場合はフレンドリーを通り越して嫌みをぶっこんでるよね!?
「お、おのれ…!どこまで私を愚弄すれば…!」
ちょっとちょっと!
今のは“刃先”が完全に悪いからね!
「落ち着け。国のトップがこんなちんけな小娘に愚弄されたくらいで逆上してどうする…うお!」
ち、惜しい。
あと3㎝くらいだったのに。
「…お前…今どこを蹴ろうとした?」
「ん?急所」
「男を代表して言う。やめろ」
はいはい。
「ぷぷ…クスクスクス……ふう、こんな些細なことで怒ることが馬鹿馬鹿しくなりました」
あ、やっとクールダウンしたわね。
「見苦しかったですね…申し訳ありませんでした。サーチさん」
「…はい」
「我が国は女性の活躍を尊ぶ国。それは貴族だろうと冒険者だろうと関係ありません」
…?
「“刃先”に聞いていたとおり…いえそれ以上でした」
何が?
「サーチさん…あなたが大会史上初の女性優勝者になって下さい」
はあああああっ!?
…適当に言葉を濁して退散してきたけど…。
「…なんで私に『優勝しろ』なんてムチャを…」
「ハーティア新公国について何もしらないのか?」
「ていうか“刃先”!あんたがロザンナさんに変なこと吹き込んだんでしょ!」
“刃先”はまた肩を竦めた。
「ひどい言い方だね。言っておくけど俺は聞かれたこと以外は答えてないよ」
「え?そうなの?」
「…自分から面倒事に巻き込まれようとは思わない」
まあ…確かに。ロザンナさんに告げ口するって事は巻き込んでくださいって言ってるようなもんだし。
「…ハーティア新公国自体の問題だ。気になるなら自分で調べるんだな」
「…知ってるんなら教えてよ…ってあれ?」
いない。
「…なんてヤツよ…」
…今まで気づかなかった。
“刃先”は私についてきてるときから気配がなかったのだ。
「はは…“刃先”が出てないだけマシか…」
…とりあえず勝つより何より…。
生き残る…ていう大前提を一番大事にしないとね。
あーあ。
ホントにめんどくさい国ね…。
帝国内部では貴族が幅をきかせてるし。
かと思えば獣人至上主義を地で行く自治領はあるし。
…戦争中の相手国のトップがなぜか帝都に潜伏してるし。
「そうなんです!規模の大きな国はやっぱり面倒事が多いはにゃ!」
「あんたは~!いきなり人の思考に割り込んでくるんじゃないわよ!」
「す、すいませ~ん」
結構な荷物を抱えたエイミア。
ちゃんと頼んだことは果たしたみたい。
「ポーションは…かなり確保できたみたいね」
「バッチリです」
「あと情報は?何かわかった?」
「…ハーティア新公国のことですよね…」
…?
「どうしたの?浮かない顔して?」
「…はい…この国…変です」
変…でしょうね。
一番偉い人がロザンナじゃあね…。
「まあトップにかなり問題ありそうだから」
「そういうことじゃないんです!」
…?
「どういうことなの?」
「闇ギルドで新公国について調べてるときに気になったんですけど…要職についているのがなぜか女性ばかりだったんです」
「ふうん…珍しいって言えば珍しいけど…」
「そうなんですけど!何か引っ掛かってさらに詳しく調べてみたんです!そしたら、ほら!」
エイミアが私に何かの書類を見せてきた。
…新公国の税務関連の職員の名簿?
………。
…何よこれ。
「これ…ホントなの?」
「間違いありません」
この名簿には。
1人も男の名前がなかった。
「何よここ…部屋の広さが民宿の規模と伴ってないじゃない…」
ドアの開けてすぐのびっくりシャンデリア。
大理石の床に香木が贅沢に使われた家具に「ここまでデカい必要性無くね?」と言いたくなるようなベッドエトセトラエトセトラ。
「この部屋だけで建物の六割を占めています」
「ろ・く・わ・り!?」
意味ねえ…民宿の意味全くねえ…。
「この建物は民宿に偽装した我が国の…別荘のようなものですね」
「…別荘というよりアジトね…」
「アジト…ですか…。あまり良い言い方ではないみたいですが…」
…この人あんまり堪え性ないわね。誤魔化してるように見えるけど…言葉の中にイラつきを感じる…。
「そこの家具の下。反対側の壁の向こう。天井裏。窓のすぐ下…。全員で6人いますね」
あ、面白い。
ロザンナさん一気に顔色がかわったわ。
「窓のすぐ下の人は次第点をあげられるけど…あとはダメダメね。天井裏のなんかナイフを抜く音を響かせるようじゃ…」
アサシンや密偵の類いじゃなく…単なる衛兵ね。
「ロザンナさん。私と何を話したいかはわからないけど…この状態はあまりにも私に対して失礼じゃありませんか?」
ロザンナさんは口をパクパクしてる。
「警備上必要だ!…とか仰りたいのならご心配なく。そこの“刃先”がいればまず問題ないかと」
…竜の牙折り全員で一斉攻撃しても負けるだろうしね…。
話を向けられた“刃先”は肩を竦めた。
「…く!……良かろう…私は心が広い故にあなたの指摘を受け止めましょう…全員下がりなさい!」
自分で「心が広い」なんて言うかね…。
…あ、気配が遠のいていく。
…ん?
「…|≪偽物≫《イミテーション》」
ザスッ!
私は短剣を床に突き刺して言う。
「…私のすぐ下に来た理由はわからないけど…退散しないなら刺し通すわよ」
……しばらくして床下の気配も去っていった。
私が短剣を引き抜くと先端に少しだけ血がついている。
我ながら絶妙な刺し加減だったわ…と考えながら短剣を霧散させた。
「…これはあなたの指示ですか?それともあなたの配下の暴走ですか?」
「……許してくれ…私に対する忠節なのだ…」
…“刃先”は「我関せず」か…。
「わかりました…お互いに話し合う環境は整いましたね」
まだ若干顔色が悪いロザンナさんではあるが、気を取り直したようで。
「始めるとしましょう」
…私をまっすぐに見つめてきた。
「…えっと、つまり…」
「何か?」
「話を総合すると…私に挨拶がしたかった!以上!…で良かったですか?」
「総合しすぎる感もありますが…概ねその通りかと」
バカだ。
「あ~…今さらですが…例えば道すがら『そこにいるのはサーチさんじゃないですか、私はハーティア新公国の以下略。それではお見知りおきを』て感じの軽い挨拶でよかったのでは?」
…自分で自分の演技力の無さに嫌気がさす…。
「そのような庶民が使うフレンドリーな言葉使いを私にしろと!?無礼ではないか!」
…「フレンドリー」って言葉も充分に庶民的な言葉だと思うけど…。
「そうではなくてー…あのー…」
…言いにくい。
「つまり『そんなくだらん用事でわざわざ呼びつけるくらいなら、どこかで会ったりしたときに軽く挨拶するくらいでいい』と言いたいんだ」
いや、“刃先”の場合はフレンドリーを通り越して嫌みをぶっこんでるよね!?
「お、おのれ…!どこまで私を愚弄すれば…!」
ちょっとちょっと!
今のは“刃先”が完全に悪いからね!
「落ち着け。国のトップがこんなちんけな小娘に愚弄されたくらいで逆上してどうする…うお!」
ち、惜しい。
あと3㎝くらいだったのに。
「…お前…今どこを蹴ろうとした?」
「ん?急所」
「男を代表して言う。やめろ」
はいはい。
「ぷぷ…クスクスクス……ふう、こんな些細なことで怒ることが馬鹿馬鹿しくなりました」
あ、やっとクールダウンしたわね。
「見苦しかったですね…申し訳ありませんでした。サーチさん」
「…はい」
「我が国は女性の活躍を尊ぶ国。それは貴族だろうと冒険者だろうと関係ありません」
…?
「“刃先”に聞いていたとおり…いえそれ以上でした」
何が?
「サーチさん…あなたが大会史上初の女性優勝者になって下さい」
はあああああっ!?
…適当に言葉を濁して退散してきたけど…。
「…なんで私に『優勝しろ』なんてムチャを…」
「ハーティア新公国について何もしらないのか?」
「ていうか“刃先”!あんたがロザンナさんに変なこと吹き込んだんでしょ!」
“刃先”はまた肩を竦めた。
「ひどい言い方だね。言っておくけど俺は聞かれたこと以外は答えてないよ」
「え?そうなの?」
「…自分から面倒事に巻き込まれようとは思わない」
まあ…確かに。ロザンナさんに告げ口するって事は巻き込んでくださいって言ってるようなもんだし。
「…ハーティア新公国自体の問題だ。気になるなら自分で調べるんだな」
「…知ってるんなら教えてよ…ってあれ?」
いない。
「…なんてヤツよ…」
…今まで気づかなかった。
“刃先”は私についてきてるときから気配がなかったのだ。
「はは…“刃先”が出てないだけマシか…」
…とりあえず勝つより何より…。
生き残る…ていう大前提を一番大事にしないとね。
あーあ。
ホントにめんどくさい国ね…。
帝国内部では貴族が幅をきかせてるし。
かと思えば獣人至上主義を地で行く自治領はあるし。
…戦争中の相手国のトップがなぜか帝都に潜伏してるし。
「そうなんです!規模の大きな国はやっぱり面倒事が多いはにゃ!」
「あんたは~!いきなり人の思考に割り込んでくるんじゃないわよ!」
「す、すいませ~ん」
結構な荷物を抱えたエイミア。
ちゃんと頼んだことは果たしたみたい。
「ポーションは…かなり確保できたみたいね」
「バッチリです」
「あと情報は?何かわかった?」
「…ハーティア新公国のことですよね…」
…?
「どうしたの?浮かない顔して?」
「…はい…この国…変です」
変…でしょうね。
一番偉い人がロザンナじゃあね…。
「まあトップにかなり問題ありそうだから」
「そういうことじゃないんです!」
…?
「どういうことなの?」
「闇ギルドで新公国について調べてるときに気になったんですけど…要職についているのがなぜか女性ばかりだったんです」
「ふうん…珍しいって言えば珍しいけど…」
「そうなんですけど!何か引っ掛かってさらに詳しく調べてみたんです!そしたら、ほら!」
エイミアが私に何かの書類を見せてきた。
…新公国の税務関連の職員の名簿?
………。
…何よこれ。
「これ…ホントなの?」
「間違いありません」
この名簿には。
1人も男の名前がなかった。
応援ありがとうございます!
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