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case 鬼 22
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「何かわかったか?」
と訊ねる守総に、
「まだ、わからない事だらけだが…1つだけ事実がある。それはONIGASIMAの『鬼切安綱』の封印が解け、それが島から持ち出された事だ」
所長の答えに、守総は、
「持ち出された?見張りは何をしていた?それに…あの島には結界が…」
と驚いたように私達に質問した。
「持ち出されたのは封印が解けた後。見張りの一瞬の隙をついて、誰かが持ち去った。
ここからは俺達の想像でしかないが…安綱を祠から持ち去ったのは、お前の鷹である可能性がある。鷹を確認させて欲しい」
「私の?まさか、私を疑っているのか?私はそんな事はしていない!安綱をあの島から持ち出すなど…そんな愚かな事。それは、鬼との契約違反だ!」
「違う。お前を疑っている訳じゃない。とにかく、まずは鷹を確認してからだ。安綱の封印が解かれている今、安綱は邪な気を纏っている筈。
鷹にその気配が残っているか確かめたい。凛ならそれを確認できる。
持ち去られたのは、もう3ヶ月も前だ、早くしなければ、その気配はどんどんと薄まってしまう」
そう所長が言うと、
「わかった。付いてこい」
と頷いて、守総は部屋を出ていく。
私達もそれを追って部屋を出た。
「こいつが、今の連絡用の鷹だ」
見せて貰った鷹はかなり大きく、力もありそうだ。その隣にはまだ子どもと思われる鷹がいた。
「この子は?」
私が訊ねると、
「これは、息子の桜雅に使わせる為、今訓練をしている。こいつの子どもだが、まだ実際にあの島へ飛ばす事は出来ない。私が帝の位を桜雅に譲る頃には一人前になっているだろう」
私はそっと、守総の鷹に近寄る。目を閉じて、気配を探る。
もしこの鷹が安綱に触れていたとしても、もう3ヶ月も前だ。
私は神経を研ぎ澄ませて安綱に込められた邪な気を必死に手繰り寄せる……あった!
「あった。この鷹にほんの僅かだけど、安綱の気を感じる」
「間違いないか?祠では何も感じなかっただろう?」
「祠では、ここまでじっくり探ってなかったもん!」
と私は所長に言い返した。
私達2人のやり取りに、
「では、私の鷹が安綱を持ち出したと言うのか?だが、私にはそれをする理由はない」
守総の顔には、私達への不信感が現れている。
しかし、私達はもう1つ確認しなくてはいけない事がある。
「さっきも言ったがお前を疑ってなどいない。…だが、これを扱える者がもう1人…居るんじゃないのか?」
「!まさか…桜雅を疑っているのか?確かに…私以外でこの鷹に命令できるのは…桜雅だけだが。理由は何だ?」
「それは…本人に確認しなければわからない事でしょう…。桜雅様に会えますか?」
と私は守総の答えを待った。
と訊ねる守総に、
「まだ、わからない事だらけだが…1つだけ事実がある。それはONIGASIMAの『鬼切安綱』の封印が解け、それが島から持ち出された事だ」
所長の答えに、守総は、
「持ち出された?見張りは何をしていた?それに…あの島には結界が…」
と驚いたように私達に質問した。
「持ち出されたのは封印が解けた後。見張りの一瞬の隙をついて、誰かが持ち去った。
ここからは俺達の想像でしかないが…安綱を祠から持ち去ったのは、お前の鷹である可能性がある。鷹を確認させて欲しい」
「私の?まさか、私を疑っているのか?私はそんな事はしていない!安綱をあの島から持ち出すなど…そんな愚かな事。それは、鬼との契約違反だ!」
「違う。お前を疑っている訳じゃない。とにかく、まずは鷹を確認してからだ。安綱の封印が解かれている今、安綱は邪な気を纏っている筈。
鷹にその気配が残っているか確かめたい。凛ならそれを確認できる。
持ち去られたのは、もう3ヶ月も前だ、早くしなければ、その気配はどんどんと薄まってしまう」
そう所長が言うと、
「わかった。付いてこい」
と頷いて、守総は部屋を出ていく。
私達もそれを追って部屋を出た。
「こいつが、今の連絡用の鷹だ」
見せて貰った鷹はかなり大きく、力もありそうだ。その隣にはまだ子どもと思われる鷹がいた。
「この子は?」
私が訊ねると、
「これは、息子の桜雅に使わせる為、今訓練をしている。こいつの子どもだが、まだ実際にあの島へ飛ばす事は出来ない。私が帝の位を桜雅に譲る頃には一人前になっているだろう」
私はそっと、守総の鷹に近寄る。目を閉じて、気配を探る。
もしこの鷹が安綱に触れていたとしても、もう3ヶ月も前だ。
私は神経を研ぎ澄ませて安綱に込められた邪な気を必死に手繰り寄せる……あった!
「あった。この鷹にほんの僅かだけど、安綱の気を感じる」
「間違いないか?祠では何も感じなかっただろう?」
「祠では、ここまでじっくり探ってなかったもん!」
と私は所長に言い返した。
私達2人のやり取りに、
「では、私の鷹が安綱を持ち出したと言うのか?だが、私にはそれをする理由はない」
守総の顔には、私達への不信感が現れている。
しかし、私達はもう1つ確認しなくてはいけない事がある。
「さっきも言ったがお前を疑ってなどいない。…だが、これを扱える者がもう1人…居るんじゃないのか?」
「!まさか…桜雅を疑っているのか?確かに…私以外でこの鷹に命令できるのは…桜雅だけだが。理由は何だ?」
「それは…本人に確認しなければわからない事でしょう…。桜雅様に会えますか?」
と私は守総の答えを待った。
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