すれ違う恋の告白日記【中編】

秋 夕紀

文字の大きさ
5 / 25
第5話 紺野来人(20歳)のブログ=梅枝七海(17歳)

<12月11日>ファーストキスを奪う

しおりを挟む
 #今日は七海を誘って、浜名湖へドライブに出掛けた。舘山寺かんざんじの浜辺で初めてのキスをしたが、その後の計画に邪魔が入ってしまった。
 七海とは夏休み以来メールのやり取りをしていて、近々帰郷するとメールしたら会いたいと言ってきた。こんなチャンスはないと思い、父親の車を借りてドライブを計画した。目的はもちろん彼女をおとす事で、雰囲気を作ってキスをし、その流れで抱く事ができればと策略していた。一緒にナンパした金澤は、花織という子を抱いたと言っていた。どうせうまい事を言って口説いたか、無理矢理に迫ったか分からないが、彼の手口は巧妙で、俺も見習って七海をモノにするつもりだった。
 彼女の目的は、自分の書いた小説を読んで欲しかったらしいが、俺はそんな事はどうでも良かった。舘山寺の浜辺に下り立った時に、チャンスが訪れた。寒さで震えている彼女をグランドコートに包み込んで抱き寄せ、そして唇を奪った。キスは初めてらしく、寒さだけの震えでないと分かった。ついばむようなキスを何度かしていると、彼女は立っていられなくなって身体を預けてきた。車の中でその続きをしようかと思ったが、ここであせる事はないと思い、やさしくいたわりながら車を出した。#

 期末テストが終わった土曜日、七海は来人らいとの運転する車で浜名湖に向かっていた。父親の車を借りるので、一緒にドライブに行かないかとメールが来ていた。七海は二人きりで車に乗って出掛ける事に迷っていたが、真面目そうな彼を信頼していた。親には、まさか男子大学生とドライブに行くとは言えず、友達と静岡の繁華街に行くと嘘を付いて出掛けた。
☆七海☆紺野さんと二人だけのドライブに最初は緊張していたが、浜松に着く頃には大分慣れた。鰻屋さんで私の書いた小説を渡すと、ペラペラとページをめくっていたが、特にコメントはなかった。浜名湖大橋を渡り、ガーデンパークに立ち寄って舘山寺へと向かった。彼のエスコートは完璧で、大人の女性として扱われているようで、しかも恋人と過ごしているような気分でいた。☆☆☆☆☆

 舘山寺の浜辺に下り立った時には、日は西に傾きかけていて、この地区特有の遠州の空っ風が吹き荒んでいた。七海はダッフルコートを着ていたが、冷たい風に耐えられず襟をつかんで震えていた。すると、紺野が自分のグランドコートで七海を包み込み、両手を胸の辺りに回して抱き寄せた。七海は身動きが出来ず、そのまま彼の体の温かさに身を預けていた。
「寒いけど、もう少しこうしていていい?」と紺野に頭の上でささやかれ、七海は頭の中が真っ白になり、軽くうなずいていた。すると、
「七海ちゃん、こっち向いて!」と言われて顔を上げた瞬間、彼の唇が七海の唇をとらえた。初めてのキスは突然で、七海はそのまま固まっていた。
☆七海☆初めてキスされた時、あまりにも突然過ぎて何が何だか分からなかった。知り合ってから会うのは二度目で、しかも正式に交際をしている訳でもない相手と、自分がいとも簡単にキスするとは思わなかった。心の中ではあり得ない事として拒絶していたが、身体はキスを受け入れていて震えが止まらなかった。初めは寒さで冷たかった彼の唇は、2度3度と繰り返される内に温かさを感じるようになった。そこからは立っていられなくなり、彼に身を預けてしまった。☆☆☆☆☆

 紺野は目的の一つを成し遂げた事に満足し、次の段階にどう進むかを考えていた。車の中でする事も考えたが、初めての女の子を狭い車内で犯す事は無理だと思った。
ふるえているよ!寒いの?ごめんね、車に行こうか!」と促し、彼女を支えて車に戻った。彼が買って来てくれた温かい飲み物を口にし、七海はようやく落ち着きを取り戻し、今起こった事を改めて考えていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

クラスで一番人気者の女子が構ってくるのだが、そろそろ僕がコミュ障だとわかってもらいたい

みずがめ
恋愛
学生にとって、席替えはいつだって大イベントである。 それはカースト最下位のぼっちである鈴本克巳も同じことであった。せめて穏やかな学生生活をを求める克巳は陽キャグループに囲まれないようにと願っていた。 願いが届いたのか、克巳は窓際の後ろから二番目の席を獲得する。しかし喜んでいたのも束の間、彼の後ろの席にはクラスで一番の人気者の女子、篠原渚が座っていた。 スクールカーストでの格差がありすぎる二人。席が近いとはいえ、関わることはあまりないのだろうと思われていたのだが、渚の方から克巳にしょっちゅう話しかけてくるのであった。 ぼっち男子×のほほん女子のほのぼのラブコメです。 ※あっきコタロウさんのフリーイラストを使用しています。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件

暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

みんなの女神サマは最強ヤンキーに甘く壊される

けるたん
青春
「ほんと胸がニセモノで良かったな。貧乳バンザイ!」 「離して洋子! じゃなきゃあのバカの頭をかち割れないっ!」 「お、落ちついてメイちゃんっ!? そんなバットで殴ったら死んじゃう!? オオカミくんが死んじゃうよ!?」 県立森実高校には2人の美の「女神」がいる。 頭脳明晰、容姿端麗、誰に対しても優しい聖女のような性格に、誰もが憧れる生徒会長と、天は二物を与えずという言葉に真正面から喧嘩を売って完膚なきまでに完勝している完全無敵の双子姉妹。 その名も『古羊姉妹』 本来であれば彼女の視界にすら入らないはずの少年Bである大神士狼のようなロマンティックゲス野郎とは、縁もゆかりもない女の子のはずだった。 ――士狼が彼女たちを不審者から助ける、その日までは。 そして『その日』は突然やってきた。 ある日、夜遊びで帰りが遅くなった士狼が急いで家へ帰ろうとすると、古羊姉妹がナイフを持った不審者に襲われている場面に遭遇したのだ。 助け出そうと駆け出すも、古羊姉妹の妹君である『古羊洋子』は助けることに成功したが、姉君であり『古羊芽衣』は不審者に胸元をザックリ斬りつけられてしまう。 何とか不審者を撃退し、急いで応急処置をしようと士狼は芽衣の身体を抱き上げた……その時だった! ――彼女の胸元から冗談みたいにバカデカい胸パッドが転げ落ちたのは。 そう、彼女は嘘で塗り固められた虚乳(きょにゅう)の持ち主だったのだ! 意識を取り戻した芽衣(Aカップ)は【乙女の秘密】を知られたことに発狂し、士狼を亡き者にするべく、その場で士狼に襲い掛かる。 士狼は洋子の協力もあり、何とか逃げることには成功するが翌日、芽衣の策略にハマり生徒会に強制入部させられる事に。 こうして古羊芽衣の無理難題を解決する大神士狼の受難の日々が始まった。 が、この時の古羊姉妹はまだ知らなかったのだ。 彼の蜂蜜のように甘い優しさが自分たち姉妹をどんどん狂わせていくことに。 ※【カクヨム】にて編掲載中。【ネオページ】にて序盤のみお試し掲載中。【Nolaノベル】【Tales】にて完全版を公開中。 イラスト担当:さんさん

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

処理中です...