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第2章 初めてのデート

3 二人の距離

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 そのまま手を繋いで公園に着くと、まだ別れ難くてベンチに並んで腰掛けた。真斗が販売機で缶ジュースを買ってきた。
「じゃあ、ジュースを飲み終わるまでね。」愛海が言うと、真斗は愛海の肩に手を置いてそばに引き寄せた。しかも、肩を引き寄せる手には力が込められていた。
~真斗~いい雰囲気だから、キスできるかな。まだ早いかな。

 愛海は真斗からすっと身をわして、ブランコの方に歩いて行った。
 公園を出て、愛海は南へ歩いて10分、真斗は自転車で北へ10分の所に家がある。帰り道を歩きながら、愛海は今日1日の事を考えていた。
 ~愛海~真君は初めから私を愛海と呼んでいて、距離をなくそうとしていたの
  に、私はそれに抵抗があってあえて真君と呼んでいる。今日のデートで、
  二人の距離は少し縮まったから、真君の事を真斗と呼ぶ事にしよう。
   でも、男の子は何を考えているのかよく分からない。楽しく話してい
  る時も、ずっと触れようとか肩を抱こうとか、そんな事を考えているのかな。
  私が幼稚なのかもしれないけど、一緒にいるのが楽しいだけで、それ以上の事
  は考えられない。確かに寄り添って座っている時は心地良かった。ゲームを
  やっている時に髪を触られてゾクッとしたし、肩に手を置かれた時も悪い気は
  しなかった。でも、その先はまだ考えたくない。だから真斗から瞬間逃れたけ
  れど、真斗はどう思ったかな。
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