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第十章 優勝すればEになる?

第二話 ルーデルとデートをすることになり………まあ良いのかな………ですよね…

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「…そういえばさ……」

「…な、なんだ?」

「あんた何で帝国にいるの?」

「あ、あー…例の『過去を辿る』ってヤツさ…昔に闘武大会を見に来たことがあったから」

あー、そうだったわね。
下手したら女の子に逆戻り!…の状態はまだ解消されてないのね。

「………」

「………」

焦れったいわね。

「……………で?」

「……ん?」

「どこへ行くの?何をするの?何をしたいの?」

「え!?ええ……と……」

「………」

「…何も考えてなかった」

…ダメだこりゃ。


昨日の話がそのままトントン拍子で進展し。
今日は朝からルーデルとのデートと相成った。
けど…。

「………」

…こいつ顔を真っ赤にしたまんま俯くばっか!全然しゃべりもしない!
あんだけ喜んではしゃぎ回ってたんだから、少しは計画を立ててるのかと思えば…。

「………」

それも無し。
まっったく!初めてデートする思春期の子供かっつーの!ABすっ飛ばしてヤることヤってんだから今さら恥ずかしがるな!

「………」

…とも言えないのよね。
一応前世を含めても初めてのデートなのは私も同じなのだ。
…ホントはリードしてほしいんだけど…仕方ない。

「案が無いのなら私の買い物に付き合いなさい」

「はえ?」

「はえ?じゃないわよ。行くの?行かないの?」

「お供させていただきます」

…こいつ…余裕があるのかないのかわからん…。 

「わかったわ。ただおもいっきり荷物持ちやってもらうからお願いね」

「任された!」

よしよし、その調子よ。


「…ここかよ…」

今、私達は。
武器屋の前に立っている。
そう、デートなのに。

「買い物に付き合ってくれるんでしょ!?つべこべ言わない!」

「いや、そうじゃなくて…」

…何なのよ。

「色気もくそもないな…」

うるさい!


「この投げナイフいくら?」

「銀貨1枚と銅貨5枚だな」

「えー!!ちょっと高くない?少しくらいオマケしてよオマケ」

「あぁん?これでも安い方だぞ」

「ん~…じゃあさ、何本かまとめ買いするからさ。だからオマケして!」

「うーん…」

私が武器屋の店主と値段交渉をしている間に、ルーデルも武器をアレコレと見ていた。

「ルーデルも買うの?」

「ああ。もう呪剣士じゃなくなったんでな」

あ、そういえば暴風回廊ゲイルストームの一件の時に、男の身体に戻れた反動で職業もリセットされちゃったんだっけ。

「じゃあ今の職業は?」

「騎士」

あら意外。

「じゃあ今度からは槍を使うの?」

「騎士の武器は槍ばかりじゃないからな。今は短槍を使ってる」

短槍かあ。なら馬上戦より地上戦をメインにするのね。

「短槍にちょうどいい素材あるけど使う?」

「え?何があるんだ?」

「いつぞやの竜の爪が魔法の袋マジックバッグの底に残ってたのよ。短槍2本分くらいあるからさ、あんたにあげるわ」

そう言って竜の爪を店主に渡し。

「これで短槍2本作って。柄とかの素材は任せるからさ」

「竜の爪かい。こりゃ上等な爪だな…2ヶ月待ってもらえればいいモノが作れるぜ」

2ヶ月…ちょうど大会が終わるくらいか。

「わかったわ…ルーデルは大丈夫?」

「あ、ああ。俺は大丈夫だ…代金は?」

「まだいくらとも言えんな。武器の受け渡しの時でいいぜ」

「わかった…ただ魔法の契約マジックチェックは頼むぜ?」

「あいよ」

魔法の契約マジックチェックというのは…読んだままの意味。今回は貴重な竜の爪を預けるので、武器屋側が持ち逃げしたりしないように魔術的な契約を結んで戒めをしておく…という意味合いになる。
この世界では一般的なことだ。
ちなみにもし契約を破ったりした場合は…契約の精霊に一生つきまとわれることになる。結構地味な嫌がらせをされ続けるので、普通は契約破棄なんてバカな真似はしない。

「サーチいいのか?貴重な素材を…」

「いいのよ…(あんたの存在すら忘れてたことへのお詫びだし…)」

「…?…嬉しいんだが…すっげえ悲しい気分になったのは、なんでだろう…?」

…ムダに鋭い。

「気のせいよ気のせい。ていうか私からのプレゼント・・・・・・・・・が気に入らないのかしら?」

「そんなわけないだろ!嬉しいぜ!嬉しいよ!ありがとうな…」

…おい。何で私の頭を撫でる。

「いや、俺より低いヤツってなかなかいないうぐぉっ!」

うるさいっつーの!余計なこと言うな!
腹をおさえて店内で踞るルーデルを放置して私はカウンターへ向かった。


支払いを済ませて店を出ると。

「おおい!待ってくれ!」

何か喚いてるけどサクッと無視。

「待てっての!悪かったよ!俺が悪かったから!」

…無視無視。

「もう身長のことは言わない・・・・・・・・・・から!」

ツカツカツカツカ

「サ、サーチ…?うげえっ!」

「あんたにはデリカシーってモノが無いのか!!」

「ご、ごめ゛んな゛さい…」

「たく…次行くからちゃんとついてきてよ」

「は、はい…」


その後も…。

防具屋にて。

「おい、お前のバストじゃこのインナーはがばがばんぎゃあ!」

道具屋にて。

「お前…日焼け止めなんて今さら買ったってもう手遅れがほうっ!」

…食事中にも…。

「おい、口周りにソースがついてるぞ!ガキかってんだよ…あぎゃあ!」


……ルーデルのデリカシーのない発言は止まることを知らず…。
デートの終わりにも。

「…あんたさ…女の子に嫌われてない?」

「なんでだよ?」

自覚無しかよ!

「私に言ったようなことを、他の女の子に言ったりしたらダメだ!…てこと」

「え?サーチに言ったこと?」

…こいつ…天然か?

「だーかーらー…」

イライライライラ。

「あんた散々私に腹ど突かれたでしょうが!」

「あ、ああ!ああ!サーチに言ったのて…あー、そういうことね」

…ホントにわかったのか?

「いや、大丈夫だよ。あんなこと普通の女性に言うほど俺もバカじゃない」

「…ほおう…ならなんで私にだけ言うのかな…?」

「はあ?決まってんだろ。サーチだから・・・・・・言うんだよ」

「!」

「…ていうかサーチ以外に言うことはあり得ないよ」

「………」

ゆ、油断した!
ルーデルがこんな不意打ちをしてくるなんて…!

「?…サーチ何で赤くなってんだ?」

「ななな何でもないわよ!」

わ、ヤバい!耳が熱い…!

「おお~!サーチが照れてる~♪」

こ、こいつ…!

「やっぱり俺はサーチが一番かわむぐっ!」

…強硬手段ではあるが、ルーデルの口を口で塞いだ。

「………ぷはあ!…どう?ビックリした?」

「………」

あ。今度はルーデルが真っ赤になって固まってる。

「ふん。私に不意打ちしてきた罰よ!」

…なんか私ってルーデルという名の泥沼・・に嵌まって動けなくなってる気がする…。

それと。

「あんた達。最初から最後まで尾行してたことはわかってるんだから。そのままぶら下がってなさい・・・・・・・・・


「おーい!私が悪かったから下ろしてくれー!」

「何でこんなとこに罠が仕掛けてあるんですか~…お腹すきました…びえ~」

「…私完全な巻き添え…」


…朝まで叫び声が聞こえたけどスルーした。

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