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39話
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マチルダさんは話を続けた。
「お嬢様は学園で、とある貴族の御子息から求婚されましてね。その御子息と言うのが……かなり高貴な家柄の方で。その方はお嬢様との結婚を望まれましたがお嬢様は子爵令嬢。しかもその時には既にご婚約者もおられましたので、そのお話はお断りしたそうですよ。
しかし、その半年後………子爵に脱税をしているという名目の逮捕状が。もちろんご当主は否定されましたが……何故か有罪になってしまって。家族全員、強制労働という刑が執行される事になったのです。
その時、お嬢様を助けたのが、求婚をしていた御子息です。お嬢様をある伯爵家の養女にする事でお嬢様に刑が及ぶ事を回避しました」
「では……他の皆様は……」
「ええ。鉱山への強制労働へと。奥様は元々あまり丈夫な方ではありませんでしたから、数年後にお亡くなりになったとか。私も風の便りに聞いただけですが。
私が奥様のお墓参りに行けたのは、そのお話を聞いて5年以上経った時でした。私も体の不調が治るまでに時間を要しましたので」
そうマチルダさんは言うとため息をついた。
「そうでしたか」
私も何も答えられずに少し俯いた。するとマチルダさんは、
「ここからは……私がお墓参りに行った時に墓守から聞かされた話です。彼は……私が働いていた当初、庭師として働いていた者でした。最初に言っておきますが、これは彼の想像です。いや、推測です。何も証拠はないのですから」
と前置きした上で、
「ご当主は『嵌められた』彼はそう言いました」
とはっきりとそう言った。
「嵌められた?」
「はい。その脱税の話はでっち上げだと。お嬢様に懸想していた、かの男性がお嬢様を手に入れる為に画策したものだと」
「……まさか……そんな……」
私はあまりにも非現実的な話に絶句した。
「私も聞いた時はそう思いました。しかし後々良く考えてみて思ったんです。最初に脱税の事を聞いた時だって私は思ったじゃないか『ご当主が絶対にそんな事をする訳ない』と。ご当主はとても領民思いの誠実な方でした。お子様はお嬢様しかおりませんでしたが、お嬢様のご婚約者の方に子爵を譲る予定で。ご家族皆様仲睦まじくて、本当に素敵なご家族だったんです。それを………」
と言ったマチルダさんは涙を流した。
「あぁ……ごめんなさいね。つい。初対面の貴女にこんな話をしてしまった上に泣くなんて。駄目ね、歳を取ると涙脆くなってしまうのよ」
そう言って彼女は涙を拭った。
「お嬢様は学園で、とある貴族の御子息から求婚されましてね。その御子息と言うのが……かなり高貴な家柄の方で。その方はお嬢様との結婚を望まれましたがお嬢様は子爵令嬢。しかもその時には既にご婚約者もおられましたので、そのお話はお断りしたそうですよ。
しかし、その半年後………子爵に脱税をしているという名目の逮捕状が。もちろんご当主は否定されましたが……何故か有罪になってしまって。家族全員、強制労働という刑が執行される事になったのです。
その時、お嬢様を助けたのが、求婚をしていた御子息です。お嬢様をある伯爵家の養女にする事でお嬢様に刑が及ぶ事を回避しました」
「では……他の皆様は……」
「ええ。鉱山への強制労働へと。奥様は元々あまり丈夫な方ではありませんでしたから、数年後にお亡くなりになったとか。私も風の便りに聞いただけですが。
私が奥様のお墓参りに行けたのは、そのお話を聞いて5年以上経った時でした。私も体の不調が治るまでに時間を要しましたので」
そうマチルダさんは言うとため息をついた。
「そうでしたか」
私も何も答えられずに少し俯いた。するとマチルダさんは、
「ここからは……私がお墓参りに行った時に墓守から聞かされた話です。彼は……私が働いていた当初、庭師として働いていた者でした。最初に言っておきますが、これは彼の想像です。いや、推測です。何も証拠はないのですから」
と前置きした上で、
「ご当主は『嵌められた』彼はそう言いました」
とはっきりとそう言った。
「嵌められた?」
「はい。その脱税の話はでっち上げだと。お嬢様に懸想していた、かの男性がお嬢様を手に入れる為に画策したものだと」
「……まさか……そんな……」
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と言ったマチルダさんは涙を流した。
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そう言って彼女は涙を拭った。
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