シーズナルラブソング

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10.Coming of Age Love Song ⑥

「俺たちも帰ろうぜ。」
気を取り直して郡司に声をかけたところで、浩也は腕に重みを感じた。
「だめ。もう、動けない……。」
郡司は目を潤ませ、浩也の腕にぐったりと倒れこんだ。
「怖くて、腰が抜けた。心臓だって、ほら。」
郡司は浩也の手を取ると、自分の胸に押し当てた。
「救急車呼ぶか?」
「少し休んでいきたい。」
郡司は甘えるように浩也の首に腕を回し、二人はそのままベッドに倒れこんだ。
いつもならそのまま郡司を裸に剥いて、朝までやりまくるところだが、今回ばかりは浩也もそういう気分にはなれなかった。
先ほどの郡司の言葉が耳にこだまする。
「なあ、郡司。」
「うん?」
浩也は郡司を腕に抱きしめ、肩に顔を埋めたまま問いかける。
「俺ってさ、もしかしてお前の気持ち全然考えずに、お前の嫌がること一方的にいつもやってたのかな……。」
だとしたらあまりにも哀しすぎた。
初めて郡司と一つになったときの喜びも、二人で同時に達したときの官能も、全て独り善がりな幻想だったのかと思うと、浩也は無性に寂しくなった。
郡司と自分の関係とは、一体なんだったのだろう?

「何言ってるの?浩也は一度だって俺にひどいことなんかしたことないよ?」
「さっき、お前の言葉聞いて、心が痛くなった。『自分が絶対にされたら嫌なことを人にしようとするなんて最低だ』って言ったじゃん。俺、もしさっきの島本の立場になったら、やっぱりやめてくれって泣き叫ぶかもしれない。」
今度こそ郡司に愛想をつかされてしまうかもしれない、と浩也は思った。
島本を責める権利など、自分にはない。
島本の卑劣さを罵った言葉は、そのまま浩也自身に撥ね返る。
「浩也は、俺とセックスするのが嫌だったの?」
「逆だよ、いつもお前とやることばっかり考えてて、でも、俺ばっかり一方的にやることしか考えてなくて――」
「俺に触れられるの、嫌?」
「違うよ、いつまでもこうしていたい、ずっと肌を重ねていたい。だけど、その……自分が抱かれる側になるってことは、考えたことなくて、そういう覚悟は出来てない。お前にばっかりそういう役割を無理強いしてきたんだなって、今更気づいた。俺ってバカだ。」
くすっと郡司が笑みを漏らす。
「浩也、変なの。そんなこと考えるなんて、ほんとバカ。」
郡司は身体を起こして浩也に跨ると、両手で浩也の頬を挟んで顔を覗き込んだ。
ゆっくりと郡司の唇が降ってくるのを、浩也はなすがままに受け入れた。
「浩也は俺に無理強いなんてしたことないよ。俺は浩也に抱かれたり、恥ずかしいことをされるのが大好きだし、最高に気持ちいいし。もし浩也が俺に逆のことされたいっていうなら、悦んでしてあげたいって思うけど、浩也がされたくないことをしたいとは、俺は思わないよ。」
「俺にやられるの、嫌じゃない?」
「嫌だって言ったことある?いつ?初めてのとき?それともバレンタインのとき?それとも入学祝のとき?それとも……」
「わああ、もういい、もういい。」
今までのセックスを全部挙げて、一つ一つ検証しそうな勢いの郡司を、浩也は慌てて止めた。
「浩也に抱かれるのは大好きだよ。でも、浩也以外の人間と、裸で抱き合ったり、体中舐めあったり、しごきあったり、お互いのしゃぶったりするのは嫌かも。それから、ハメ撮りしたりとか、えーと……」
「わあ、いいよ、もう、いいって。わかった、わかった。」
浩也は顔を真っ赤にして郡司を止める。
郡司はクスクスと笑いながら、浩也の服を一枚一枚脱がせてゆく。
「浩也は?俺以外の人とエッチしたくなる?」
「ならねえよ、お前だけだ。」
「本当?」
少し疑わしそうに見つめながら、郡司は浩也のトランクスに手をかけた。
既に力を湛え上を睨んだ欲望があらわになる。
郡司は裏筋をそっと指先でなで上げた。
「ちー姉にこういうことされて誘われたら?」
「速攻逃げる。」
「浩也……!」

しがみつく郡司を引き剥がし、今度は浩也が郡司の服を脱がせにかかる。
乱れたシャツのボタンが数個、弾け飛んでいる。
島本に襲われかけたときになくなったのだろう。
「すぐに助けられなくてごめんな。」
「ううん、俺は浩也を信じていたよ。ね、もっと乱暴に脱がせて。浩也に、めちゃくちゃにされたい。」
「そんなことできねーよ。お前のこと、本当に大事なのに。」
「浩也にだったら、何されてもうれしい。恥ずかしいことも、いっぱいされたい。」
頬を赤らめ、目を潤ませながら郡司は浩也に足を絡めた。
浩也はいよいよ興奮し、猛る欲望を必死で諌めながら、郡司の身体を開いてゆく。
内股に舌を這わせ、固く閉じた入り口に唇を寄せて唾液で湿らせ、熱い吐息を吹きかける。
「あ…っ、んぅっ」
郡司が息を漏らす。
透明な蜜を滴らせた郡司のそれを浩也は口に含み、吸い上げながらそっと後孔に指を差し入れる。
ゆっくりと狭く熱い入り口を解し、少しずつ奥へと進めると、郡司は逃げるように腰をよじった。
「っ、あ、浩也…、だめだ…よ、あっ、そんなことされたら――」
「たくさんいってくれよ、郡司。気持ちよくなって、恥ずかしい姿いっぱい見せてくれよ。」
浩也は郡司のペニスから口をはずし、もう片方の手でしごき上げなら囁いた。
「あ、もうだめ、ぁあ、あっ」
ペニスと前立腺を同時に刺激され、郡司の身体はひくひくと震えながら、白濁を迸らせた。
「ひ…ひろやっ、浩也も、浩也のことも気持ちよくしたい……。」
息を荒げながら、郡司は浩也の熱い昂ぶりに手を伸ばす。
「挿れて、俺の中、いっぱいにして欲しい…浩也と、一つになりたい。」
浩也の欲望を煽りながら、郡司は腰を突き出し、秘められた場所を震える指で自ら広げてみせる。
浩也はローションを取り出し、たっぷりと塗りこめると、郡司のそこに自身をあてがった。
「早く、焦らさないで、もう――」
泪目になりながら、郡司がねだるように腰を振る。
浩也はゆっくりと身体を押し進めた。
痛いほどいきり立った浩也のペニスが、圧迫感を伴いながら郡司の中に飲み込まれてゆく。
「ぁあああっ」
郡司は艶かしいうめき声を上げ、浩也を締め付けたまま背中を反らせる。
「浩也の、すごく熱い……。」
「お前の中も、すげ……熱くて蕩けそう。動いていい?」
「うん、突き上げて、めちゃくちゃに……あっ…」
パンパンと肌のぶつかる音に、ローションの滑りを借りながら粘膜が擦れる音、そして熱い吐息。
他には何も聞こえない。
浩也は既に忘我の境地で、腰を振っていた。
気づいたときには、浩也は抑える間もなく郡司の中に射精していた。
「ごめん、気持ちよすぎて……早すぎ。かっこわりい。」
郡司が首を振る。
「まだ固くて熱いよ。もっと、壊れるまで、もっと……」
郡司は自ら腰を振り、そのたびに中の精液が水音を立て搔き出され、郡司の股を伝い落ちる。
「まってくれ、郡司、そんなに締め付けるなって、ぅううっ」
熱に浮かされたように、二人は絡まりあい、意識がなくなるまで互いの身体を貪りあった。


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