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第54話
しおりを挟む「前回……ご主人様が亡くなった事を報告に行った時は、それはもう……悲しんで、号泣して……後を追うんじゃないかと思うほどの悲しみ様だったんです。
何とかそれを説得して、その後、私に『後1年、テオドール様を責任もって慈しみ育てます』と誓ってくれたのですが。
まさかこんな事になるとは……」
「今さら、それを言っても仕方ないでしょう。私もなんとか領地へ帰って貰うように言ったのだけど……肝心な所は話をはぐらかされてる感じで、上手く説得出来なかったわ。貴方、ここに来る前に話を彼女から訊いたんでしょう?何か肝心な話は聞けた?」
「いえ……。アーロンと共に部屋へ伺いましたが、奥様へ話した内容とほぼ同じだったとアーロンが。領地に留まる必要を感じない、この屋敷でご主人様を偲んで生活したいと望むのが何故悪いのかと言われました。本当の所は私にもよく分かりません。
彼女の行動がこの前と違いすぎて。
私が少し強い口調で詰めたのですから、最後は泣き始めまして。困ったものです」
と言うギルバートの顔は苦虫を潰した様な表情だ。
「あら?貴方はアイリスさんの味方なのだと思っていたわ」
と私が言えば、
「ご主人様が大切にされていた事、テオドール様の母上である事で尊重していただけです。テオドール様をこの屋敷で守るのであれば……正直彼女は必要ない」
とギルバートは吐き捨てた。
……ちょっと言い過ぎじゃない?
「でも彼女が居なければ、テオドール様の存在はないわ」
「でもアイリスが居なければ、ご主人様にはもっと相応しいご令嬢を結婚相手に選ぶ事が出来たのも事実です!」
……ん?それって私にも喧嘩売ってる?
「でも女性が苦手だったんでしょう?アイリスさんが居なければ、このオーネット公爵家は遠縁から養子を迎えないといけなくなったかも。『卵が先か鶏が先か』ってところね」
と私は暗にギルバートに私も相応しい嫁ではなかったと言われた事を無視して話を進めた。
私の後ろに控えたアーロンからは不機嫌さが漂ってるけど、ギルバートは全然気にしていないようだ。……図太い。
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