忘れられない思い

yoyo

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これから(14)

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「よぉ、春人。今日は声かけてくれて嬉しかったよ」

「あぁ、佑輔さん……匠が呼びたいって……リアムにも会いたいみたいだったし」

「なんだよ。お前は会いたくなかったって顔しやがって」

「いや……あ、遠いところからわざわざ来てもらわなくても良かったのに……と。でもまあ……いい話を期待してるのも言われたし……」

「あぁ!言った言った。今回の話を聞いて、あのままグルグルして変な方向に行かなくて良かったとテオと喜んだよ」

「1年前帰国した時、真野と何話したんですか?あの時、真野の気持ちを無視してるとか言ってましたよね」

「あー、うーん。どうしようかなぁ……俺と真野くんだけの話だったしなぁ……」

「……」

「あはっ……そんな怖い顔するなよーわかったよ。教えるよ。真野くんはさ、テオもゲイなのかって聞いてきたんだ。お前にテオのこと話したことあったっけ?テオは、バイなんだよ。俺の前に付き合ってたのは女性だったしな。真野くんにもそう伝えたら、付き合っていく上で、その部分は大きな課題になるのかって言われたよ」

「なんで……そんなこと……」

「はぁーお前なぁ……そんなのお前が気にしてるかからに決まってるだろ。だからちゃんと春人と話せって言ったんだよ。今日俺がここに呼ばれているってことは、ちゃんと真野くんと話ができて形になったってことだよな?」

「え、まあ、はい……今までオレは……匠と付き合ってからも心の奥底にはノンケである匠は普通に結婚して子ども作って家庭を持つことが、幸せなんだって思い込んでて……でも、匠のことは手放せなくて……すげー矛盾してるんだけど、母さんに同じようなことされて、それにはずっと腹立ててたくせに、匠の気持ちには気づいてやれてなかった」

「まあ、でも、お前もお母さんもの幸せになってほしいという気持ちは同じだったんじゃないの」

「うん……この気持ちに気づけたから、ちゃんと匠に伝えなきゃと思ったし……それにあの事故が起こって、余計にちゃんと形にしたいって思った」


「事故の話を聞いた時はびっくりしたよ。後遺症とかはなく、記憶も全部戻ってるんだよな」

「その節は、ご心配をおかけしました。後遺症はなく、この1年は定期的に通院してたけど、医者からももう大丈夫とお墨付きもらいました」

「それはよかった。でも、記憶もどるきっかけとかあったのか?真野くんの愛の力とか?」

「え……あー、たぶん……家に帰ってきての空気感とか、あ、あと匠にも色々話し聞いたから、そこから引っ張り出せたんじゃないか……と」

「ふーーん。まあ、そういうことにしておくけど……でも、あの恋愛下手で自身のなかった春人の晴れの舞台が見れて本当に嬉しいよ」






「春人さん、そろそろ皆さん集まり始めてますよ。美鈴さん達も今、到着しました」

   隣の佑輔さんに挨拶をして、先生に声をかける。後ろからリアムも顔を覗かせて、「タクミ、マタ  アトデ」と懸命に覚えたであろうたどたどしい日本語を残して、 祐輔さんを引っ張るようにして部屋を出て行く。


「泰輔と友花里は?……料理の準備はもういいのか?」

    腰を上げながら、今日の仕切りをほぼ全て買って出てくれた泰輔さんと友花里さんの様子を探る。


「もうバッチリみたいですよ。あとは主役の2人だけだって……」

「はぁ~オレはここまで大々的にやる必要はなかったんだけどな……」

「いいじゃないですか。みんな気心知れた人ばっかりだし。そんなみんなにお祝いされてボクは嬉しいですよ」


   いつものまんぷく屋は今日は貸切で、立食形式でテーブルには泰輔さんが腕によりをかけた料理がならんでいる。料理の下ごしらえは、ボクも手伝っていて、先生と一緒に食べたメニューも多い。まんぷく屋には、美鈴さん家族、佑輔さん、テオ、リアム、それに都築さんと佐藤さんも駆けつけてくれた。


「オレだってこんな日が来るなんて、めちゃくちゃ嬉しいよ。それじゃ、行きますか」

   そう言って、ボクの方へ手を伸ばす。ボクもその手を逃さないようにしっかり握って2人で部屋を出た。

END
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