3 / 45
第一章 初めての交際
3 はじまり
しおりを挟む
バスを降りる頃には、茜の説得に応じて、工藤真斗と付き合う事を承諾していた。私は男の子と話すのが苦手で、ましてや二人だけになる事さえも怖がっていた。しかし、茜のお墨付きの工藤真斗と付き合う事で、臆病な私にもけりをつけようと思った。茜は合宿中に、倉橋先輩の交際の申し込みを受けた。
春休みが間もなく終わろうとしている3月末、茜からの呼び出しで、工藤君と3人で会うことにした。
駅前のマックの2階に上がっていくと、茜と工藤君が仲良さそうに話していた。割って入り難い雰囲気だったが、茜に声を掛けた。
「ごめん、待たせた?」
「ううん全然。」という茜は、白のブラウスの上にブルーのニット、同色のフレアスカートがよく似合っていた。長い髪は後ろで一つに束ね、学校にいる時よりも大人っぽく見えた。私は、白のパーカーにジーパン、ダッフルコートという格好で、どうにも子供っぽく見えた。一方の工藤君は黒のパーカーにジーパンで、私と示し合わせたような服を着ていた。
工藤君は私の顔を見て、照れた表情で、
「よっ!この度はどうも。」とおどけたようだった。茜は間髪を入れず、
「何それ、お膳立てしたんだから、はっきりと言いなさいよ。愛海も座ったら?」
3人で注文したものを食べながら、部活や学校の話をして時間を費やした。
「じゃあ、私は約束があるから。あとは二人で仲良くやってね。愛海、また学校でね。」と茜はさっさと帰っていった。工藤君と二人残された私は、
「何で工藤君は、私と付き合いたいの?」と気になっていた事なので訊いてみた。工藤君は私をちらっと見て、
「桐野さんのこと、前から可愛いなと思っていて…。」少し顔を赤らめながら、「俺のこと、どうかな。」と訊いてきた。
「どうって?付き合うかどうかってこと?それとも、好きかどうかってこと?」
「うんまあ、両方かな。」
私はどう応えようかと迷っていた。異性を好きになるというのはどういう事なのか、まだピンと来ていなかった。工藤君に交際を申し込まれて、嬉しかったしドキドキもした。それが好きという事ならそうだけど、多分違うと思う。黙っていると、工藤君が、
「俺は桐野さんのことが好きだよ。だから、付き合ってほしい。」いつも教室で見ている工藤君とは別人のようで、真剣に訴えてきた。
「工藤君の気持ちは分かったよ。好きなのかどうかは別にして、私、付き合ってもいいよ。」何とも歯切れの悪い答え方だけど、今の私には精一杯の返事をした。異性と付き合う事、一緒に過ごす事の意味はまだ分からないが、工藤君との交際に胸がわくわくして、なぜか期待している自分がいた。
春休みが間もなく終わろうとしている3月末、茜からの呼び出しで、工藤君と3人で会うことにした。
駅前のマックの2階に上がっていくと、茜と工藤君が仲良さそうに話していた。割って入り難い雰囲気だったが、茜に声を掛けた。
「ごめん、待たせた?」
「ううん全然。」という茜は、白のブラウスの上にブルーのニット、同色のフレアスカートがよく似合っていた。長い髪は後ろで一つに束ね、学校にいる時よりも大人っぽく見えた。私は、白のパーカーにジーパン、ダッフルコートという格好で、どうにも子供っぽく見えた。一方の工藤君は黒のパーカーにジーパンで、私と示し合わせたような服を着ていた。
工藤君は私の顔を見て、照れた表情で、
「よっ!この度はどうも。」とおどけたようだった。茜は間髪を入れず、
「何それ、お膳立てしたんだから、はっきりと言いなさいよ。愛海も座ったら?」
3人で注文したものを食べながら、部活や学校の話をして時間を費やした。
「じゃあ、私は約束があるから。あとは二人で仲良くやってね。愛海、また学校でね。」と茜はさっさと帰っていった。工藤君と二人残された私は、
「何で工藤君は、私と付き合いたいの?」と気になっていた事なので訊いてみた。工藤君は私をちらっと見て、
「桐野さんのこと、前から可愛いなと思っていて…。」少し顔を赤らめながら、「俺のこと、どうかな。」と訊いてきた。
「どうって?付き合うかどうかってこと?それとも、好きかどうかってこと?」
「うんまあ、両方かな。」
私はどう応えようかと迷っていた。異性を好きになるというのはどういう事なのか、まだピンと来ていなかった。工藤君に交際を申し込まれて、嬉しかったしドキドキもした。それが好きという事ならそうだけど、多分違うと思う。黙っていると、工藤君が、
「俺は桐野さんのことが好きだよ。だから、付き合ってほしい。」いつも教室で見ている工藤君とは別人のようで、真剣に訴えてきた。
「工藤君の気持ちは分かったよ。好きなのかどうかは別にして、私、付き合ってもいいよ。」何とも歯切れの悪い答え方だけど、今の私には精一杯の返事をした。異性と付き合う事、一緒に過ごす事の意味はまだ分からないが、工藤君との交際に胸がわくわくして、なぜか期待している自分がいた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
7
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる