90 / 95
これから(11)
しおりを挟む
「先生の誕生日に、約束していた料理をご馳走して……あ、それがロールキャベツなんですけど。それで、その時から付き合うことになったんです」
真野と泰輔は実家に1泊して、翌日一緒に帰ってきたところだった。真野とはオレの家で夕食を食べて、真野と付き合うことになった経緯を教えてもらっていた。
「そうか……その時、その……どっちから言ったんだ?」
「あーえっと……一応ボクからです」
「やっぱり、お前に言わせちゃってたんだな……」
「え、や……でも、先生も先に言われちゃったって……タイミング的にたまたまボクが言うことになったんですけど、なんか勢いで言っちゃったたんで……」
告白の経緯を聞いて、やっぱりと思いながら自分の不甲斐なさに落ち込む。そして、それを悟られてフォローされて余計、自分のダメさっぷりに打ちのめされそうになっていると「あ、あの……先生って、高校生の頃のボクにも好意を持ってくれてたって聞いたんですけど……」と、とんでもない話が降ってきた。真野へ視線を向けると「へへっ…」とやや照れたように笑っていた。
「んーまぁ……そうだな。お前の雰囲気というか、とりまく空気というか……そういうのが居心地が良くて惹かれていたよ。だけど、立場上それ以上のめり込まないように、気持ちを断ち切ってもいた。自分の生徒相手にそんな目で見ていたなんて気持ち悪いよな……」
「そんなことないです!ボクは嬉しいです。ボクだってずっと先生のことは特別だったんです。あの時はわからなかったけど、卒業してからも何故かずっと頭の片隅には先生がいました。だから、初めて居酒屋で声をかけてくれた時もすぐに先生だって気づくことができた」
「でも、真野はゲイではないんだろ?」
「……そうですね。ボクは先生以外の男の人はたぶん無理です。でも先生はすっごくそこ、気にしますけど、逆にゲイではないのに先生のことは性別を越えて好きなんですよ。そっちの方がすごくないですかっ?ボクのためって言いながら、ボクの気持ちを無視することは、先生のエゴでしかないんですからねっ!!」
「ご……ごめん」
そうだ、最近も似たようなことを考えていたような気がする。確か……母さんの思いとオレの思いについて。母さんがオレのこと考えることも、オレが真野のことを考えることも結局はエゴに過ぎないと……
いつだったかな……母さんとはしばらく会ってなかったはずだけど……
「せんせ……?先生は、ボクと付き合ってる記憶はないけど、でもずっと好きだったってことですよね?今もボクのことは好きって思ってくれてるってことですよね?」
じっーっと見つめて、真野が聞いてくる。
「あぁ……遠い昔に封印したお前が、目の前にいてオレの事を好きだと言ってくれている。情けないけど、真野に会ってからずっとドキドキしっぱなしでおかしくなりそうだよ……でも……付き合ってるなら、手を出してもいいんだよな」
真野の体を引き寄せて背中に手を回す。まだちょっと遠慮がちに力強く抱きしめられない自分に情けなく感じていると、ぎゅっと後ろに手を回されて力強く抱きしめられ、それに答えるように抱きしめ返す。
「ボクだって、ずっとしたかったの我慢してました」
少し身体を離して成長して少し凛々しくなった真野の頬に軽く触れる。その上から、真野が手を重ねてきて、ゆっくり顔を近づけて唇を重ねた。ほんの一瞬触れて離す。すぐ近くの真野と目が合う。あれ?なんだかデジャヴ……
「最初の時と同じですね」とクスクス真野が笑いながら話す。
あぁ……そうだった……
「あの時もこれだけじゃ済まなかったよな」
「え、先生、おも……」
最後まで言い終わる前に、また真野の口をふさぐ。はじめての時をなぞるように、深く舌を絡ませた。
真野と泰輔は実家に1泊して、翌日一緒に帰ってきたところだった。真野とはオレの家で夕食を食べて、真野と付き合うことになった経緯を教えてもらっていた。
「そうか……その時、その……どっちから言ったんだ?」
「あーえっと……一応ボクからです」
「やっぱり、お前に言わせちゃってたんだな……」
「え、や……でも、先生も先に言われちゃったって……タイミング的にたまたまボクが言うことになったんですけど、なんか勢いで言っちゃったたんで……」
告白の経緯を聞いて、やっぱりと思いながら自分の不甲斐なさに落ち込む。そして、それを悟られてフォローされて余計、自分のダメさっぷりに打ちのめされそうになっていると「あ、あの……先生って、高校生の頃のボクにも好意を持ってくれてたって聞いたんですけど……」と、とんでもない話が降ってきた。真野へ視線を向けると「へへっ…」とやや照れたように笑っていた。
「んーまぁ……そうだな。お前の雰囲気というか、とりまく空気というか……そういうのが居心地が良くて惹かれていたよ。だけど、立場上それ以上のめり込まないように、気持ちを断ち切ってもいた。自分の生徒相手にそんな目で見ていたなんて気持ち悪いよな……」
「そんなことないです!ボクは嬉しいです。ボクだってずっと先生のことは特別だったんです。あの時はわからなかったけど、卒業してからも何故かずっと頭の片隅には先生がいました。だから、初めて居酒屋で声をかけてくれた時もすぐに先生だって気づくことができた」
「でも、真野はゲイではないんだろ?」
「……そうですね。ボクは先生以外の男の人はたぶん無理です。でも先生はすっごくそこ、気にしますけど、逆にゲイではないのに先生のことは性別を越えて好きなんですよ。そっちの方がすごくないですかっ?ボクのためって言いながら、ボクの気持ちを無視することは、先生のエゴでしかないんですからねっ!!」
「ご……ごめん」
そうだ、最近も似たようなことを考えていたような気がする。確か……母さんの思いとオレの思いについて。母さんがオレのこと考えることも、オレが真野のことを考えることも結局はエゴに過ぎないと……
いつだったかな……母さんとはしばらく会ってなかったはずだけど……
「せんせ……?先生は、ボクと付き合ってる記憶はないけど、でもずっと好きだったってことですよね?今もボクのことは好きって思ってくれてるってことですよね?」
じっーっと見つめて、真野が聞いてくる。
「あぁ……遠い昔に封印したお前が、目の前にいてオレの事を好きだと言ってくれている。情けないけど、真野に会ってからずっとドキドキしっぱなしでおかしくなりそうだよ……でも……付き合ってるなら、手を出してもいいんだよな」
真野の体を引き寄せて背中に手を回す。まだちょっと遠慮がちに力強く抱きしめられない自分に情けなく感じていると、ぎゅっと後ろに手を回されて力強く抱きしめられ、それに答えるように抱きしめ返す。
「ボクだって、ずっとしたかったの我慢してました」
少し身体を離して成長して少し凛々しくなった真野の頬に軽く触れる。その上から、真野が手を重ねてきて、ゆっくり顔を近づけて唇を重ねた。ほんの一瞬触れて離す。すぐ近くの真野と目が合う。あれ?なんだかデジャヴ……
「最初の時と同じですね」とクスクス真野が笑いながら話す。
あぁ……そうだった……
「あの時もこれだけじゃ済まなかったよな」
「え、先生、おも……」
最後まで言い終わる前に、また真野の口をふさぐ。はじめての時をなぞるように、深く舌を絡ませた。
1
あなたにおすすめの小説
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
男子寮のベットの軋む音
なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。
そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。
ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。
女子禁制の禁断の場所。
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる