忘れられない思い

yoyo

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再会⑴

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   3月に大学院を卒業し、新社会人として真野匠まのたくみはスタートしていた。今日は新入社員の歓迎会で、とある居酒屋に来ている。この時期の居酒屋は、歓迎会と思われる宴会が色々な席で行われていて、あちこちから賑やかな声が聞こえてきた。


 「真野くん。飲んでるかい? ささっ、コップを空けて。君には期待してるからね。よろしく頼むよ」

   何とか胃に収めて空にしたコップに、新たにビールが注がれていく。課長は社交辞令的な言葉2、3語交わすと、ビールを持って、また忙しなく席を離れて行った。

   並々と注がれたこコップを一瞥して、そっとテーブルに置く。同じ部署の人数は、そんなに多くないものの、今年の新入社員は1人だったこともあり、入れ替わり立ち替わり、挨拶がわりにお酌をされた。
   場に気づかれない様に、平静を装いながらトイレに立ち上がると、一瞬ふらつく。お酒はあまり強くなく、だいぶ回ってるなと自覚する。


    トイレの洗面所で少し酔いを覚ましていると、声をかけられる。

「君?大丈夫?」

「あっはい……」


   答えながら、顔を上げると見覚えのある顔にドキッとする。

「具合悪い?ん?……あれ?もしかして……真野?」

   やっぱり、そうだ……奥田春人おくだはると先生。


「お……奥田先生……」

「あーやっぱり真野かぁ。懐かしいな……って、大丈夫か?」

「はい。ちょっと休んでただけです」



   奥田先生は、高校3年の時の数学の先生で、卒業してから7年ぶりだった。高3の4月に別の学校から着任して来て、すぐに男女問わず慕われて、常に先生の側には誰かいて、ボクはそんな様子をいつもぼんやり眺めていた。



「いくつになったんだ?25か6か?」

「あ……25です。今年、院を卒業して就職しました」

「そうか。もしかして、今日は歓迎会とか?」

「そうです」

「社会人として最初の関門か?あんまり、水差すことは言いたくないが、もう飲まない方がいいぞ」

「はい。もう、お開きになると思うので、まっすぐ帰ります」

「そうだな。仕事頑張れよ」



   そう言うと、先生は行ってしまった。

   ドッドッドッドッドッ……びっくりした……まさか、こんな所で奥田先生に会うなんて。
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