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その116
しおりを挟むほう…クリス様が原因という事ですか…。
私がクリス様の言葉を待っていると、
「実は…シビルがベルガ王国に来て直ぐに、俺は婚約者として迎い入れる為に色々と準備を始めた。
この部屋や、シビルの為のドレスやアクセサリーだ。
その時に…その…俺はこう言う事には全くもって疎い。で、だな、若い女の意見を参考にしようと考えたわけだ…で、俺の周りの若い女で、こういった事に詳しそうな女が…ローザリンデしかいなかったんだ…で、俺はローザリンデに意見を聞いたんだよ…それで、特にドレスなんかは、丸っとローザリンデに任せてしまって…」
とまたもやクリス様の声が段々と小さくなっていく、それを受けてキャンベル医師が、
「お前…ローザリンデに何と言ってドレスのデザインを聞き出したんだ?」
と溜め息交じりに質問した。
なんとなく皆も答えはわかっているけれど、クリス様の口からはっきりと聞きたいのだろう。
クリス様は、
「『お前はどんなドレスが好きか?』と聞いた。カタログを渡して『何枚でも良いから、好きな物を選べ』と…」
クリス様はどんどんと俯いていく。
キャンベル医師はほとほと呆れたように、
「それなら、ローザリンデが勘違いしてもおかしくないだろ!全く!お前のせいじゃないか!」
と吐き捨てた。
隣でイヴァンカ様も、
「先程、私もこの事を聞いて、全く呆れて物も言えませんでしたよ。ローザリンデ嬢が暴力を振るった事は許しがたい事ですが…これではねぇ」
私は2人の言葉に大きく頷いた。
はっきり言って、ローザリンデ様に少し同情してしまう。
クリス様のせいなのに、罰が厳しすぎないだろうか?
私は、
『ローザリンデ様への罰、厳しすぎませんか?』
と書き記し、クリス様に見せる。
クリス様は、
「いや…なんにせよ暴力はダメだ。
現にシビルは酷い怪我をしている。これは公爵も納得済みだから、シビルは気にするな」
私は続けて、
『ローザリンデ様は、クリス様にそう言われ、ご自分のドレスだと勘違いなさったんですね。だから、私が自分のドレスを盗ったのだと誤解なさった。ローザリンデ様は、私の事は御存知ないのでしょう?』 と書いた。
クリス様は、
「ああ。婚約披露の場で大々的に知らせるのだから、知らない者へわざわざ通達してはいなかった。
エクルース公爵も今は要職に就いている訳ではないから、然るべき時に知れば良いと考えていたが…まさかローザリンデがそんな勘違いをするとは思わなかったんだ。
だって、今まで1度だってあいつに贈り物などしたことはないのだからな」
…それにしても…ローザリンデ様はその事実を知ってどう思ったんだろう。
私と同じ疑問をキャンベル医師も持ったのか、
「…ローザリンデはシビルちゃんの事を知って何と言ってた?」
とクリス様に問うと、
「ん?俺が『お前の意見を参考に聞いただけで、お前への贈り物じゃない。あれは俺の婚約者の為に用意したものだ』と言ったら、何故か大泣きして、『裏切り者!』って言ってたな。なんであいつが泣くのかもよくわからんが、何で俺が裏切り者呼ばわりされなきゃならんのか、全くもって理解不能だ。そんなにドレスが欲しいなら、父親にでも買って貰えば良いものを」
とクリス様は言ってのけた。
…多分、私の想像ですけど、ローザリンデ様はクリス様の事がお好きなのでは?
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誤字報告ありがとうございました。
セリフを話している人物の名前に誤りがあり、変更させていただきました。
応援ありがとうございます!
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