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魔導の大家
遊戯
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《オイ!アル!早クシロ!追イツカレルゾ!》
穏やかな風が吹き、輝く若草の中を駆け回る青い体躯のキツネが五匹。いずれもにこやかに笑みを浮かべ、牙こそ見えているが口角は上がり楽しげなことが見て取れる。
《追イツイタ!アルガ鬼ダゾ!》
「――いや、ごめん。ちょっと追いつかない。僕は一体何でこの状況で鬼ごっこを……?」
鬼役だったキツネに鼻先で突っつかれてアルベルトに鬼が回ってくるが、状況を飲み込めずにいる彼はその場に立ち止まり、キツネ達が数を数える声を聞きながら少し前のことを思い出していた。
◆◆◆◆◆◆
遊ブゾ!!
「……、はい?」
この世に生を受けて、今日が一番の危機だという確信があったアルベルトは、先程の化けギツネ達の言葉にあっけにとられた。
ここで最期を迎えるのならば、もう少し姉様たちと話しておけば良かったとか、終ぞ父様とはまともに話すことも出来なかったのは心残りだとか、まだまだ魔法の研究をしたかっただのと少々普通の六歳児が考えないようなことまで走馬灯のように頭の中に浮かんでいたのに待っていたのは、コレだ。
いや、死ぬことに比べればこっちのほうが断然良い。良いのだが拍子抜けというか、先程までの緊張感や恐怖心に苛まれていた自分は一体何だったのかという気持ちになりやるせない。
《何ヲ呆ケテイル?》
「いや、え?……遊、ぶの?」
《ソウダヨ!他ニ何スルノサ?!》
周りを見れば当然だとばかりに五匹のキツネは頻りに頷いている。その後すぐにアルベルトそっちのけで口々に何をして遊ぶかと言い合っている。やれ鬼ごっこだの、かくれんぼだの、いやいや球蹴りだのとそれはもう口やかましい。同じような見た目をしているが、それぞれに好みがある上に我が強いらしく、中々遊びの内容が決まる様子はない。
(この獣たちは同種のようだが、個体差があるんだな。……そういえば、今までに誰かと遊んだことなんてあったかな?)
物心付いてからの数年、周りに居たのは年の離れた姉達と更に年の離れた使用人に家庭教師だけ。父はひと月に一度半日だけ帰ってきては着替えを持ってすぐに仕事に戻っていくだけで送迎の挨拶くらいしか言葉を交わした記憶はない。母が存命の時分には月に数度は来客が有り、親交のある他家の貴族やその子息や息女も訪れていたとロレッタから聞いたことがあったが、少なくともアルベルトの記憶ではそういったこともなかった。
つまり、生まれてからこれまでのアルベルトの人生において同世代との交流というものは無く、遊んだこともなかった。知識としてウェルズ領の民衆がどういった遊びをするのかというのは記憶しているが、見たこともやったこともなかった。
《――イ!――オイ、アル!!聞イテイルカ!》
「……え?あ、ごめん。聞いていなかった」
いつの間にかキツネらの口論は終わりを迎え、五対の視線がアルベルトを見つめていた。一番初めに近づいてきた個体――どうやらリーダー格らしい――が鼻先で小突いて彼を思考の海から引き摺り上げた。
何かを言いたげな目線をくれる眼前の青キツネは一つ小さな溜息を吐き、出来の悪い生徒に言って聞かせるかのようにもう一度アルベルトに質問をした。
《我ラハイツモ主張ガ強スギテ、中々遊ビガ決マラナイ。ダカラ、アルガ決メテクレ、ト言ッタノダ》
「そうか、うん。……困ったな。僕はこれまでこういった遊びをしたことがないんだ。だから何がどう楽しいかも分からない」
《何ダトッ?!ソレハモッタイナイ!》
アルベルトの言葉に絶望したような顔をする化けギツネ一同。元来、遊びに懸ける思いが強いキツネ達は今まで遊んだことがないという少年の存在が信じられぬものであるとともに、哀れみ慈しむべきであるとも感じていた。
数瞬の間が空いた後、一際口角が上がり人好きのする顔をしたキツネが、アルベルトのシャツを甘噛してから他のキツネに言った。
《ジャァ、順番ニ全部ヤレバイイ!》
◆◆◆◆◆◆
結局、その一言が鶴の一声となり化けギツネ達が特に好んで行う遊びを順番にしていく運びとなった。今にして思えば、アルベルトは特にキツネらと遊んでやる理由などなかったのだが、遊びを始めるとなった時には何故かそうするべきだと強く感じていたのだ。
早く遊びたい化けギツネの面々からすれば少なくない時間考え込んでいたアルベルトであったが、先程まで鬼役だったキツネが不満そうにシャツを引っ張るので、鼻先を押し返して逃げるように促す。
鬼になったものはその場で十数えてから他の参加者を追いかけ回し、体に触れて鬼を他者に押し付けるというルールの遊びだという。先程までの熱中度合いは何だったのかと思えるほどに、心が凪いでいる。
冷静になってみると色々と違和感を覚える。体感ではあるが、これまでの遊びで既に数刻(一刻は二時間)は過ぎ去っているはずだ。だが、一向に腹は減らないし、ここに迷い込んだ頃から太陽の傾きが変わらない。それに気付いたと同時に草原を駆け回る彼らに対する興味が湧いてきている。
どうにかして彼らのことをもっと知りたいという欲が出てきたアルベルトは、頭の中で算段を立てた。一度この鬼ごっこを終わらせる必要がある為、恐らくキツネ達は不満を言うであろうが、別の遊びに誘えば問題はないはずだ。それはこの短い時間で知り得た。さて鬼ごっこを終わらせる方法を、と考えたところでアルベルトはニヤリと笑みを浮かべ即座に叫んだ。
「おい!僕の勝ちだ!」
彼の声を聞いたキツネ達は全身の毛を膨らませ、一斉に少年へと抗議した。
《コノ遊ビニ勝チ負ケハナイ!》
リーダー格のキツネが、吠える。鬼の交代はあれど、勝ち負けなど無い。周りのキツネたちもリーダーに賛同しアルベルトに近づいてくる。実際、キツネ達の言う通り勝ち負けの存在しない遊びでありアルベルトもそれは承知しているが――
「あれ?そうだったっけ?……まぁ、色んな遊びを初めてやったから大目に見てよ」
白々しく恍けた。彼の言葉を聞いたキツネ達はやや疲れた顔をしながらも仕方ないという雰囲気を漂わせている。だがそれにしても、キツネ達にはどうしても不可解なことがあった。
《ソモソモ鬼ハアルダロウ?勝チデハ無イダロウ》
そういった化けギツネ達のリーダーに対し、アルベルトはまたしても不敵な笑みを浮かべて首を振った。
「いや、僕がもう鬼じゃないのは確かだよ」
したり顔の少年に対し、一瞬間の抜けた顔をしたキツネ達だがすぐにムッとした表情でアルベルトに詰め寄った。しかしアルベルトはキツネ達が何かを言う前に一匹のキツネを指差して話始めた。
「僕は既に鬼じゃない。彼が鬼だよ」
《何デサ!僕ハタッチナンテ――、アッ!》
「気付いたかい?君が僕の服を噛んだ時、僕は君の鼻先を押し返したね?あの時に鬼の交代は起きていたんだ」
アルベルトが思考の海から抜け出してすぐのこと、近寄ってきていた青ギツネの一匹に対し逃げるように促したあの一瞬の出来事を一同が思い返していた。
《十秒ハ数エテナカッタ!》
「いや、それも僕に鬼が移った時点で皆が数えていただろう?」
本来であれば鬼が数えることになっている十秒という時間だが、アルベルトが回想する前の瞬間に確かにキツネたちが唱和していた。実際、彼が思考していた時間を考えても十秒はとっくに過ぎ去っていたのだ。
鬼だと言われたキツネは口を魚のようにパクパクとさせていて、上手く気持ちを言語化出来ずに居た。数瞬の後ようやっと言葉を発することが出来た。
《ズルイッ!》
「いやぁ、何せ初めての遊びだったからね。悪気はなかったんだ、許してくれよ」
何かと初めてだと言うことを繰り返して怒りの矛先をずらそうとするアルベルトは、キツネたちが抗議の姿勢を整える前に次なる提案をした。
「君達が本当に遊び好きだというのは十分に分かったよ。……だからね、僕も一つ遊びを考えてみた。やってみないかい?」
依然として不満気な顔をしていた化けギツネ達だが、彼が新しい遊びと口にした瞬間から目の色を変えて押し黙った。目は薄く開きさながら最初に襲われそうになった瞬間を思い出させる。
アルベルトは背中に薄ら寒いものを感じつつも、彼らの興味を失ってはいけないと喝を入れて続けた。
「折角君達と友達になれそうなんだ。僕は君達についてもっと知りたいし、君達にも僕を知ってもらいたい。だからお互いに質問をし合わないかい?僕が一つ質問をして君達が答えたら、君達が僕に質問をする。それを繰り返すんだ」
アルベルトがそう言うと、キツネ達は互いの顔を見つめてどうするかと問いかけあっているようであった。後ひと押しだと感じたアルベルトは、さらに付け加えた。
「……そうだな、それだけじゃ少し面白味に欠けるから、もう一つゲームを加えよう」
ゲームと聞いて一斉に視線が集まったところで、アルベルトは辺りを見回して、十歩ほど先にある砂地まで歩いた。砂地まで来ると傍に落ちていた木の枝を使い、地面に幾本もの直線を書いていく。縦横十五本ずつの直線を書いたところで一度手を止めた。
「このゲームで勝った者がより多く質問できるってのはどうかな?」
それは、姉達に聞いた『五目並べ』という遊戯であった。
穏やかな風が吹き、輝く若草の中を駆け回る青い体躯のキツネが五匹。いずれもにこやかに笑みを浮かべ、牙こそ見えているが口角は上がり楽しげなことが見て取れる。
《追イツイタ!アルガ鬼ダゾ!》
「――いや、ごめん。ちょっと追いつかない。僕は一体何でこの状況で鬼ごっこを……?」
鬼役だったキツネに鼻先で突っつかれてアルベルトに鬼が回ってくるが、状況を飲み込めずにいる彼はその場に立ち止まり、キツネ達が数を数える声を聞きながら少し前のことを思い出していた。
◆◆◆◆◆◆
遊ブゾ!!
「……、はい?」
この世に生を受けて、今日が一番の危機だという確信があったアルベルトは、先程の化けギツネ達の言葉にあっけにとられた。
ここで最期を迎えるのならば、もう少し姉様たちと話しておけば良かったとか、終ぞ父様とはまともに話すことも出来なかったのは心残りだとか、まだまだ魔法の研究をしたかっただのと少々普通の六歳児が考えないようなことまで走馬灯のように頭の中に浮かんでいたのに待っていたのは、コレだ。
いや、死ぬことに比べればこっちのほうが断然良い。良いのだが拍子抜けというか、先程までの緊張感や恐怖心に苛まれていた自分は一体何だったのかという気持ちになりやるせない。
《何ヲ呆ケテイル?》
「いや、え?……遊、ぶの?」
《ソウダヨ!他ニ何スルノサ?!》
周りを見れば当然だとばかりに五匹のキツネは頻りに頷いている。その後すぐにアルベルトそっちのけで口々に何をして遊ぶかと言い合っている。やれ鬼ごっこだの、かくれんぼだの、いやいや球蹴りだのとそれはもう口やかましい。同じような見た目をしているが、それぞれに好みがある上に我が強いらしく、中々遊びの内容が決まる様子はない。
(この獣たちは同種のようだが、個体差があるんだな。……そういえば、今までに誰かと遊んだことなんてあったかな?)
物心付いてからの数年、周りに居たのは年の離れた姉達と更に年の離れた使用人に家庭教師だけ。父はひと月に一度半日だけ帰ってきては着替えを持ってすぐに仕事に戻っていくだけで送迎の挨拶くらいしか言葉を交わした記憶はない。母が存命の時分には月に数度は来客が有り、親交のある他家の貴族やその子息や息女も訪れていたとロレッタから聞いたことがあったが、少なくともアルベルトの記憶ではそういったこともなかった。
つまり、生まれてからこれまでのアルベルトの人生において同世代との交流というものは無く、遊んだこともなかった。知識としてウェルズ領の民衆がどういった遊びをするのかというのは記憶しているが、見たこともやったこともなかった。
《――イ!――オイ、アル!!聞イテイルカ!》
「……え?あ、ごめん。聞いていなかった」
いつの間にかキツネらの口論は終わりを迎え、五対の視線がアルベルトを見つめていた。一番初めに近づいてきた個体――どうやらリーダー格らしい――が鼻先で小突いて彼を思考の海から引き摺り上げた。
何かを言いたげな目線をくれる眼前の青キツネは一つ小さな溜息を吐き、出来の悪い生徒に言って聞かせるかのようにもう一度アルベルトに質問をした。
《我ラハイツモ主張ガ強スギテ、中々遊ビガ決マラナイ。ダカラ、アルガ決メテクレ、ト言ッタノダ》
「そうか、うん。……困ったな。僕はこれまでこういった遊びをしたことがないんだ。だから何がどう楽しいかも分からない」
《何ダトッ?!ソレハモッタイナイ!》
アルベルトの言葉に絶望したような顔をする化けギツネ一同。元来、遊びに懸ける思いが強いキツネ達は今まで遊んだことがないという少年の存在が信じられぬものであるとともに、哀れみ慈しむべきであるとも感じていた。
数瞬の間が空いた後、一際口角が上がり人好きのする顔をしたキツネが、アルベルトのシャツを甘噛してから他のキツネに言った。
《ジャァ、順番ニ全部ヤレバイイ!》
◆◆◆◆◆◆
結局、その一言が鶴の一声となり化けギツネ達が特に好んで行う遊びを順番にしていく運びとなった。今にして思えば、アルベルトは特にキツネらと遊んでやる理由などなかったのだが、遊びを始めるとなった時には何故かそうするべきだと強く感じていたのだ。
早く遊びたい化けギツネの面々からすれば少なくない時間考え込んでいたアルベルトであったが、先程まで鬼役だったキツネが不満そうにシャツを引っ張るので、鼻先を押し返して逃げるように促す。
鬼になったものはその場で十数えてから他の参加者を追いかけ回し、体に触れて鬼を他者に押し付けるというルールの遊びだという。先程までの熱中度合いは何だったのかと思えるほどに、心が凪いでいる。
冷静になってみると色々と違和感を覚える。体感ではあるが、これまでの遊びで既に数刻(一刻は二時間)は過ぎ去っているはずだ。だが、一向に腹は減らないし、ここに迷い込んだ頃から太陽の傾きが変わらない。それに気付いたと同時に草原を駆け回る彼らに対する興味が湧いてきている。
どうにかして彼らのことをもっと知りたいという欲が出てきたアルベルトは、頭の中で算段を立てた。一度この鬼ごっこを終わらせる必要がある為、恐らくキツネ達は不満を言うであろうが、別の遊びに誘えば問題はないはずだ。それはこの短い時間で知り得た。さて鬼ごっこを終わらせる方法を、と考えたところでアルベルトはニヤリと笑みを浮かべ即座に叫んだ。
「おい!僕の勝ちだ!」
彼の声を聞いたキツネ達は全身の毛を膨らませ、一斉に少年へと抗議した。
《コノ遊ビニ勝チ負ケハナイ!》
リーダー格のキツネが、吠える。鬼の交代はあれど、勝ち負けなど無い。周りのキツネたちもリーダーに賛同しアルベルトに近づいてくる。実際、キツネ達の言う通り勝ち負けの存在しない遊びでありアルベルトもそれは承知しているが――
「あれ?そうだったっけ?……まぁ、色んな遊びを初めてやったから大目に見てよ」
白々しく恍けた。彼の言葉を聞いたキツネ達はやや疲れた顔をしながらも仕方ないという雰囲気を漂わせている。だがそれにしても、キツネ達にはどうしても不可解なことがあった。
《ソモソモ鬼ハアルダロウ?勝チデハ無イダロウ》
そういった化けギツネ達のリーダーに対し、アルベルトはまたしても不敵な笑みを浮かべて首を振った。
「いや、僕がもう鬼じゃないのは確かだよ」
したり顔の少年に対し、一瞬間の抜けた顔をしたキツネ達だがすぐにムッとした表情でアルベルトに詰め寄った。しかしアルベルトはキツネ達が何かを言う前に一匹のキツネを指差して話始めた。
「僕は既に鬼じゃない。彼が鬼だよ」
《何デサ!僕ハタッチナンテ――、アッ!》
「気付いたかい?君が僕の服を噛んだ時、僕は君の鼻先を押し返したね?あの時に鬼の交代は起きていたんだ」
アルベルトが思考の海から抜け出してすぐのこと、近寄ってきていた青ギツネの一匹に対し逃げるように促したあの一瞬の出来事を一同が思い返していた。
《十秒ハ数エテナカッタ!》
「いや、それも僕に鬼が移った時点で皆が数えていただろう?」
本来であれば鬼が数えることになっている十秒という時間だが、アルベルトが回想する前の瞬間に確かにキツネたちが唱和していた。実際、彼が思考していた時間を考えても十秒はとっくに過ぎ去っていたのだ。
鬼だと言われたキツネは口を魚のようにパクパクとさせていて、上手く気持ちを言語化出来ずに居た。数瞬の後ようやっと言葉を発することが出来た。
《ズルイッ!》
「いやぁ、何せ初めての遊びだったからね。悪気はなかったんだ、許してくれよ」
何かと初めてだと言うことを繰り返して怒りの矛先をずらそうとするアルベルトは、キツネたちが抗議の姿勢を整える前に次なる提案をした。
「君達が本当に遊び好きだというのは十分に分かったよ。……だからね、僕も一つ遊びを考えてみた。やってみないかい?」
依然として不満気な顔をしていた化けギツネ達だが、彼が新しい遊びと口にした瞬間から目の色を変えて押し黙った。目は薄く開きさながら最初に襲われそうになった瞬間を思い出させる。
アルベルトは背中に薄ら寒いものを感じつつも、彼らの興味を失ってはいけないと喝を入れて続けた。
「折角君達と友達になれそうなんだ。僕は君達についてもっと知りたいし、君達にも僕を知ってもらいたい。だからお互いに質問をし合わないかい?僕が一つ質問をして君達が答えたら、君達が僕に質問をする。それを繰り返すんだ」
アルベルトがそう言うと、キツネ達は互いの顔を見つめてどうするかと問いかけあっているようであった。後ひと押しだと感じたアルベルトは、さらに付け加えた。
「……そうだな、それだけじゃ少し面白味に欠けるから、もう一つゲームを加えよう」
ゲームと聞いて一斉に視線が集まったところで、アルベルトは辺りを見回して、十歩ほど先にある砂地まで歩いた。砂地まで来ると傍に落ちていた木の枝を使い、地面に幾本もの直線を書いていく。縦横十五本ずつの直線を書いたところで一度手を止めた。
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