上 下
279 / 357
第十四章 シリアスにDなんだぜ!

第十八話 このモグラ野郎、とんでもないスケベ野郎だった!!…そして黒幕もスケベ野郎?…ですよね…

しおりを挟む
サーチとリルが石化正座の刑に処せられてる間。
私は非常に困っていた。

「…あの~…」

ハッハッハッハッ

「…え~と…」

ハッハッハッハッ

「…どうしたら…」

ハッハッハッハッ

…目が覚めたらしい真竜マスタードラゴンは…。
私になついたみたいで…。
私の前で小っちゃな尻尾をピコピコ振って、舌を出したまま伏せをしていた。


「…というわけなんです」

…すっげえ簡単な説明どうも。

「…つまり…会話は欠片ほども成立してないわけね?」

「いえ。少しだけなら意思の疎通は図れます」

あ、そうなの?
ならやり方次第で会話が成立するかも…。

「おすわり!」

ハッハッハッハッ

あっ!座った!

「ふせ!」

ハッハッハッハッ

微妙なふせだな!

「…3回まわってワン!」

ハッハッハッハッ

…やらないわね。

「お手」

えっ!?

ハッハッばきっ

「ぶごおっ!」

やっぱり!その大きさのお手は単なる凶器よ!!

「エ、エイミア!?大丈夫なの?ねえちょっと!」

「………」

「…完全に入りました・・・・・ね…脳震盪を起こしてます」

…使えねえ。マジで使えねえ。

「だ、大丈夫…よね?」

「はい。|≪回復≫《リカバリー》ですぐに立てるようになります」

…ホッ。
たく、バカエイミア…。

「ヴィー、お願いね。今度は私が話してみる」

真竜マスタードラゴンが話せるかは、わかんないけど…。


「…はじめまして、真竜マスタードラゴン

ハッハッハッハッハッハッ!!

…犬じゃないの、こいつ。

「サーチ姉、私も話してみる」

リジーが?
そうね…意外なスキル持ってたりするしね、この娘。

「わかったわ」

「ん……はろーにーはおあろーははーい!めるしー」

何で知ってんのよ!!ていうか最後のは「こんにちは」じゃないからね!

ガルルルルルッ!!

「きゃ!めっちゃ怒った!!」

…でしょうね…普通ならナメられてるとしか感じないし…。

「…面目ない」

「……仕方ないわよ。じゃあまた私が…」

ハッハッハッハッハッハッ!

…?
ハッハッが増えてる…?

「リジー、もう1回近づいてみて」

「?…ん」

ガルルルルルッ!!

「…やっぱり怒る」

………。
今度は私が近づいてみる。

ハッハッハッハッハッハッ!

…まさか…こいつ…。

「ヴィー!ちょっといい?」

「はい?」

「ちょっと真竜マスタードラゴンに近づいてみてくれない?」

「?…はい…」

ハッハッハッハッハッ!

「…ありがと」

「??…はい…」

「リルもお願い」

「はあ?何がしたいんだよ?」

ガルル…ハッハッ

真竜マスタードラゴンの視線が、リルの上半身から下半身に移動したのを確認した。

「…オーライ…わかったわ…」

私はビキニアーマーのトップをずらしてみる。

ハッハッハッハッハッハッハッハッ!!!

「やっぱりそうだわ!こいつ私達の服の露出度に合わせて態度を変えてる!」

ビキニアーマーなので一番露出度の高い私。
比較的軽装で、胸ガバッ足スラッのヴィー。
胸ガバッだけど、それ以外は大人しめのエイミア。
ミニスカで脚線美はバッチリだけど、胸がないリル。
で、露出が苦手で全身を覆う鎧のリジー。
…上位ほど態度が露骨だったわね。

「なっ…!!こんのヘンタイ!!」

どごおっ!
ギャイン!

怒ったリルの右ストレートが炸裂!

「徹底的にお仕置きします!えいえいえい!」

バシバシバシバシ!
ギャンギャンギャン!

ヴィーの杖の連続攻撃も決まる。

「…不潔不服不道徳!」

ぶおん!どげしゃあ!
ギャイイイイン!!

リジーのラダー攻撃によって悲痛な叫びをあげる真竜マスタードラゴン。ていうかリジーも、よくあの梯子を振り回すわね。
…て私の番か。

「|≪偽物≫《イミテーション》!…超ルーレッカー!!」

どごごごご!!ずがしゃあ!!
ギャギャギャギャン!!ギャイイイイン…イイイン…イイン…イン…

…ふ。決まった。
ん?何?超ルーレッカーって何なんだって?
…チョイ捩ったんだよ!
別に竜が昇っていく拳を連続で出すわけじゃない。
ないったらない。

「けーおー!ゆーうぃん!」

「だから何であんたはそういうのを知ってるのよ!」

「………それは秘密です」

だから!
それもだよ!


完全にのびた真竜マスタードラゴン?をどうしようか…と、私達が話し合い始めた時。

『…誰じゃ、我が眷属なる土竜を袋叩きにしおった愚か者は…』

とてつもない威圧感を含んだ声が響いてきた。

「!?…リル、エイミア!何か感じる?」

「クンクン…うげぇ!ムリだぁぁ!!臭いがキツすぎで鼻がきかない!!」

「|≪電糸網≫《スタンネット》………あづっ!?だ、誰かに網を破られました!!」

『ほう…雷を網の目のように張り巡らせ、敵の位置を探るとは…中々に器用な真似をする…。いや、よく研究しておるの。感心感心』

…一度触れただけで、そこまで看破するとは…!侮れない!

「………」

なら、今度は私が探知してみる。
………斜め右側から何か来る…強烈な魔力の反応……これは…!

「みんな!そのモグラは真竜マスタードラゴンじゃない!今から現れるヤツが本物だわ!」

『そういう事じゃ。早とちりして我が眷属を叩くのは良くないのう』

…!!!
私は近くにいたエイミアを突き飛ばした。

「サーチ!?」

『中々良い反応じゃ。感心感心』

エイミアが元いた場所には、黒い外套を纏った何か・・が立っていた。
…気のせいかもしれないけど…こいつが出てきた時の手の位置って…おもいっきりエイミアの胸の高さだったような…。

「し、死神……じゃないですね…トカゲふがふが」

(バカ!間違ってもトカゲなんて言っちゃダメよ!!)

死神みたいなのは、竜のヒトガタ?が骸骨になったようなモノだった。

「ま、まさか竜人ドラゴノイド!?」

ドラゴノイド?

「リル。ドラゴノイドって何?」

「…今回はサーチが知らない事には驚かねえよ。なんせ私も見るのは初めてだ」

…私はヴィーに視線を向ける。
ヴィーは首を横に振った。
リジーとエイミアは…知るわけないか。

竜人ドラゴノイドはずいぶん前に滅んだ、って言われてる獣人だよ」

「滅んだって…どれくらい前?」

「さあな。私も昔話で聞いたくらいだし…確か新大陸で化石が出たって話を聞いたこともある」

化石ぃ!?

「…あの…あなたは何年前に亡くなったんですか?」

『我か?覚えておらぬ』

覚えてないときたか。
…一番の年寄りなら知ってるかな?

「……サーシャ・マーシャは知ってる?」

『サーシャ・マーシャ?……もしやハイエルフの小娘か?』

知ってるの!?

「そう、ハイエルフの女王!どんな知り合いなの?」

『知り合いも何も…我を殺したのは彼奴よ』

……………へ?

「あ…あんたを殺したのが…マーシャン?」

『…我は…元は魔王の配下にいたのでな』

え!?ええええっ!?
しおりを挟む

処理中です...