番かぁ、わかってるんです。もう少しお待ちください。

キャロル

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第5話 番が目の前に現れたらあなたはどうしますか? (テリオン・B・ドラゴニアの場合)

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皇城にある皇帝の執務室にて大理石で出来たテーブルを挟んで深妙な面持ちで向かい合う。大柄な男が2人

なぜこのように難しい表情を受けべているのか、



それは…………、





「テリオン、前代未聞だぞ!これは我が獣人国、建国史上初めての事ではないか?我ら皇族(竜)が番に逃げられ…」

「逃げられてません!」

「テリオン………、逃げられたも同然ではないか?迎えに行ったら消えていてしかも4年も隠れられていたなんて………クククク、」

「笑い事ではありませんよ!まさか彼女が……、皇族である私の番が番認識阻害魔道具を付けていたなんて、しかも自らその魔道具開発に携わるなんて………、私がどれ程衝撃を受けたか、兄上にはわからないでしょう。
魔道具の影響で彼女を番と認識できていなくても初めて彼女に会った時、あれ程疎ましいと思っていた女性を好ましいと感じた自分に驚きそして番ではないのかと落胆したんだよ。
この4年、番を探しながらふと何度も彼女の姿が浮かんでいたんだ!なのに……、」

同じ竜種の番を持つ兄上には私の気持ちはわかるまい。同種なら成人前に番が判明し成人をするまで側に囲い込む事ができるんだから。

「うむ、少しこちらで彼女の事を調べたんだが、なんせ公爵の護りが厳重な上に本人が中々表に出て来ない。
常にガリッシュ公爵夫人と魔道具の共同開発して行動を共にしているようだが、彼女らの行動に関してはわからない事が多くてな、調べによると10歳の頃より今の妖精国のカリッシュ公爵夫人と共に
画期的な魔道具を次々と開発していて2人とも稀代の天才魔道士と言われているのだが、兎に角2人の血筋も一筋縄ではいかない面々のオンパレードなんだよ。  この2人の親、リーシャ・バレンティノの母親とキャロル・カリッシュ公爵夫人の父親が兄妹でしかもリバティーノ王国の王弟と王妹、恋愛主義国家、番に疎い人族ときた。」

「ああ、そういえばバレンティノ公爵の番は人族でしたね。
人族が番である確率は稀なのだが、現在では妖精国では2組我が獣人国では3組しか居ない。
だとするとリーシャ嬢はハーフ、人族に感覚が近いため番の認識がないとか?だから体臭がない?」

いやいくら人族でも体臭すらないなんてありえないな。それも魔導具効果か。

「いや、私が公爵に確認したら、父親の遺伝子で紛れもなく獅子の獣人だそうだ。となるとどうやって本人は番への感情を
コントロールしてるんだ?
あの感覚を意図的に制御できるものなのか?
番ってしまえばある程度落ち着くが番と対面して認識した場合軽いヒート状態に入って結構辛いはずなんだがなぁ~、
調べた所彼女は味覚、嗅覚、聴覚、記憶全てが優れているそうだだから、番同士にしかわからない香りや共鳴感は彼女は感じ認識しているはずだ!
普通なら頬を染め熱い眼差しを向け側に行きたい早くツガイたいと願うものなのだが?
本当に彼女がお前の番なのか?
勘違いって事はないか?」

「おそらくとしか言えませんが、今では彼女が番じゃなくても番いたいとさえ思うほど焦がれてますよ。」

「だろうな、あれ程嫌がっていた権力使って暫くリーシャ嬢からカリッシュ公爵夫人を引き離したんだから、」

ザカライヤ・カリッシュ公爵は妻の願いでもあるから黙認していたのだろうが、これ以上は私も黙ってはいない!
使えるものはなんでも使う。
ひとまず夫人がリーシャ嬢の側にいない方が動きやすい。

「それで、この後どうするんだ?」

この際なりふり構ってられないそろそろ私も限界だ!

「バレンティノ公爵夫人の力を借りる事にしました。」

「ホウ、公爵夫人の?どうやって?」

「昨日夫人が公爵を訪ねてきた所を偶然を装い情に訴えてみたんですよ。待ち伏せたのは……あれ…ですが、焦燥にかられた気持ちを伝えたら、リーシャ嬢と話す機会を設けてくれる事になってしかも例の魔道具もご存じでしたので、外させておくと約束くれましたよ。」

「という事は公爵夫婦は知っていたという事だな、まぁ、こちらも表だってテリオンの番が現れた事を好評していなかったから、その事は咎められないが………、皇族の番を隠すとは……、なんとも黄金獅子……、侮れんな。昨日私も公爵に尋ねたのだ。其方の娘はテリオンの番なのか?と」

「なんと言ってましたか?」

「クククク、なんと言ったと思う?それは娘が感じ決める事、そこに我が感情は関係ない、娘がテリオン殿下を番と言えば番であるし、否と言えば否。とな。」

「黄金獅子らしい返答ですね、正しいと思えば権力にも決して屈しない。家族の為なら平気で権力に刃向かおう。これから私の義父となるに相応しい人物です。」


「対面叶う事になったのは僥倖ではあるが、……お前は……、その……、なんだ、ホレアレだろ?」

「?なんですか?あれって、気持ち悪い顔辞めて下さい!」

「失礼だな!可愛い弟を心配してやってるのに!」

「なんですかいったい!勿体ぶってないではっきりと言って下さいよ!」

「いいのか?それなら………、お前未経験だろ?番い方抱き方わかるのか?」

「!!!!そんな……べ、勉強しましたよ!(書物で)ご心配には……お呼びません!何事も器用にこなせますから!」

「………、器用にねぇ~まぁ番が現れる前ならいくらでも女抱けたんだろうが、番がいる状態では番以外は無理だからなぁ、お前今何歳だ?軽く彼女の3倍は歳とってんだろ?」

「……、それが何か?問題でも?元々竜は長寿なんですから番との年の差100歳以内なら普通でしょうがむしろ私は50前に見つかったんですから、早いですよ。」

「その50年間禁欲生活ってどんだけ聖人君子なんだか、寧ろ発散した事ないお前が番を目の前に何かしでかさない事
祈ってやるよ」

「そんなくだらない心配は無用です!日々精神鍛錬は欠かしていませんから!」

(そうだといいが………そんな簡単に行かないのと思うのだが、)

呟くように発せられた兄の言葉は私の耳には届かなかった。










面会当日、私ははやる気持ちを抑えるのに必死で道中駆け出したいと何度も思った。

リーシャ嬢の魔道具が外された事を感じた。


必死に自分を律しギュッと握る手に力が籠る。







屋敷の入り口で公爵が出迎えた。

「殿下、ようこそおいで……下さいました。中で暫しお待ち頂いて宜しいでしょうか?
娘の支度が整い次第連れて参りますので。」

「いや、こちらこそ席を設けてもらい感謝する。私が予定より早く着いてしまったのだ、ゆっくり支度してくれて構わない」

「あ、殿下くれぐれも、成人したての若造のようにを無くすことの無いようにお願い致します。
妻のように私は寛容ではありませんので、リーシャが嫌がる事はなさいませんように切に願います。」

「大丈夫だ(多分)」

不本意だという感情を隠す気もないな!

些かこの香りの中で番わず自我を保つのは難儀だが、大丈夫だ!大丈夫。忍耐には自信がある。



公爵の屋敷に到着し公爵家筆頭執事が応接室まで案内した。

「殿下、こちらでお待ち下さい。ただいまお茶をお持ちいたします。」


屋敷に着いてからずっと感じる番の気配と芳しく甘い果実のような香りに熱く胸が高鳴り、想像以上の酩酊感が私を襲う。

ああ、間違いない私の番がここにいる。

いかん!しっかりと意識を保たなければ、ここでの失態は許されない。しっかりしろ!







コンコンーーーー

ガチャ!


「失礼致します。」

公爵と夫人と共に部屋に入ってきた彼女はドアを背にうつむき加減で静かに頭を下げていた、明らかに緊張して体を強張らせているのがみて取れる。

公爵と夫人は軽く私に挨拶して私が座っている向かいのソファに腰掛けた。

ドアの前から動かない彼女に私はソファから立ち上がり

「突然の申し出にも関わらず会う事を承諾してくれて感謝する。そんなに硬くならないでくれ!顔を上げてくれないか?
知ってると思うが改めて、私はテリオン・B・ドラゴニアだ!」

ゆっくりとドレスを掴み流れるような優雅なカーテシー

「皇帝弟殿下にご挨拶申し上げます。リーシャ・バレンティノと申します。」

緊張からか少し声が震えていたが相変わらず心地よい柔らかい声色だ、

ゆっくりと顔を上げた彼女と視線が合った瞬間頭上に雷でも落ちたかのような電流が体を巡り自分でも驚くほどの深い劣情に支配された。

完全に無意識だった。

本能とは恐ろしい、涼やかな対応が出来る自信があった。

ほんの数秒前までは………。

いつの間にか彼女を抱き上げ2人を包むように結界を張り挙げ句の果てに彼女の首元に顔を埋め思いっきり香りを吸っていた。


その間公爵の怒りに満ちた怒声とそれを笑いながら諌める夫人の声が聞こえたが、今の私にとって些細などうでもいい事、
やっとこの手にした番を離す気はサラサラない!

このまま連れて行ってしまおう2人っきりになりたい番いたい!と歩き始めた所で、

「で、殿下!苦しいです!離して下さい!」

と目に涙を浮かべ懇願するリーシャなんとも愛らしい例え愛しいリーシャの願いとて
それは聞けぬ!

やっと会えた愛しく愛らしいリーシャ離す訳ないだろうと耳元で囁く。


すると、照れてるのか?顔を真っ赤にして愛しいリーシャから発せられた言葉は、













ポツリと、









『離さないなら嫌いになります。』





!!!!!!怒ってる?


やばい!!!




俺、やっちゃった?





テリオン・B・ドラゴニア  番が目の前に現れたら…………、暴走モード突入しかけてピンチです。





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