堅物女と柔らかな謳うたい

初瀬 叶

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scene・12

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「なんか…乃愛、雰囲気変わった?」
開口1番、親友にそう言われ、

「ん?そう?…まさか…老けたとか言わないでよね?」
と私は頬を脹らます。

「言わないわよ!同級生にそんな事言ったら、自分の首を絞める事になるじゃん!」

舞は高校生の頃から、目立つ存在で、明るくて男子にモテた。
そんな舞と何故、真面目を絵に描いたような私が仲良くなったのか…そして何故こんなに馬が合うのか…私達自身にも謎である。

「舞は全然変わらない。いや…ますます綺麗になったんじゃない?」
と私が言えば、

「褒めてもここは奢らないからね。じゃあ…とりあえずビール?」
と言う舞に、

「『とりあえず』はビールに失礼でしょ…でも、とりあえずビールで」
と私は笑った。

「「かんぱーい!」」
と私達はジョッキを合わせる。

お互い、最初は近況報告。

「新プロジェクトのリーダー?」

「うん。リーダーだった人が体調崩しちゃって、帰国したの。で、私にお鉢が回ってきたって訳」

舞はルックスも良いし頭も良い。その上、人を導いていくだけの力もある。私は友人ながらも尊敬している。

「舞、本当に凄いよね。で、いつ日本を立つの?」
今回の帰国は、本社への報告が主らしい。

「3日後。人使いが荒すぎて嫌になる」
と舞は大袈裟に嘆いてみせた。

「そんな風に言いながら、仕事してる舞ってキラキラしてるよね~」
と私が言えば、

「仕事好きなんだもん」
と舞は笑った。


「で?乃愛は何があったの?」
と2杯目のハイボールを飲み干した舞が私に訊ねる。

舞の目を誤魔化す事は出来なさそうだ。

「舞が言う程、私、何か変わった?」

「話を逸らすな。変わったよ。なんか雰囲気柔らかくなった。…理由があるよね?男?」

舞…何故そんなに鋭いの?

「男…と言えば男かなぁ?」

「何?その曖昧な答え」

「4ヶ月?5ヶ月?ぐらい前に拾ったの。男の子」

「はぁ???拾った???」
と舞は大きな声を出した。


「声がでかいよ、酔っぱらい」
と私が窘めれば、

「いや、普通に驚くでしょ!常識のある大人は拾わないのよ、男の子を」

「分かってる。私が1番驚いてるもん、自分の行動に」

「まさか……犯罪は犯してないよね?」
と小さな声で私に訊ねる舞に、

「んな訳ないでしょ。成人男子だよ」
と私は笑いながら答えた。

正直、最初は自分も犯罪かもって思ったけどね。

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