隣国へ嫁ぐワガママ王女に付いて行ったら王太子に溺愛されました

初瀬 叶

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その115


クリス様は開口1番

「オットー!シビルに近付くなと行ったろう?!」
と大声を出して、隣に居るイヴァンカ様から、

「殿下!大声など出さなくても聞こえておりますよ!
少しは落ち着いて下さいませ」
と窘められていた。

キャンベル医師も、

「クリスティアーノ。何度も言うが僕は医者で、シビルちゃんは患者。
患者の様子を見に来るのは、医者の務めだ。いい加減覚えろよ」
と呆れた様子でクリス様に言い返した。

「…わかってる。だが、もう用が済んだなら帰れ。宮廷医者とはそんなに暇なのか?なら、俺が今から弛んだ近衛達を鍛え直してくるから、その怪我の手当てでもお前にやらせておくか?」

…弛んだ近衛…って…まさか私の護衛の事かしら…。

「クリスティアーノ。お前が言うと冗談にならん。怪我で済めば良いが、再起不能にされても困るんだよ」

…再起不能…想像すると恐怖でしかない。

「ふん。あいつらにはそれぐらいで丁度良いだろ。本来なら処刑しても構わんのだが、あれぐらいで済ませてやったんだ。感謝して欲しいぐらいだよ」

…あれぐらいってどれぐらいだろう…でも処刑はされていないみたいで、ホッとする。

キャンベル医師が、

「ところで…ローザリンデの処罰は?」

と聞くと、クリス様は一転口ごもりながら…

「あぁ…まぁそれはもちろん厳しく処分するつもりだが…あいつにも勘違いの理由があってだな…」
とモゴモゴ言い始めた。

怪しい…その理由が気になる。

イヴァンカ様は、

「殿下、さぁ、シビルにお話しを。
まずは腰掛けましょうか」

とクリス様を椅子に案内し、自分も腰を下ろした。

殿下は、

「まず、バーレクの事だが、あいつは近衛騎士団の団長が辞表を受け取らなかった。大丈夫だ。
しかし、シビルの担当からは外れる。
なんのお咎めもなし…という訳にはいかない」

…そうか…バーレク様が退団しないのは嬉しい。
しかし、私の担当を外れる事は別に罰にならないのではないか…と思うのだが…。

私は、
『バーレク様が近衛を辞める必要はないと思っていましたから、安心しました』
と紙に書いて、クリス様にそれを見せた。

続けてクリス様は、

「それと…ローザリンデの事だが…」
とここにきて、声が段々と小さくなっていく。

「ローザリンデがシビルに暴力を振るった事は、どんな理由があろうとも、許しがたい。
なので、彼女には半年間の登城禁止と、1年間の奉仕作業を申し付けた。
本当なら、修道院にでも入れてやりたかったが…シビルがまだ婚約者である事がネックになった。
エクルース公爵からも謝罪を受けたしな。
それに…ローザリンデの勘違いの理由が………俺だと分かったからだ」

クリス様の最後の言葉は消え入るように小さな声だった。

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