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第十五章 あまりに長くてCになっちゃう…

第九話 今回はリルがメインの修行回!………のはずだったんだけど?…ですよね…

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私は子供のころから、森で狩りをするのが好きだった。
他の子よりも早く身につけた≪身体弓術≫によって、猪や鳥を毎日狩っていた。
熊と遭遇して撃退したこともある。さすがに死ぬかと思ったけど…。
やがて婆様直々にシボられることになった私は、メキメキと頭角を表し。
気がついたら猫獣人の中でも、トップクラスの実力を持つまでに到っていた。

「本当にリルは強いな」

「もう私達じゃ歯が立たないわね」

「羨ましい限りだわ」

…何なんだ、こいつら?
嫌みか?嫌みなのかよ?
…さっきから私をヨイショしながらもゆっさゆっさ・・・・・・と揺らしやがって…!
私達猫獣人は、他の種族に比べても…デカいヤツが多い。
実際私の前にいる従姉妹連中も…デカい。
なのに私は…!いつまでたっても私は…!

「クソ!何でこんなにデカいんだよ!」

ぷにぷにっ

「あん!?ちょっとリル~…何すんのよ」

「ちょっと私によこせ!チクショウ羨ましい!」

「ちょっとリル!いい加減に……」「……いい加減にしろおおおっ!」

ごすっ!

「アニャア!?」

いて!めっちゃくちゃいてえ…!

「な、何しやがる!」

「何しやがる!…は私のセリフよ!寝ぼけて抱き着いてきたかと思ったら…!」

…んん?私の目の前には、相変わらず裸族のサーチが…。
…んんん?右手の柔らかい感触は…?

「だ・か・ら…!揉むなっつーの!」

ごめっ! 

「ミギャア!!…な、何で私がサーチに…!?」

「知るかっ!変な感触が、と思って起きたら…!あんたいつからこういう趣味に走ったわけ!?」

「ち、違う!寝ぼけただけで…」

「おはようございます……ってリル!?あなた何をしてるんですか!!」

ヴィー!?
一番見られたらマズい相手に…!

「あ、あなたという人は…!私の・・サーチに手を出すなんて!」

「ちょい待ち!何で私はヴィーのモノになってるのかな!?」

「…何はともあれ不届き千万!!天誅あるのみ!」

そういうとヴィーは手早く詠唱を終わらせて、聖術を放った……私に。

「…|≪洗濯≫《ランドリー》!」

「ま、待てよ!濡れ衣だ!私は悪くないがぼぼ、がぼ!あ、足が着かないニャ!!泳げニャいのニャアアアがぼぼぼ~…」

…こうして私の意識は暗転した。
…つーかよ、最近の私は…こんな扱いばっかじゃね?


「本当に申し訳ありませんでした!」

「私はいいんだけどね……リルが……」

ヴィーの|≪洗濯≫《ランドリー》によって、さんざん洗濯されたリルは…。

「リル!?しっかりしてください!リルー!」

エイミアにお腹を押さえられて、口から噴水を出していた。

「ヴィーはなんで私が絡むと暴走しちゃうかな~…」

「そ、それはその…ゴニョゴニョ」

…ま、いっか。

「ヴィー、きちんとリルを治療しといてね」

「はい、わかりました」

…さーて。
私は昨日の続きで…“竹蜻蛉”の練習といきますか…。


昨日までの旅館の中庭には、鉄の棒を振り回す私がいただけだったんだけど…。

「…むう…この術にこの組み合わせは、相性が悪いようですね…」

「せいでんきよ、私の手の内に集まれ~…えいっ!えいっ!」

…なぜか私の傍らで、聖術の研究に勤しむヴィーと、静電気の制御訓練に励むエイミアの姿があった。

「…あんた達は何をしてるの?」

「あ、はい。私は聖術同士を組み合わせる事によって、新しい聖術が出来るのではないかと」

「私は昨日ヴィーにかけられた聖術から、ちょっとヒントを貰いました!で、いろいろ試してました!」

…まあ…個々が強くなるのは悪いことじゃないけど…。
それより。

「…何で2人ともいつもより露出過多・・・・・・・・・なの?」

私の一言を聞いた瞬間、ヴィーとエイミアの間に火花が散ったのは…気のせい。

「「何でもありません」」

…じゃあ…。

「何でわざわざ私の近くで訓練してるの?…2人とも」

…再び、ヴィーとエイミアの間に火花が散ったのは…気のせい…だと思う。

「「気にしないでください」」

…やりにくいなあ…。 

「…おーい、サーチ!」

…ん?

「サーチ…ここにいたか。ちょっと付き合ってもらいたいんだが…ひう!」

…!?
な、なぜかヴィーとエイミアからオドロオドロしい瘴気が…!?

「な、何の用、リル?」

「あ、ああ…ちょっと技のヒントが掴めたから、練習に・・・付き合ってほしいんだが…」

…あ、リルの「練習に」の後、急に瘴気が消えた。

「あ、練習ですか…」
「付き合って、なんて言うから…」

…何の誤解をしたのよ、あんたらは…。

「…じゃあ場所変える?」

「あ、ああ…エイミア達の邪魔しちゃ悪いしな…」

「「え…」」

「…何よ」

「「な、何でもないです…」」

「ふうん……まあいいか。行こ、リル」

「あ、ああ…すまねえな」


「「………」」

「…行っちゃいましたね」

「…行きましたね」

「「………」」

「…ヴィー」

「なんですか」

「…負けませんよ」

「!…望むところです」

「サーチの一番の親友・・・・・の座は譲りませんよ!!」

がくっ

「な、何です?何故ズッコケたんですか!?」

「な、何でもありません……(この子は真性の天然なんだわ…)…私が望んでいるモノは、エイミアのそれとは違いますから…安心して下さい」

「え!?そうなんですか?」

「私はエイミアとサーチの友情に挑む気はあり・・・・・・・・・ません・・・から」

「…?…じゃあヴィーは、私と何を競っていたのですか?」

「え………ん~…ナイショです」

「え?ええ~…教えてくださいよ~」

「…じゃあ…今晩2人でガールズトークしましょうか?」

「あ、いいですね!じゃあ何か食べ物を摘まみながら…」

「わあ、いいですね!」

「じゃあ女将さんにお願いして料理を作ってもらいましょう!……ヴィーは何が好きでしたっけ?」

「特別好き嫌いはありませんよ」

「…あ!生卵の丸飲み!」

「…あ、あなたは…!私を何だと思っているのですか!!」

「ひえっ!?ご、ごめんなさい~…」


「…どうだったよ?」

「考え方はいいと思う。あとはタイミングの問題ね」

「そうか…何とかモノにしてみせるよ」

…リルもちゃんと考えてたのね。
でもこれがうまくいけば、リルもかなりパワーアップするはずだわ。

「…お?あ、あれ?」

「…ん?どしたの?」

「いや、あれ…」

リルが指差す先には、中庭で仲良く話すヴィーとエイミアの姿があった。

「…さっきまで殺気立ってたじゃねえか……ってなんだよ!」

「…………今ので笑えと?」

「ち、ちげえよ!たまたまだよ、たまたま!」

……スルーしてあげたほうが良かったかな?


「…でね、サーチったら…」

夜。
私はエイミアと約束通り、ガールズトークに興じている。

「…でね、でね、その時…」

嬉しそうに、私が加入する前のパーティの事を話すエイミア。
こうやって会話していると、本当にいい友達になれそうだ。

…だけど。
エイミアは要注意だ。
多分、エイミア自身は気付いていない。
エイミアが語っている時…サーチの話題になると・・・・・・・・・・更に笑顔に輝く・・・・・・・事に。

…まだ友情だと感じている間は良いけど…要注意だ。


「…なあ…」

「ふわあ…何よ」

「…最近、私の待遇が劣悪になってる気がするんだが…」

「はあ?何をわけわかんないこと言ってんのよ?明日も訓練するんだから。寝よ寝よ」

「ああ…何か釈然としねんだよな…」
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