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第六章 Dに復帰は水泳で
第七話 もうギルマスは呪いなのでしょうか…?…ていうか小人族が可愛いすぎるんですよね♪
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ハクボーン。
単純硫化水素泉という比較的珍しい泉質の温泉は、空気に触れると次第に白くなる。
ダウロやパンドラーネほど大規模な温泉地ではないものの、昔から近隣の貴族や豪商に愛され利用されている。
その名残もあって古くから続く老舗旅館が軒を連ねている…。
…なんて温泉の説明してると余計に入りたくなるじゃない!
あ。しまった。
とりあえずこれからどうする?てことを話し合ってたんだった。
…かなり現実逃避してしまった…。
「だけど!温泉入れないんじゃ意味ないだろ!」
「…そうなるとやっぱり…行くんですよね…」
「…行くしかないわね。私達は温泉入りに…もといダンジョンでの勇者の手がかりを調べにきてるんだから…」
あくまで建前なんだけどね。
…目の前に勇者エイミアがいるんだから手がかりもクソもないんだし。
「じゃあ行くってことで。まずは恒例のギルドに行きますか」
…これも恒例のギルマス女医さん化なんだろうけど。
「ここが…ギルドよね?」
「あ、ああ…地図を見る限りは間違いねえんだが…」
「私には一般的な家にしか見えないんですけど…」
うん、一般家庭の平均的な家ですね。
「リル…?」
「間違い…ない。番地も合ってるし道を間違えたってこともねえ…あ、ここに『ぎるど』って書いてある」
言われて見れば……確かに書いてある。ひらがなでいかにも子供が書いた字で『ぎるど』って。
「…か~わいい字ですねえ…」
エイミアが指先で『ぎるど』の字をなぞっている。
…なんでこんな仕草が絵になるのかな…エイミアは。
「あら?ボタンが…」
ピンポーン♪
…。
こっちの世界のドアチャイムの構造って何なのかな…。
「はいはーい…」
あ、誰か出てきた。
「あ、ぼうけんしゃのかたですね。ようこそぎるどはくぼーんしぶへ」
予想に違わぬお子ちゃまきたーーー!
「あー、ええっと…お家の方いるかな?」
「……まいどまいどおなじはんのうされるからなれなきゃいけないんだけど…」
?…何かブツブツ言ってる…?
「あー、おほん!ごかいのないようにおねがいしたいんですが…わたしおとなです」
「…はい?」
私はからかわれているのかな?
…これは付き合ってあげたほうがいいかな…?
「…ああ、わかりました!もしかして小人族ですか?」
「ぴんぽーん♪せいかいです♪」
なるほど、小人族か。
こっちの世界の小人族って小さい大人じゃなくて子供の姿のままで成長止まっちゃうのね。
「…ごめんなさい、とんだご無礼を…」
「いえ。よ~くあることなのでぜ~んぜんきにしてないですよ」
ぜっったい根に持ってるよね…。
「珍しいな。小人族が森の外に出るなんて滅多にないのにな」
「ん?ねこさんですよね?どちらのもりのごしゅっしんですか?」
「ホースバックの近くだ。お前は?」
「え!わたしもほーすばっくのちかくですよ!もしかしてたーみあさまのむらのかたですか?」
「ターミアは私の婆ちゃんだよ」
「まじですかーー!」
…どうやら同郷だったみたいね。
これは話が長くなりそうだから先に中に入ろ。
…正直ひらがなばっかで頭が痛くて…。
「リルー、先に行ってるわよ~」
「お?ああ、わかった。すぐに行くから」
「同じ森の出身なんでしょ?ゆっくりしなさいよ」
「…わりいな」
家の中に入ろうとすると。
「あ、ちがいます!そこはわたしのうちです!」
パタパタと小人さんが追ってきて。
「よいしょ!…こちらです!」
玄関の隣に置いてあった岩をスライドさせた。
「あ…階段あります」
…なぜこうなった?
「サーチ、深く考えるなよ。小人族は穴堀りが生活の一部なんだよ」
……いろいろとつっこみどころ満載だけど…スルーしよスルー。
まあ、下りてみますか…。
「「いらっしゃいませー、ようこそはくぼーんぎるどへ!」」
っっ広!
何よこの地下空間!
「ぎるどははじめてですか?」
…何か雰囲気に飲まれてる気がする…。
「ええっと。ギルマス…じゃなくてギルドマスターはいるかしら?獄炎谷のことで…」
「…もしかしてりゅうのきばおりのかたがたですか?」
そこまで御丁寧にひらがなかよ!
「…はい、竜の牙折りです」
「…しょうしょうおまちください」
そう言って小人族の受付嬢は国民的アニメのお子様の足音に近い音をたてながら走っていった。
…なんで足音があんなに可愛らしいのかしら?
「すいません、おまたせしました。ぎるどますたーがおあいになるそうです。こちらのへやへどうぞ」
そう言われて奥の部屋へ通される。
あ~あ…ついにご対面か…。
…どうか変態ギルマスの一族ではありませんように。
ギィ
…きた。
「やあ。きみたちがりゅうのきばおりのかたがただね。だうろとぱんどらーねのぎるどからはなしはきてるよ」
…女医さん化現象潰えたー!!
「よかった!よかったわね!」
「やっと正常なギルドマスターに巡り会えました!」
涙を流しながら抱きあう私とエイミア。
そんな姿を見たギルドマスターは目を点に…。
せずにすっっごく申し訳なさそうな顔をしていた。
……何よ……。
…すっっごく嫌な予感しかしないんだけど…。
「もしかして…きみたちのはんのうって…あのぎるどますたーがかんけいしてる?」
こくこくと頷く私とエイミア。
「……ほんとにもうしわけない。あのぎるどますたーのいもうとはぼくのつまなんです…」
……つまり義理の兄弟。
「…はう」
エイミアが倒れた。
…私も倒れたい…。
エイミアが緊急搬送された後、仕方ないので私がギルドマスターと話し合うことにした。
「…あらためまして。ぼくがはくぼーんのぎるどますたー、ぐういです」
「あのー、大変申し訳ありませんけど…」
「あ、ききとりにくいですか?申し訳ない…どうもホビット語の訛りが出てしまうんです」
普通に喋れるんかい!
…ていうかひらがなはホビット語訛りだったのね。
「こほん…話は聞いてみえるんですよね?なら獄炎谷について…」
「ダンジョンというよりも…温泉でしょ?」
く!見抜かれた!
「僕達としても温泉が水になってしまった原因を調べてもらえるなら助かります」
ニッコリと笑うグウイさん。か、かわいい。
「なら…あなた方のやる気が何倍にもなるような情報を提供しましょう」
やる気が何倍にも?
「…実は…獄炎谷の奥には…究極の秘湯があるという噂があるのです…」
単純硫化水素泉という比較的珍しい泉質の温泉は、空気に触れると次第に白くなる。
ダウロやパンドラーネほど大規模な温泉地ではないものの、昔から近隣の貴族や豪商に愛され利用されている。
その名残もあって古くから続く老舗旅館が軒を連ねている…。
…なんて温泉の説明してると余計に入りたくなるじゃない!
あ。しまった。
とりあえずこれからどうする?てことを話し合ってたんだった。
…かなり現実逃避してしまった…。
「だけど!温泉入れないんじゃ意味ないだろ!」
「…そうなるとやっぱり…行くんですよね…」
「…行くしかないわね。私達は温泉入りに…もといダンジョンでの勇者の手がかりを調べにきてるんだから…」
あくまで建前なんだけどね。
…目の前に勇者エイミアがいるんだから手がかりもクソもないんだし。
「じゃあ行くってことで。まずは恒例のギルドに行きますか」
…これも恒例のギルマス女医さん化なんだろうけど。
「ここが…ギルドよね?」
「あ、ああ…地図を見る限りは間違いねえんだが…」
「私には一般的な家にしか見えないんですけど…」
うん、一般家庭の平均的な家ですね。
「リル…?」
「間違い…ない。番地も合ってるし道を間違えたってこともねえ…あ、ここに『ぎるど』って書いてある」
言われて見れば……確かに書いてある。ひらがなでいかにも子供が書いた字で『ぎるど』って。
「…か~わいい字ですねえ…」
エイミアが指先で『ぎるど』の字をなぞっている。
…なんでこんな仕草が絵になるのかな…エイミアは。
「あら?ボタンが…」
ピンポーン♪
…。
こっちの世界のドアチャイムの構造って何なのかな…。
「はいはーい…」
あ、誰か出てきた。
「あ、ぼうけんしゃのかたですね。ようこそぎるどはくぼーんしぶへ」
予想に違わぬお子ちゃまきたーーー!
「あー、ええっと…お家の方いるかな?」
「……まいどまいどおなじはんのうされるからなれなきゃいけないんだけど…」
?…何かブツブツ言ってる…?
「あー、おほん!ごかいのないようにおねがいしたいんですが…わたしおとなです」
「…はい?」
私はからかわれているのかな?
…これは付き合ってあげたほうがいいかな…?
「…ああ、わかりました!もしかして小人族ですか?」
「ぴんぽーん♪せいかいです♪」
なるほど、小人族か。
こっちの世界の小人族って小さい大人じゃなくて子供の姿のままで成長止まっちゃうのね。
「…ごめんなさい、とんだご無礼を…」
「いえ。よ~くあることなのでぜ~んぜんきにしてないですよ」
ぜっったい根に持ってるよね…。
「珍しいな。小人族が森の外に出るなんて滅多にないのにな」
「ん?ねこさんですよね?どちらのもりのごしゅっしんですか?」
「ホースバックの近くだ。お前は?」
「え!わたしもほーすばっくのちかくですよ!もしかしてたーみあさまのむらのかたですか?」
「ターミアは私の婆ちゃんだよ」
「まじですかーー!」
…どうやら同郷だったみたいね。
これは話が長くなりそうだから先に中に入ろ。
…正直ひらがなばっかで頭が痛くて…。
「リルー、先に行ってるわよ~」
「お?ああ、わかった。すぐに行くから」
「同じ森の出身なんでしょ?ゆっくりしなさいよ」
「…わりいな」
家の中に入ろうとすると。
「あ、ちがいます!そこはわたしのうちです!」
パタパタと小人さんが追ってきて。
「よいしょ!…こちらです!」
玄関の隣に置いてあった岩をスライドさせた。
「あ…階段あります」
…なぜこうなった?
「サーチ、深く考えるなよ。小人族は穴堀りが生活の一部なんだよ」
……いろいろとつっこみどころ満載だけど…スルーしよスルー。
まあ、下りてみますか…。
「「いらっしゃいませー、ようこそはくぼーんぎるどへ!」」
っっ広!
何よこの地下空間!
「ぎるどははじめてですか?」
…何か雰囲気に飲まれてる気がする…。
「ええっと。ギルマス…じゃなくてギルドマスターはいるかしら?獄炎谷のことで…」
「…もしかしてりゅうのきばおりのかたがたですか?」
そこまで御丁寧にひらがなかよ!
「…はい、竜の牙折りです」
「…しょうしょうおまちください」
そう言って小人族の受付嬢は国民的アニメのお子様の足音に近い音をたてながら走っていった。
…なんで足音があんなに可愛らしいのかしら?
「すいません、おまたせしました。ぎるどますたーがおあいになるそうです。こちらのへやへどうぞ」
そう言われて奥の部屋へ通される。
あ~あ…ついにご対面か…。
…どうか変態ギルマスの一族ではありませんように。
ギィ
…きた。
「やあ。きみたちがりゅうのきばおりのかたがただね。だうろとぱんどらーねのぎるどからはなしはきてるよ」
…女医さん化現象潰えたー!!
「よかった!よかったわね!」
「やっと正常なギルドマスターに巡り会えました!」
涙を流しながら抱きあう私とエイミア。
そんな姿を見たギルドマスターは目を点に…。
せずにすっっごく申し訳なさそうな顔をしていた。
……何よ……。
…すっっごく嫌な予感しかしないんだけど…。
「もしかして…きみたちのはんのうって…あのぎるどますたーがかんけいしてる?」
こくこくと頷く私とエイミア。
「……ほんとにもうしわけない。あのぎるどますたーのいもうとはぼくのつまなんです…」
……つまり義理の兄弟。
「…はう」
エイミアが倒れた。
…私も倒れたい…。
エイミアが緊急搬送された後、仕方ないので私がギルドマスターと話し合うことにした。
「…あらためまして。ぼくがはくぼーんのぎるどますたー、ぐういです」
「あのー、大変申し訳ありませんけど…」
「あ、ききとりにくいですか?申し訳ない…どうもホビット語の訛りが出てしまうんです」
普通に喋れるんかい!
…ていうかひらがなはホビット語訛りだったのね。
「こほん…話は聞いてみえるんですよね?なら獄炎谷について…」
「ダンジョンというよりも…温泉でしょ?」
く!見抜かれた!
「僕達としても温泉が水になってしまった原因を調べてもらえるなら助かります」
ニッコリと笑うグウイさん。か、かわいい。
「なら…あなた方のやる気が何倍にもなるような情報を提供しましょう」
やる気が何倍にも?
「…実は…獄炎谷の奥には…究極の秘湯があるという噂があるのです…」
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