忘れられない思い

yoyo

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プレゼント⑸

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   イワシの大群やクラゲの浮揚を見て回り、併設しているカフェで一休みしたり、場所を変えて自然公園を散策したり、展望台に登ったり……先生と楽しい時間を過ごす。外の公園でも、歩くときは先生の方から、手を差し出してくれて、ずっと手を繋いでいてくれた。
   日がだいぶ傾いて来て、ちょうどレンタカーを返して来たところだった。


「さて、夕飯はどうする?何か食べて帰ろうか?」

「いや……あとは家でまったりしたいです。先生も疲れてるだろうし、何か買って帰るのはどうですか?」

「オレは、大丈夫だけど。真野がそれがいいなら、そうしようか。何かつまみになるものとケーキ買って、家でお祝いするか」

「はいっ」


   買い物するのは、いつもの最寄り駅近くで、土曜日の夕方はそれなりに人もいる。それでもボクと先生の手は繋がったままだった。レンタカーのお店を出ても先生は、今までと同じように手を差し出してくれた。


「真野?どうかした?」


   そんなことをぼんやりと考えていたら、先生に顔を覗き込まれた。

「え、あ、ここでも手、繋いでてもいいのかなぁって」


   今更、ビックリしたように先生はボクと繋がっている手をみる。どうやら無意識だったらしい。


「今日は、もう、十分繋いでもらっちゃったんで大丈夫ですよ」そう言って、手を離しかけたとき、強く握られる。

「今日は、家まで繋いでいよう」そう言って、笑ってきた。






   先生の家でささやかなお祝いをして、次の日は休みだったから、泊まるつもりで部屋でまったりしている。


「誕生日プレゼントはこんなんで良かったのか?」

「はい。たくさんボクの我儘聞いて貰えて嬉しかったです。今日、すっごく楽しかったです」

「それなら、いいんだけど……あと、10分で誕生日が、終わっちゃうけど最後の我儘はないのか?」


   時計をチラッと見て、笑いながらそう尋ねてくる。
   ボクは、最後にこれを言おうかずっと迷っていた。今日はいつも出来ないことをしてもらえて、満足してしまって、言おうか少し躊躇っていたこと。ボクの一番の願い。

   先生がキッカケをくれたから思い切って、言葉にしてみる。


「あ、えっと……その……先生と最後までしたいです」

「えっ……?」


   びっくりした顔で、先生に見つめられて余計に恥ずかしくなって、抱えていたクッションに顔を埋めてしまう。


「えっと、真野?ほら、最後の我儘なんだろ。教えて」


   いつの間にか、先生はボクの隣に座って頭の上に手を置いている。顔を上げると、もうわかっていそうなのにボクに最後まで言わせようとしている、イジワルな先生のニコニコ顔があった。


「うー、イジワル……」

「オレに何をして欲しいの?誕生日が終わっちゃうよ」

「先生と……最後までエッチがした…んっ」


   言い終わる前に先生の唇でくちを塞がれ「はぁ~もう、かわいすぎ」と呟かれた。
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