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第121話
しおりを挟む「アイリスさん。アルベルト……という男性を知っていますね?」
私がそう口を開くと、アイリスさんの顔は一瞬強張った。しかし、直ぐに元に戻ると、
「ユニタス商会の会長でしょう?知ってるわ。あの商会でワンピースを買った事があるもの」
「ワンピースを買った?『貰った』ではなくて?」
「何で商会の会長から貰うの?普通は買い物に使うんじゃない?商会って」
「では逆に、どうして商会の会長からお金を貰っているのです?それこそおかしな話でしょう?」
今度はアイリスさんの表情が一気に曇った。
「何でそんな事を言うの?意味が分からないわ」
「お金を受け取っている時にはソニアが居ないからと気を抜いていましたか?貴女の行動はこちらで把握しています」
「まさか……見張ってたの?酷いわ!」
とアイリスさんはハンカチで涙を拭う……ふりをした。久しぶりの泣き真似だ。既に懐かしく思える。
「泣き真似やめろよ。うっとおしい」
とテオが吐き捨てる様に言う。………相変わらずアイリスさんには辛辣だ。私の前ではとても可愛らしいのに。
アイリスさんがテオをキッと睨んで、
「テオドール、あなたこんな女の味方なの?!」と言えば、
「馬鹿馬鹿しい。最初からあんたの味方なんてした事ないよ。それに『こんな女』って誰に物を言ってるんだ?世話になりっぱなしのくせに」
とアイリスさんにまたまた毒を吐く。
「アイリスさん。正直に話して欲しいの。テオの為にもとても大事な事をこれから貴女に尋ねるわ。……アルベルトは貴女の異母兄ね?」
と私が尋ねれば、アイリスさんはテオから私に視線を戻して、
「……そんな事まで調べたの?」
とふてぶてしくそう言った。いつもの彼女とは違うその物言いに、私達は少し驚いた。
「貴女が王都に来てからユニタス商会へと足繁く通ってアルベルトにお金を無心していた事、貴女が領地でもアルベルトに会っていた事、そして貴女がアルベルトと異母兄妹であった事は調べたわ。でも私が訊きたいのはそれだけじゃないの。貴女……アルベルトの正体を知っていたの?」
と私が訊けば、アイリスさんは心底不思議そうな顔をした。
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