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第85話
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「ごめんなさいね、心配させたかしら?困り事……ではないの。人生って自分ではどうにも出来ない事があるから」
「どうにも出来ない事……ありますね。前にステラ様が言ってたでしょう?『子どもは親を選べない』って」
テオだって自分ではどうする事も出来ない事の連続だ。特に今はそれを痛感している事だろう。
「貴方にも無理をさせているわね」
私はそう言いながら窓際へ向かう。
外は日没を迎え、薄明の時間帯。所謂、マジックアワーだ。とても美しい。
その風景に私は少しうっとりする。
すると、私の横にテオが並んで、同じように窓の外を見る。
「綺麗ですね」
と言うテオに、
「綺麗ね。私、僅かなこの時間の空の色が好きなの」
と私は答えた。
「俺は……今まではこの時間が嫌いでした。日が落ちて、夜になれば家に帰らなきゃならない。あの人の愚痴を聞かなきゃならない。……まぁ、あの人が勝手に怒って勝手に喋ってるのを右から左に受け流していただけですけど」
とテオは苦笑した。
テオがアイリスさんへあまり良い感情を持っていない事は分かっている。しかし、それでも彼女はテオの母親なのだ。彼はそれをちゃんと理解して、アイリスさんの側に居た。
……テオが養子になれば私は彼の義母という立場になる訳だ。私はテオをちゃんと導いていけるのだろうか。いや、導いてみせる。公爵様に代わって。
「貴方の苦労を私は想像する事しか出来ない。私は両親と仲が良かったから、本当の意味で貴方の気持ちを理解してあげられない。
でもね、これからは貴方が道に迷いそうな時には、私が居るわ。『お義母さん』と呼べとは言わないけれど、頼って良いの」
と私は窓辺に置いていたテオの手を握った。
テオは少しビクッとするが、私にされるままになっている。力の入っていた手は少しずつ解れていった。
「……お義母さんとは呼びません」
たっぶりと間を取ってテオが言ったのはその一言。
そうよね。流石にお義母さんは図々しかったか。私も母親になれるのかと、少し嬉しかったのだが。
私はつい笑ってしまう。
「可笑しいですか?」
「あぁ、ごめんなさい。たった2ヶ月弱一緒にいただけで、母親にはなれないものね。でも、私には子どもはいないから、私にとっては貴方が我が子よ」
「……!いや、そんな意味ではなくて……でも、いや……。子ども……」
テオは私に何かを伝えたそうな、もどかしそうな表情をするが、言葉にする事が難しい様だった。
「『母と子』じゃなくて良いの。『家族』になりましょう」
と私が微笑めば、テオは少しホッとしたように。
「……はい」
と答えてくれた。
「どうにも出来ない事……ありますね。前にステラ様が言ってたでしょう?『子どもは親を選べない』って」
テオだって自分ではどうする事も出来ない事の連続だ。特に今はそれを痛感している事だろう。
「貴方にも無理をさせているわね」
私はそう言いながら窓際へ向かう。
外は日没を迎え、薄明の時間帯。所謂、マジックアワーだ。とても美しい。
その風景に私は少しうっとりする。
すると、私の横にテオが並んで、同じように窓の外を見る。
「綺麗ですね」
と言うテオに、
「綺麗ね。私、僅かなこの時間の空の色が好きなの」
と私は答えた。
「俺は……今まではこの時間が嫌いでした。日が落ちて、夜になれば家に帰らなきゃならない。あの人の愚痴を聞かなきゃならない。……まぁ、あの人が勝手に怒って勝手に喋ってるのを右から左に受け流していただけですけど」
とテオは苦笑した。
テオがアイリスさんへあまり良い感情を持っていない事は分かっている。しかし、それでも彼女はテオの母親なのだ。彼はそれをちゃんと理解して、アイリスさんの側に居た。
……テオが養子になれば私は彼の義母という立場になる訳だ。私はテオをちゃんと導いていけるのだろうか。いや、導いてみせる。公爵様に代わって。
「貴方の苦労を私は想像する事しか出来ない。私は両親と仲が良かったから、本当の意味で貴方の気持ちを理解してあげられない。
でもね、これからは貴方が道に迷いそうな時には、私が居るわ。『お義母さん』と呼べとは言わないけれど、頼って良いの」
と私は窓辺に置いていたテオの手を握った。
テオは少しビクッとするが、私にされるままになっている。力の入っていた手は少しずつ解れていった。
「……お義母さんとは呼びません」
たっぶりと間を取ってテオが言ったのはその一言。
そうよね。流石にお義母さんは図々しかったか。私も母親になれるのかと、少し嬉しかったのだが。
私はつい笑ってしまう。
「可笑しいですか?」
「あぁ、ごめんなさい。たった2ヶ月弱一緒にいただけで、母親にはなれないものね。でも、私には子どもはいないから、私にとっては貴方が我が子よ」
「……!いや、そんな意味ではなくて……でも、いや……。子ども……」
テオは私に何かを伝えたそうな、もどかしそうな表情をするが、言葉にする事が難しい様だった。
「『母と子』じゃなくて良いの。『家族』になりましょう」
と私が微笑めば、テオは少しホッとしたように。
「……はい」
と答えてくれた。
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