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27話
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首が座ると、私はアイザックをおぶって仕事をした。
女将さんの言う通り、アイザックは大きくグズる事もなく、お乳を良く飲み、そして良く寝るとても良い子だ。
「クレア、何故かアイザックは俺に懐いてくれないけど、それでも俺はアイザックを可愛いと思ってるし、二人を守ってあげたいとも思ってる。結婚してくれないか?」
サムから二回目のプロポーズをされたのは、そんなある日の事だった。
正直、村人には私とアイザックについて面白おかしく噂話をしている人がいる事は分かっているが、それ以上に私達に親切にしてくれる人がたくさん居る。私はアイザックに父親が居ない事を気にする間もないぐらい充実していた。
それに……私はあの夜、私に敵意を見せたアリスさんを思い出していた。
私はサムをそんな風な目で見た事がない。そんな気持ちで結婚するのはアリスさんにも申し訳ない。
「サム。貴方の申し出を受け入れる事は出来ないわ。それに、貴方を始め女将さん達に私は守って貰ってる。それで十分よ。本当にありがとう」
「クレア、そうじゃないよ!俺はクレアが好きだから……!」
好意を持って貰えるのは嬉しい。しかし、やはりその気持ちに応える事は出来ない。
「サム!!どこだい?お使いを頼みたいんだけどねぇ!」
と女将さんのサムを呼ぶ声が聞こえた。
「はい!!ここに居ますよ!直ぐに行きます!」
とサムは大きな声で返事をすると、私に、
「クレア、この続きはまた今度」
と言って去って行った。
正直、困る。彼の気持ちには応えられない。私が少し俯くと、背中でスヤスヤ寝ていたアイザックが目を覚ましたのか、ホニャホニャと泣き出した。
私の気持ちを敏感に察知する息子に苦笑してしまう。
「アイザック……あなたって、本当に私の気持ちが分かるのね」
と言いながら、私はあやす様に背中のアイザックを揺すった。
私も休憩を終えて、部屋の掃除に戻ろうとしていると、女将さんから
「クレア、ちょっと受付手伝って貰えないかい?お客様が多くてね」
と声を掛けられた。出立するお客様とこれから宿泊するお客様で、受付が混雑している。私は急いで受付に向かった。
受付をしながら、お客様の会話が耳に入ってくる。
「なぁ、知ってるか?王太子殿下に薬を盛った馬鹿がいるんだとよ」
「は?……もしや王妃様の実家……とか?」
「違う、違う!お前、それ、あんまり大声で言うなよ?デリケートな問題だからな。それとは別の奴だ。それに、今回盛った薬ってのは媚薬だとよ、媚薬。毒薬じゃない」
『媚薬』その言葉を聞いて私は思わずイライザを思い出していた。
女将さんの言う通り、アイザックは大きくグズる事もなく、お乳を良く飲み、そして良く寝るとても良い子だ。
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正直、村人には私とアイザックについて面白おかしく噂話をしている人がいる事は分かっているが、それ以上に私達に親切にしてくれる人がたくさん居る。私はアイザックに父親が居ない事を気にする間もないぐらい充実していた。
それに……私はあの夜、私に敵意を見せたアリスさんを思い出していた。
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と女将さんのサムを呼ぶ声が聞こえた。
「はい!!ここに居ますよ!直ぐに行きます!」
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正直、困る。彼の気持ちには応えられない。私が少し俯くと、背中でスヤスヤ寝ていたアイザックが目を覚ましたのか、ホニャホニャと泣き出した。
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