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快楽漬けの夜
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暗闇に沈んだ道を早足で歩く。背後になぜだか人の気配を感じ、振り返っては足を止めることを何度か繰り返した。
つけられている気がする。それはここ最近感じていることで、人の気配が常に絡みつくような感覚がある。
都内の大学に進学して3年。唯は大学のそばにワンルームを借り、一人暮らしをしていた。ゼミが始まり帰りは遅くなる一方で、0時近くに家につくことも日常と化している。一人暮らしの女子大生として防犯上良くないのはわかっていたが、仕方がない。毎日疲れた体を引きずって帰途へとついていた。
アパートのポストの前で、唯は一瞬足を止めた。しばらくためらうようにその場に佇んでいたが、思い切って自室の番号の刻まれたポストを開けた。心臓が嫌な音を立てて跳ねる。
中には案の定、宛先も差出人も書かれていない真っ白な封筒が鎮座していた。それを震える手でおそるおそる取り、たじろぎつつも封を開ける。
それはここ数日のことだ。盗撮したと思われる自分の写真が、何十枚と封筒に入って投函されていた。唯はその形の良い眉をひそめ唇を噛んだ。見たくなどない。どうせまた、自分の寝顔やら食事シーンやら気味の悪い写真が大量に入れられているのだ。
そう思いつつも、何だか目を通さないのも不安に感じ、見たいような見たくないような複雑な気分に苛まれる。結局、苦い顔で封筒から写真を取り出した時だった。写真に紛れ、一枚の便箋が突っ込まれているのに気づく。
緊張で自分の呼吸が浅くなるのを感じる。カタカタと震える手で、唯はそれを開いた。
『やっぱり会って話したい。待ってるね』
喉が締まり、狭まった気管からひゅうひゅうと苦しげな息が漏れる。瞬きすら忘れて、唯はその殴り書きのような達筆な字を穴が開くほど見つめていた。遅れて膝ががくがくと震え、手先が感覚をなくしているのがわかった。あぁ、自分は今尋常でないほど怯えているのだ。頭の片隅、どこか冷静な部分で、そんなことを考えている自分がいた。
――どうしよう。
一拍おいてようやく思考が巡り始めた時、頭に浮かんだのはそれだけだった。闇に沈んだ人気のない住宅街に、たった1人。今ここで1人で立ち尽くしていること自体が恐ろしく思えてならなくて、唯はとにかく歩き出した。恐怖から正常な判断などできるわけもなかった。携帯を取り出し、友人に電話しようとするも手元がおぼつかない。震える手ではロックを解除することもできなくて、唯は過呼吸を起こしそうになりながら、とにかく自分の部屋へと走り出した。
――怖い、怖い。
アパートの階段をヒールの底が叩き、金属質な音があたりに響く。上に上がれば自分の部屋はすぐそこだ。よろけて転びそうになりながら、決死の思いで自分の階についた時だった。
全身の血が凍りついた気がした。血の気が引いていくのが自分でわかる。自分の部屋、205号室と刻まれたドアの前、そこに男が1人座り込んでいた。
闇夜に溶け込むように彼は全身真っ黒だった。黒のパーカーに黒のスウェットパンツ。その相貌を隠すようにフードを目深にかぶっていたため、顔は見えない。ただ、背格好から比較的細身の男だということだけが分かった。
唯はその場から動けなかった。自分の部屋の前に知らない男が、しかも見た目からして不審な男が座り込んでいる。状況からしてまずいことは明白だった。けれど、恐怖と緊張が彼女を縛り付け、その場から逃げ出すことを許さなかった。ただ唯はひたすら、口を薄く開けたまま浅い呼吸を繰り返すことしかできない。
時が止まったのではと思うほどに、長い時間がその場を流れる。しばらくの間、沈黙がのしかかり2人とも声ひとつ漏らさなかった。
どのくらい経ったろう。男は顔をこちらに向け、口を開いた。
「おかえり」
あまりにも自然な、まるで帰りを待っていた家族かのような口調だった。唯は面食らって何を言うこともできなかった。男はかぶっていたフードをようやく外すと、その腰を上げた。
立ち上がった男の顔をようやく真正面から見る。若い男だった。無造作に伸びた、癖のある黒髪。柔和な笑みこそ浮かべていたが、切れ長の瞳はどこか剣呑な光を宿していて。猫背でその長身を丸めるさまも不気味さに拍車をかけ、得体の知れない恐ろしさがある。唯の背筋をぞわりと冷たいものが這った。
「ね、鍵は」
何を言われたのか分からなかった。突然口を開いた男に、唯はカタカタと震えて黙り込むことしかできない。答えないまま固まる唯だったが、男は特に気を悪くした様子はなかった。少し考え込むそぶりを見せ、先ほどより柔らかい声色で男はこう言った。
「鍵、どこ」
鼓膜に絡みつくような、癖のある声だった。男は唯に歩み寄ると、その手から鞄を取り上げた。いや、取り上げるというよりは受け取ったに近い。気味の悪い男な上にどう見ても唯につきまとっていたストーカーであるのに、不思議と手荒な真似をしそうな様子はなかった。逆にその物腰の柔らかさは唯を混乱させ、男のペースに飲まれる原因を作った。こんな状況であるのに、この場から逃げ出すという選択肢は今の唯には無かったのだった。
男は唯の鞄を開けるとポケットから家の鍵を取り出す。そして、何のためらいもなく唯の自室のドアノブに差し込むと解錠した。男はドアを開けると、唯の腕を掴んで言った。
「寒いから入ろうよ」
男は当然のように唯の自室へ腕を引いて入ろうとする。その瞬間だった。唯の頭にようやくまともな思考回路が巡りはじめ、この状況の異常さを訴え始めたのだ。おかしい、まずい、危険だ、早く逃げるのだ、このストーカー男から!
唯は悲鳴ともつかない、引きつってかすれた声を出すとその腕を振りほどこうとした。顔を恐怖に歪め拒絶しようとする彼女を、男は一瞬信じられないものでも見るような目で見た。その直後だった。男の黒々とした瞳が怒りのような苛立ちのような、どす黒い感情に燃える。突然憤りを露わにした男に、唯は恐怖で全身が凍りつく心地だった。
「入りなって」
男は薄い唇を歪め、吐き捨てるように言った。なおも抵抗を続けようとする唯だったが、細身に見える男のどこから出たのか分からない力でぐんと引っ張られる。まずい。家の中に入ったら終わりだ。
だが抵抗も虚しく、唯は部屋の中へと引きずりこまれた。男は無表情で内側から鍵をかけると、唯を抱きかかえるようにして部屋の奥へと進んでいく。
「ひっ」
背には柔らかい感触。視界が反転して、男の肩越しに天井が見えた。ベッドに押し倒されたと理解した瞬間、恐怖から唯は失神しそうになる。チカチカと点滅する視界に、表情を消した男の顔が見える。三白眼の目元はきつい印象を抱かせるものの、ほっそりとした鼻梁は通り、薄い唇は形もよく、男は比較的整った顔立ちをしていた。その温度のない端正な顔立ちが、唯は妙に怖く感じた。
「何で逃げようとしたの」
頭上から降った声に唯は息の仕方すら忘れそうになった。抑揚のない声は冷たく鼓膜を震わせる。唯は何も言えずじっと黙っていると、男は目を伏せて独りごちる。
「まぁいいや、どの道やることは一つだ」
次の瞬間、視界いっぱいに彼の顔があった。一拍遅れて、唇にカサついた冷たい感触を覚える。キスをされたと気づいたのは、少ししてからだった。ひたすらに呆然としていたものの、男が耳の後ろに顔を埋めてきたことで、唯は必死に身体をばたつかせる。だが、男の体重でのしかかられてはどうしようもない。首筋に熱い吐息を感じるたびに肌が慄くのを感じながら、唯は涙まじりに懇願した。
「ひっ、い、やだ」
「またそんなこと言って……よくしてあげるからさ」
男はくすりと笑って滑らかな肌に吸い付いた。照れ隠しだと思っているのか、どこか嬉しそうな声色で言うと、彼は丹念にその柔肌を愛す。
彼のほっそりとした指がブラウスをたくし上げるのを感じ、唯はびくりと身を震わせた。感触を楽しむようにむき出しになった肌を撫でながら、男は柔らかな乳房を包むブラに手をかけた。
「んっ、やだ!やだぁ!」
「可愛い……」
背中の後ろに手を回し、ホックを外した瞬間だった。カップが外れ、まろい曲線を描く乳房もその頂で淡く色づく突起もが露わになる。その光景を、男は一瞬も見逃すまいと舐めるように見つめていた。
唯の胸はあまり大きくはない。小ぶりではあるが、形の良い柔らかなそれは十分に魅力的なものだった。その頂点を飾る可愛らしい突起も、空気に触れて芯を持ち始めていて。
男は愛おしげな視線を注ぐと、手のひらに収まるほどのそれを優しく包み揉みしだいた。ほぐすようにいたわりながら愛撫を続ける様は、まるで恋人の身体を愛でているかのように見える。それは否が応でも性感を煽り、乳首が硬く芯をもつまでに時間はかからなかった。
「ひっ」
「乳首、綺麗な色……可愛いね。ねぇわかる?さっきまでここに埋もれてたのに、もう硬くなって顔出しちゃってる」
そう言って男が最も敏感な部分をつまんだ。彼は唯を言葉で辱め、その表情を楽しみながら、硬くなった乳首を捏ね、潰し、痛くないぎりぎりの強さでいじめ抜く。その度に身をのけぞらせびくびくと身体を跳ねさせる唯を、欲に爛れた熱い視線を注いで見つめていた。
「んっ……ふぁあ……」
「ここいじめられるの好き?すっごいビクビクしてたね。でも足りないでしょう、下もしてあげるね」
ベッドに身を投げ出し、肩で呼吸していた唯だったが、彼の指が下肢に伸び始めたことを察しぎくりとする。そこだけは、絶対に触れさせるわけにはいかない。だが非力な彼女の抵抗など意味をなさず、男はスカートを無理に足から抜き去ると、つけていた下着も脱がせ、あたりに放った。
「ねぇ、唯の可愛いあそこ、見せて」
「や、やぁあっ」
膝の裏を掴まれ、脚を強引に割られる。広がった絶景に、表情に乏しい彼の瞳が欲に爛々とぎらついた気がした。見られている。自分の一番秘めたる場所を、余すことなく見られている。恥ずかしさと悔しさに涙を滲ませながら、唯は唇を噛み締めて嗚咽をこらえた。
「綺麗な色をしてる……ここ、見られるの初めて?触られるのも?」
「んんぅっ」
「すごく濡れてるけど……もともと感じやすいのかな?普段オナニーはしてる?」
「ち、ちがぁ……」
秘部にぐっと顔を近づけられ、指でぬめった肉ヒダを左右に開かれる。真っ赤に熟れ、蜜をこぼす秘裂を十分に視姦されながら、恥ずかしい質問を甘い声色で耳元に落とされる。
唯に男性経験は一度もなかった。内気で交友関係も派手ではなかった彼女は、高校時代に一度同級生と付き合ったことがあったが、身体の関係には進まぬうちに終わってしまった。自慰、という行為については知識のみはあったが、実際にしたことはなかった。生粋の生娘だった唯にとって今の状況は耐えがたい羞恥を呼び起こし、彼女はついにすすり泣いた。彼女の様子に気づいた男はなだめるように頭を優しく撫で、額に口づけを落としたが、辱めを止める気は無いようだった。
充血し膨らんだクリトリスが皮から半分顔をのぞかせているのも、陰唇の形が左右で違い、左のほうが少しばかり大きいことも、細かく秘部の状態を描写されて知りたくないことまで知ってしまう。男はようやく濡れそぼった秘部を眺めるのに満足したのか、今度はそこに触れようとした。唯は腰をくねらせ拒もうとするも、無駄な抵抗に終わる。
男は蜜壺からあふれた愛液をたっぷりと指先に絡めると、優しく皮を剥き、露わになったクリトリスを刺激した。指の腹でそっと小さな粒を押さえられ、優しく振動を与えられてしまえばたまらなかった。
「あぁぁあぁあんっ」
「唯、可愛い。すごい可愛いよ、いいよ、クリでイくとこ、俺に見せてよ」
「ひっ、い、いくって、や、こわいっ」
「大丈夫、俺がついてるからね。さ、イきな」
巧みな愛撫に甘い声が止まらない。まるで神経が剥き出しになっているかのような敏感な部分を集中的に激しく、だが優しく愛され、頭の中は真っ白だった。とどめだと言わんばかりに、男は膨らんだクリトリスを絶妙な強さで押し潰す。極めつけの刺激に唯はあられもない嬌声をあげ、大腿を痙攣させて盛大に果てた。
「はぁん……」
「唯、最高によかったよ。初めてなのにこんなに派手にイっちゃって、可愛いね……。クリ気に入った?」
絶頂を迎え弛緩した唯の身体を男は抱きかかえ、頬や唇、額、顔中にキスの雨を降らせた。可愛くてたまらないと言った様子で甘い言葉を囁く男に、唯はただ呆然と天井の木目を見つめていた。
「クリでこんなだったら、これからどうなっちゃうのかな。ね、次は中でイッてみようか」
え、とか、そんな疑問を投げかけるようなタイミングなどなかった。ただ彼はまた当然のようにほころんだ秘裂へと指を忍ばせ、侵入しようと試みる。唯の身体が怯えで強張った。
「大丈夫だよ、怖くないからね。恥ずかしいところいっぱい弄られて、気持ちよくなろうね」
柔らかな声色だったが、有無を言わせない何かがそこにはあった。どうすることもできないうちに男の指が秘部に迫る。一度クリトリスで絶頂を迎えたことで、粘度の高い濃い愛液が秘部からはたっぷりと溢れていた。それを弄ぶように絡めとると、男はその節くれだった指を熟れた秘裂にもぐりこませた。
「んんぅっ!やぁぁあっ!」
「俺に任せて。痛くしないから。約束する」
異物が侵入する感覚に、唯は怯えた声をあげる。男はまるで子どもをなだめるように頭をそっと撫でると、そう言葉を紡いだ。秘裂にめり込んだ指が、媚肉を割り少しずつ奥へと侵入していく。男の指が、自分の体内にある。否が応でもそれを下腹部で直接感じてしまい、唯は頭がどうかなりそうだった。
「唯の中、狭いね。本当に処女なんだ、嬉しい、君は俺に初めてを捧げるんだ。こんな嬉しいことはないな」
「や、やぁあ」
「あぁ、たまらないな。俺にはさ、君だけなんだよ、あの日からさ、ね、君は覚えてないかもしれないけど……。だから君もさ、俺だけのものになってよ、ねぇ、」
男の声は淡々としたものから熱を帯び始め、語気も荒くなっていく。何を言われているかさっぱり分からなかった。ただ、興奮まじりに話す男の声は上ずっていて、それに合わせて指の動きも激しくなっていく。男の侵入を拒む唯の心とは裏腹に、節くれだった指を彼女の熟れた媚肉は離さないとばかりに抱き締めてしまう。肉ヒダ一つ一つがまとわりつき、指を包みこむ感触に男は酔ったようにその端正な顔を歪めた。
「ね、分かる?やらしい唯のあそこ、俺の指欲しいって言ってる。ね、聞こえる?抜こうとするとさ、抜かないでって縋ってくるの、ほら」
「ひゃぁあっ」
あまりにも的確な愛撫は、初めてだった唯を腰砕けにさせた。前後の抜き差しがスムーズになり、愛液がとめどなく溢れ始めると、男は媚肉をかき回すような刺激に変え始める。柔らかな内壁を長い時間をかけ可愛がり、ついに唯の最も弱い部分を見つけてしまう。そこを探り当てられてしまえばもうどうしようもなかった。男の目に嗜虐的な色が宿る。唯はそこばかりを集中的に責め立てられ、いじめ抜かれた。
「ひゃぁああっ!やぁあもう、許してぇ!」
「だぁめ。唯の弱いところ、俺の気がすむまで可愛がってあげるから。ね、イき狂うとこ見せて?」
時折クリトリスも激しく責め立てられながら、中からは恥骨の裏側、最も感じやすい場所を指で執拗にいじめられる。唯はかすれた嬌声をあげて果て続けた。指は増やされ、2本の指が彼女の膣内を蹂躙する。感じやすい媚肉は完全に男の思うままにされ、長いこと中をまさぐられたことで、彼女のいいところなどは一つ残らず男に知られてしまっていた。見ず知らずの男の指に自分の最も秘めたる部分を存分に暴かれている、その事実にめまいを催す。
「あっあっんんっ出ちゃうぅ!おしっこでちゃう!あっあぁあっ!」
「いいよ、出しな。ほんっとに可愛いな……」
男の鼻にかかった甘ったるい声が鼓膜を震わせた瞬間だった。柔らかな媚肉を激しく責め立てられ、熱くなった唯の下腹部で、必死にこらえていた何かが決壊したかのように吹き出す。気づけば腰をびくびくと震わせ、唯は尿道から小刻みに透明な淫液を吹き出していた。
断続的にぷしゅ、と潮が吹き出すのがおさまるまで、男はそれは愛おしげな眼差しを注ぎながら彼女の身体を撫でさすっていた。
熱に浮かされたように、ぼんやりと虚空を見つめたまま唯はされるがままになっていた。何度も訪れる絶頂と訳のわからない状況下にあるという事実に頭は混乱し、ろくに言葉も紡げやしない。
そんな中、視界の端にちらついたものに唯は思わず目を剥き、頭が冴えていくようだった。気づけば男は前をくつろげ、いきり立った彼自身が唯の眼前に晒される。
男のそれは、唯の痴態に煽られて完全に芯を持ち、堂々と点を仰いでいた。彼女の中に押し入る瞬間を心待ちにしているかのように硬く勃ち上がったそれはあまりにもグロデスクで凶暴ないでたちをしていて、唯は気を失いそうになった。
「そろそろ挿れてあげるね。指じゃ届かなかったところまで可愛がってあげる。」
「ひっ」
熱いそれが秘部にあてがわれたのを感じ、唯は引きつった悲鳴をあげた。抵抗しようにも異物感に慄いた身体は言うことを聞かない。緊張に強張った身体を撫でさすりながら、無情にも男はゆっくりと腰を進めていった。
張り出した先端がめりめりと秘裂をこじ開けていく。そうして熱く硬い楔がゆっくりと中に埋まっていく感触を、唯は息を止めてじっと耐えていた。現実を拒むようにきつく閉じた目尻から涙が伝う。混乱と恐怖と緊張で占められた心と裏腹に、先ほどまで十分すぎるほどにほぐされた媚肉はいとも簡単に男の剛直を受け入れた。初めこそ侵入を拒んでいた媚肉も、硬く勃ち上がった雄を前にしてはどうしようもない。一度飲み込んでしまったが最後、男が腰を引けば追いすがるように媚肉は剛直に絡みつき、奥まで突かれれば歓迎するかのように中がうねった。中を愛される愉悦を知った唯の媚肉は素直だった。感じやすい部分をたっぷり可愛がってくれるだろうことを予期し、男を欲しがってしまう。
「ひゃぁあ……っ!」
「よくなってきた?嬉しい……ね、いいでしょ、ここにおちんちん挿れられるのさ、気持ちいいでしょ?ね、こうやって抜き差しされてさ、」
「あっあっちがぁっ、やぁっ!」
「ほぉら、たまらないでしょ、これ。ね、ここ好きなくせに」
男の甘ったるい声が耳の奥に反響する。何もわからなくなって頭が馬鹿になって、ただ快楽が湧き出る女の部分をじゅぷじゅぷとひたすら責められるのがたまらない。気持ちいい。彼女の頭にはその一念のみがあった。理性の砦はすでに今にも崩れそうなほど脆くなっていて、そんな時に男の囁きが残酷にも彼女の耳に落とされる。
「ね、気持ちいいでしょ?なら言って。大事なところ俺のおちんちんで責められるの気持ちいいですって。そしたら天国に連れてってあげる」
「て、んごく……」
「うん。」
その誘い文句はこの上なく甘美に聞こえた。天国。気持ちよくしてくれる。快楽に溺れまともな思考回路の焼き切れた今の彼女にとって、これ以上に魅力的な言葉などなく。彼女は涙を滲ませ、懇願するように彼の要求した言葉を口にする。
「ん……あ、おちんちん、気持ちいいのっ!あっ、も、責められるの気持ちよくてっ、大事なとこ、もっといじめてください……っ!」
目先の快楽にとらわれ甘い声でねだる彼女はどこまでも淫らに映った。欲に濁った男の瞳に陶酔したような色が混ざる。男は興奮の滲んだ笑みを浮かべ、性器をさらに奥へと進めた。張り出した先端がほころんだ子宮口までもこじ開けるかのようにめりこむ。
「ひゃぁぁんっ!」
「本当にきみは最高だよ……さ、今度はきみが俺に夢中になる番だ」
とめどなく愛液をこぼしつづけて、しとどに潤った蜜壺を剛直で何度も貫く。硬く反り返った雄で敏感な柔肉を捏ねられ、えぐられ、ごりゅごりゅと擦られた。秘部に腰を押しつけ、体重をかけて回すような腰使いに変われば、相当によかったのか唯は嬌声をあげて仰け反り、腰をくねらせた。男の責めは激しくはないがしつこく粘着質で、弱いところを徹底的に責める腰使いは、女の愉悦を知ったばかりの唯を夢中にさせた。
「あっあっいいっ」
「いいの?これ、いいんだ?ね、どこがいいかもっと教えて?」
「あっあぁん、さっきのとこ、ぐりぐりするの……あぁんそれぇっ!それすごいのぉ!もっとしてぇ、あぁあん!いいっ!」
「はぁ……可愛い……すごく可愛いよ唯……いいよ、もっとしてあげるからね」
大人しく清廉で、清楚な印象を抱かせる唯の面影など、今やどこにもなかった。彼女はひたすらに甘い声を漏らし、脚を開いて男を受け入れ中を擦る性器に感じ入っていた。火をつけられてしまった女の部分をいきり立った雄で責め立てられてしまえば、もうどうしようもない。
薄く開かれた唇からよだれを垂らし、焦点の合わない目をした淫らな彼女の顔を男は眺める。彼女を征服し、支配したことに深い悦びを感じているかのような、それは満足げな、恍惚とした視線だった。
殺風景なワンルームには、彼女の甘い嬌声と肌のぶつかる音が響く。ねっとりとした濃厚な空気は、情事が終わる朝方まで部屋を包んでいた。
つけられている気がする。それはここ最近感じていることで、人の気配が常に絡みつくような感覚がある。
都内の大学に進学して3年。唯は大学のそばにワンルームを借り、一人暮らしをしていた。ゼミが始まり帰りは遅くなる一方で、0時近くに家につくことも日常と化している。一人暮らしの女子大生として防犯上良くないのはわかっていたが、仕方がない。毎日疲れた体を引きずって帰途へとついていた。
アパートのポストの前で、唯は一瞬足を止めた。しばらくためらうようにその場に佇んでいたが、思い切って自室の番号の刻まれたポストを開けた。心臓が嫌な音を立てて跳ねる。
中には案の定、宛先も差出人も書かれていない真っ白な封筒が鎮座していた。それを震える手でおそるおそる取り、たじろぎつつも封を開ける。
それはここ数日のことだ。盗撮したと思われる自分の写真が、何十枚と封筒に入って投函されていた。唯はその形の良い眉をひそめ唇を噛んだ。見たくなどない。どうせまた、自分の寝顔やら食事シーンやら気味の悪い写真が大量に入れられているのだ。
そう思いつつも、何だか目を通さないのも不安に感じ、見たいような見たくないような複雑な気分に苛まれる。結局、苦い顔で封筒から写真を取り出した時だった。写真に紛れ、一枚の便箋が突っ込まれているのに気づく。
緊張で自分の呼吸が浅くなるのを感じる。カタカタと震える手で、唯はそれを開いた。
『やっぱり会って話したい。待ってるね』
喉が締まり、狭まった気管からひゅうひゅうと苦しげな息が漏れる。瞬きすら忘れて、唯はその殴り書きのような達筆な字を穴が開くほど見つめていた。遅れて膝ががくがくと震え、手先が感覚をなくしているのがわかった。あぁ、自分は今尋常でないほど怯えているのだ。頭の片隅、どこか冷静な部分で、そんなことを考えている自分がいた。
――どうしよう。
一拍おいてようやく思考が巡り始めた時、頭に浮かんだのはそれだけだった。闇に沈んだ人気のない住宅街に、たった1人。今ここで1人で立ち尽くしていること自体が恐ろしく思えてならなくて、唯はとにかく歩き出した。恐怖から正常な判断などできるわけもなかった。携帯を取り出し、友人に電話しようとするも手元がおぼつかない。震える手ではロックを解除することもできなくて、唯は過呼吸を起こしそうになりながら、とにかく自分の部屋へと走り出した。
――怖い、怖い。
アパートの階段をヒールの底が叩き、金属質な音があたりに響く。上に上がれば自分の部屋はすぐそこだ。よろけて転びそうになりながら、決死の思いで自分の階についた時だった。
全身の血が凍りついた気がした。血の気が引いていくのが自分でわかる。自分の部屋、205号室と刻まれたドアの前、そこに男が1人座り込んでいた。
闇夜に溶け込むように彼は全身真っ黒だった。黒のパーカーに黒のスウェットパンツ。その相貌を隠すようにフードを目深にかぶっていたため、顔は見えない。ただ、背格好から比較的細身の男だということだけが分かった。
唯はその場から動けなかった。自分の部屋の前に知らない男が、しかも見た目からして不審な男が座り込んでいる。状況からしてまずいことは明白だった。けれど、恐怖と緊張が彼女を縛り付け、その場から逃げ出すことを許さなかった。ただ唯はひたすら、口を薄く開けたまま浅い呼吸を繰り返すことしかできない。
時が止まったのではと思うほどに、長い時間がその場を流れる。しばらくの間、沈黙がのしかかり2人とも声ひとつ漏らさなかった。
どのくらい経ったろう。男は顔をこちらに向け、口を開いた。
「おかえり」
あまりにも自然な、まるで帰りを待っていた家族かのような口調だった。唯は面食らって何を言うこともできなかった。男はかぶっていたフードをようやく外すと、その腰を上げた。
立ち上がった男の顔をようやく真正面から見る。若い男だった。無造作に伸びた、癖のある黒髪。柔和な笑みこそ浮かべていたが、切れ長の瞳はどこか剣呑な光を宿していて。猫背でその長身を丸めるさまも不気味さに拍車をかけ、得体の知れない恐ろしさがある。唯の背筋をぞわりと冷たいものが這った。
「ね、鍵は」
何を言われたのか分からなかった。突然口を開いた男に、唯はカタカタと震えて黙り込むことしかできない。答えないまま固まる唯だったが、男は特に気を悪くした様子はなかった。少し考え込むそぶりを見せ、先ほどより柔らかい声色で男はこう言った。
「鍵、どこ」
鼓膜に絡みつくような、癖のある声だった。男は唯に歩み寄ると、その手から鞄を取り上げた。いや、取り上げるというよりは受け取ったに近い。気味の悪い男な上にどう見ても唯につきまとっていたストーカーであるのに、不思議と手荒な真似をしそうな様子はなかった。逆にその物腰の柔らかさは唯を混乱させ、男のペースに飲まれる原因を作った。こんな状況であるのに、この場から逃げ出すという選択肢は今の唯には無かったのだった。
男は唯の鞄を開けるとポケットから家の鍵を取り出す。そして、何のためらいもなく唯の自室のドアノブに差し込むと解錠した。男はドアを開けると、唯の腕を掴んで言った。
「寒いから入ろうよ」
男は当然のように唯の自室へ腕を引いて入ろうとする。その瞬間だった。唯の頭にようやくまともな思考回路が巡りはじめ、この状況の異常さを訴え始めたのだ。おかしい、まずい、危険だ、早く逃げるのだ、このストーカー男から!
唯は悲鳴ともつかない、引きつってかすれた声を出すとその腕を振りほどこうとした。顔を恐怖に歪め拒絶しようとする彼女を、男は一瞬信じられないものでも見るような目で見た。その直後だった。男の黒々とした瞳が怒りのような苛立ちのような、どす黒い感情に燃える。突然憤りを露わにした男に、唯は恐怖で全身が凍りつく心地だった。
「入りなって」
男は薄い唇を歪め、吐き捨てるように言った。なおも抵抗を続けようとする唯だったが、細身に見える男のどこから出たのか分からない力でぐんと引っ張られる。まずい。家の中に入ったら終わりだ。
だが抵抗も虚しく、唯は部屋の中へと引きずりこまれた。男は無表情で内側から鍵をかけると、唯を抱きかかえるようにして部屋の奥へと進んでいく。
「ひっ」
背には柔らかい感触。視界が反転して、男の肩越しに天井が見えた。ベッドに押し倒されたと理解した瞬間、恐怖から唯は失神しそうになる。チカチカと点滅する視界に、表情を消した男の顔が見える。三白眼の目元はきつい印象を抱かせるものの、ほっそりとした鼻梁は通り、薄い唇は形もよく、男は比較的整った顔立ちをしていた。その温度のない端正な顔立ちが、唯は妙に怖く感じた。
「何で逃げようとしたの」
頭上から降った声に唯は息の仕方すら忘れそうになった。抑揚のない声は冷たく鼓膜を震わせる。唯は何も言えずじっと黙っていると、男は目を伏せて独りごちる。
「まぁいいや、どの道やることは一つだ」
次の瞬間、視界いっぱいに彼の顔があった。一拍遅れて、唇にカサついた冷たい感触を覚える。キスをされたと気づいたのは、少ししてからだった。ひたすらに呆然としていたものの、男が耳の後ろに顔を埋めてきたことで、唯は必死に身体をばたつかせる。だが、男の体重でのしかかられてはどうしようもない。首筋に熱い吐息を感じるたびに肌が慄くのを感じながら、唯は涙まじりに懇願した。
「ひっ、い、やだ」
「またそんなこと言って……よくしてあげるからさ」
男はくすりと笑って滑らかな肌に吸い付いた。照れ隠しだと思っているのか、どこか嬉しそうな声色で言うと、彼は丹念にその柔肌を愛す。
彼のほっそりとした指がブラウスをたくし上げるのを感じ、唯はびくりと身を震わせた。感触を楽しむようにむき出しになった肌を撫でながら、男は柔らかな乳房を包むブラに手をかけた。
「んっ、やだ!やだぁ!」
「可愛い……」
背中の後ろに手を回し、ホックを外した瞬間だった。カップが外れ、まろい曲線を描く乳房もその頂で淡く色づく突起もが露わになる。その光景を、男は一瞬も見逃すまいと舐めるように見つめていた。
唯の胸はあまり大きくはない。小ぶりではあるが、形の良い柔らかなそれは十分に魅力的なものだった。その頂点を飾る可愛らしい突起も、空気に触れて芯を持ち始めていて。
男は愛おしげな視線を注ぐと、手のひらに収まるほどのそれを優しく包み揉みしだいた。ほぐすようにいたわりながら愛撫を続ける様は、まるで恋人の身体を愛でているかのように見える。それは否が応でも性感を煽り、乳首が硬く芯をもつまでに時間はかからなかった。
「ひっ」
「乳首、綺麗な色……可愛いね。ねぇわかる?さっきまでここに埋もれてたのに、もう硬くなって顔出しちゃってる」
そう言って男が最も敏感な部分をつまんだ。彼は唯を言葉で辱め、その表情を楽しみながら、硬くなった乳首を捏ね、潰し、痛くないぎりぎりの強さでいじめ抜く。その度に身をのけぞらせびくびくと身体を跳ねさせる唯を、欲に爛れた熱い視線を注いで見つめていた。
「んっ……ふぁあ……」
「ここいじめられるの好き?すっごいビクビクしてたね。でも足りないでしょう、下もしてあげるね」
ベッドに身を投げ出し、肩で呼吸していた唯だったが、彼の指が下肢に伸び始めたことを察しぎくりとする。そこだけは、絶対に触れさせるわけにはいかない。だが非力な彼女の抵抗など意味をなさず、男はスカートを無理に足から抜き去ると、つけていた下着も脱がせ、あたりに放った。
「ねぇ、唯の可愛いあそこ、見せて」
「や、やぁあっ」
膝の裏を掴まれ、脚を強引に割られる。広がった絶景に、表情に乏しい彼の瞳が欲に爛々とぎらついた気がした。見られている。自分の一番秘めたる場所を、余すことなく見られている。恥ずかしさと悔しさに涙を滲ませながら、唯は唇を噛み締めて嗚咽をこらえた。
「綺麗な色をしてる……ここ、見られるの初めて?触られるのも?」
「んんぅっ」
「すごく濡れてるけど……もともと感じやすいのかな?普段オナニーはしてる?」
「ち、ちがぁ……」
秘部にぐっと顔を近づけられ、指でぬめった肉ヒダを左右に開かれる。真っ赤に熟れ、蜜をこぼす秘裂を十分に視姦されながら、恥ずかしい質問を甘い声色で耳元に落とされる。
唯に男性経験は一度もなかった。内気で交友関係も派手ではなかった彼女は、高校時代に一度同級生と付き合ったことがあったが、身体の関係には進まぬうちに終わってしまった。自慰、という行為については知識のみはあったが、実際にしたことはなかった。生粋の生娘だった唯にとって今の状況は耐えがたい羞恥を呼び起こし、彼女はついにすすり泣いた。彼女の様子に気づいた男はなだめるように頭を優しく撫で、額に口づけを落としたが、辱めを止める気は無いようだった。
充血し膨らんだクリトリスが皮から半分顔をのぞかせているのも、陰唇の形が左右で違い、左のほうが少しばかり大きいことも、細かく秘部の状態を描写されて知りたくないことまで知ってしまう。男はようやく濡れそぼった秘部を眺めるのに満足したのか、今度はそこに触れようとした。唯は腰をくねらせ拒もうとするも、無駄な抵抗に終わる。
男は蜜壺からあふれた愛液をたっぷりと指先に絡めると、優しく皮を剥き、露わになったクリトリスを刺激した。指の腹でそっと小さな粒を押さえられ、優しく振動を与えられてしまえばたまらなかった。
「あぁぁあぁあんっ」
「唯、可愛い。すごい可愛いよ、いいよ、クリでイくとこ、俺に見せてよ」
「ひっ、い、いくって、や、こわいっ」
「大丈夫、俺がついてるからね。さ、イきな」
巧みな愛撫に甘い声が止まらない。まるで神経が剥き出しになっているかのような敏感な部分を集中的に激しく、だが優しく愛され、頭の中は真っ白だった。とどめだと言わんばかりに、男は膨らんだクリトリスを絶妙な強さで押し潰す。極めつけの刺激に唯はあられもない嬌声をあげ、大腿を痙攣させて盛大に果てた。
「はぁん……」
「唯、最高によかったよ。初めてなのにこんなに派手にイっちゃって、可愛いね……。クリ気に入った?」
絶頂を迎え弛緩した唯の身体を男は抱きかかえ、頬や唇、額、顔中にキスの雨を降らせた。可愛くてたまらないと言った様子で甘い言葉を囁く男に、唯はただ呆然と天井の木目を見つめていた。
「クリでこんなだったら、これからどうなっちゃうのかな。ね、次は中でイッてみようか」
え、とか、そんな疑問を投げかけるようなタイミングなどなかった。ただ彼はまた当然のようにほころんだ秘裂へと指を忍ばせ、侵入しようと試みる。唯の身体が怯えで強張った。
「大丈夫だよ、怖くないからね。恥ずかしいところいっぱい弄られて、気持ちよくなろうね」
柔らかな声色だったが、有無を言わせない何かがそこにはあった。どうすることもできないうちに男の指が秘部に迫る。一度クリトリスで絶頂を迎えたことで、粘度の高い濃い愛液が秘部からはたっぷりと溢れていた。それを弄ぶように絡めとると、男はその節くれだった指を熟れた秘裂にもぐりこませた。
「んんぅっ!やぁぁあっ!」
「俺に任せて。痛くしないから。約束する」
異物が侵入する感覚に、唯は怯えた声をあげる。男はまるで子どもをなだめるように頭をそっと撫でると、そう言葉を紡いだ。秘裂にめり込んだ指が、媚肉を割り少しずつ奥へと侵入していく。男の指が、自分の体内にある。否が応でもそれを下腹部で直接感じてしまい、唯は頭がどうかなりそうだった。
「唯の中、狭いね。本当に処女なんだ、嬉しい、君は俺に初めてを捧げるんだ。こんな嬉しいことはないな」
「や、やぁあ」
「あぁ、たまらないな。俺にはさ、君だけなんだよ、あの日からさ、ね、君は覚えてないかもしれないけど……。だから君もさ、俺だけのものになってよ、ねぇ、」
男の声は淡々としたものから熱を帯び始め、語気も荒くなっていく。何を言われているかさっぱり分からなかった。ただ、興奮まじりに話す男の声は上ずっていて、それに合わせて指の動きも激しくなっていく。男の侵入を拒む唯の心とは裏腹に、節くれだった指を彼女の熟れた媚肉は離さないとばかりに抱き締めてしまう。肉ヒダ一つ一つがまとわりつき、指を包みこむ感触に男は酔ったようにその端正な顔を歪めた。
「ね、分かる?やらしい唯のあそこ、俺の指欲しいって言ってる。ね、聞こえる?抜こうとするとさ、抜かないでって縋ってくるの、ほら」
「ひゃぁあっ」
あまりにも的確な愛撫は、初めてだった唯を腰砕けにさせた。前後の抜き差しがスムーズになり、愛液がとめどなく溢れ始めると、男は媚肉をかき回すような刺激に変え始める。柔らかな内壁を長い時間をかけ可愛がり、ついに唯の最も弱い部分を見つけてしまう。そこを探り当てられてしまえばもうどうしようもなかった。男の目に嗜虐的な色が宿る。唯はそこばかりを集中的に責め立てられ、いじめ抜かれた。
「ひゃぁああっ!やぁあもう、許してぇ!」
「だぁめ。唯の弱いところ、俺の気がすむまで可愛がってあげるから。ね、イき狂うとこ見せて?」
時折クリトリスも激しく責め立てられながら、中からは恥骨の裏側、最も感じやすい場所を指で執拗にいじめられる。唯はかすれた嬌声をあげて果て続けた。指は増やされ、2本の指が彼女の膣内を蹂躙する。感じやすい媚肉は完全に男の思うままにされ、長いこと中をまさぐられたことで、彼女のいいところなどは一つ残らず男に知られてしまっていた。見ず知らずの男の指に自分の最も秘めたる部分を存分に暴かれている、その事実にめまいを催す。
「あっあっんんっ出ちゃうぅ!おしっこでちゃう!あっあぁあっ!」
「いいよ、出しな。ほんっとに可愛いな……」
男の鼻にかかった甘ったるい声が鼓膜を震わせた瞬間だった。柔らかな媚肉を激しく責め立てられ、熱くなった唯の下腹部で、必死にこらえていた何かが決壊したかのように吹き出す。気づけば腰をびくびくと震わせ、唯は尿道から小刻みに透明な淫液を吹き出していた。
断続的にぷしゅ、と潮が吹き出すのがおさまるまで、男はそれは愛おしげな眼差しを注ぎながら彼女の身体を撫でさすっていた。
熱に浮かされたように、ぼんやりと虚空を見つめたまま唯はされるがままになっていた。何度も訪れる絶頂と訳のわからない状況下にあるという事実に頭は混乱し、ろくに言葉も紡げやしない。
そんな中、視界の端にちらついたものに唯は思わず目を剥き、頭が冴えていくようだった。気づけば男は前をくつろげ、いきり立った彼自身が唯の眼前に晒される。
男のそれは、唯の痴態に煽られて完全に芯を持ち、堂々と点を仰いでいた。彼女の中に押し入る瞬間を心待ちにしているかのように硬く勃ち上がったそれはあまりにもグロデスクで凶暴ないでたちをしていて、唯は気を失いそうになった。
「そろそろ挿れてあげるね。指じゃ届かなかったところまで可愛がってあげる。」
「ひっ」
熱いそれが秘部にあてがわれたのを感じ、唯は引きつった悲鳴をあげた。抵抗しようにも異物感に慄いた身体は言うことを聞かない。緊張に強張った身体を撫でさすりながら、無情にも男はゆっくりと腰を進めていった。
張り出した先端がめりめりと秘裂をこじ開けていく。そうして熱く硬い楔がゆっくりと中に埋まっていく感触を、唯は息を止めてじっと耐えていた。現実を拒むようにきつく閉じた目尻から涙が伝う。混乱と恐怖と緊張で占められた心と裏腹に、先ほどまで十分すぎるほどにほぐされた媚肉はいとも簡単に男の剛直を受け入れた。初めこそ侵入を拒んでいた媚肉も、硬く勃ち上がった雄を前にしてはどうしようもない。一度飲み込んでしまったが最後、男が腰を引けば追いすがるように媚肉は剛直に絡みつき、奥まで突かれれば歓迎するかのように中がうねった。中を愛される愉悦を知った唯の媚肉は素直だった。感じやすい部分をたっぷり可愛がってくれるだろうことを予期し、男を欲しがってしまう。
「ひゃぁあ……っ!」
「よくなってきた?嬉しい……ね、いいでしょ、ここにおちんちん挿れられるのさ、気持ちいいでしょ?ね、こうやって抜き差しされてさ、」
「あっあっちがぁっ、やぁっ!」
「ほぉら、たまらないでしょ、これ。ね、ここ好きなくせに」
男の甘ったるい声が耳の奥に反響する。何もわからなくなって頭が馬鹿になって、ただ快楽が湧き出る女の部分をじゅぷじゅぷとひたすら責められるのがたまらない。気持ちいい。彼女の頭にはその一念のみがあった。理性の砦はすでに今にも崩れそうなほど脆くなっていて、そんな時に男の囁きが残酷にも彼女の耳に落とされる。
「ね、気持ちいいでしょ?なら言って。大事なところ俺のおちんちんで責められるの気持ちいいですって。そしたら天国に連れてってあげる」
「て、んごく……」
「うん。」
その誘い文句はこの上なく甘美に聞こえた。天国。気持ちよくしてくれる。快楽に溺れまともな思考回路の焼き切れた今の彼女にとって、これ以上に魅力的な言葉などなく。彼女は涙を滲ませ、懇願するように彼の要求した言葉を口にする。
「ん……あ、おちんちん、気持ちいいのっ!あっ、も、責められるの気持ちよくてっ、大事なとこ、もっといじめてください……っ!」
目先の快楽にとらわれ甘い声でねだる彼女はどこまでも淫らに映った。欲に濁った男の瞳に陶酔したような色が混ざる。男は興奮の滲んだ笑みを浮かべ、性器をさらに奥へと進めた。張り出した先端がほころんだ子宮口までもこじ開けるかのようにめりこむ。
「ひゃぁぁんっ!」
「本当にきみは最高だよ……さ、今度はきみが俺に夢中になる番だ」
とめどなく愛液をこぼしつづけて、しとどに潤った蜜壺を剛直で何度も貫く。硬く反り返った雄で敏感な柔肉を捏ねられ、えぐられ、ごりゅごりゅと擦られた。秘部に腰を押しつけ、体重をかけて回すような腰使いに変われば、相当によかったのか唯は嬌声をあげて仰け反り、腰をくねらせた。男の責めは激しくはないがしつこく粘着質で、弱いところを徹底的に責める腰使いは、女の愉悦を知ったばかりの唯を夢中にさせた。
「あっあっいいっ」
「いいの?これ、いいんだ?ね、どこがいいかもっと教えて?」
「あっあぁん、さっきのとこ、ぐりぐりするの……あぁんそれぇっ!それすごいのぉ!もっとしてぇ、あぁあん!いいっ!」
「はぁ……可愛い……すごく可愛いよ唯……いいよ、もっとしてあげるからね」
大人しく清廉で、清楚な印象を抱かせる唯の面影など、今やどこにもなかった。彼女はひたすらに甘い声を漏らし、脚を開いて男を受け入れ中を擦る性器に感じ入っていた。火をつけられてしまった女の部分をいきり立った雄で責め立てられてしまえば、もうどうしようもない。
薄く開かれた唇からよだれを垂らし、焦点の合わない目をした淫らな彼女の顔を男は眺める。彼女を征服し、支配したことに深い悦びを感じているかのような、それは満足げな、恍惚とした視線だった。
殺風景なワンルームには、彼女の甘い嬌声と肌のぶつかる音が響く。ねっとりとした濃厚な空気は、情事が終わる朝方まで部屋を包んでいた。
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