3 / 97
驚きの理由
しおりを挟む
「先程は、結婚について了承していただけていなかったので、理由については言えませんでしたが、俺が結婚を急ぐのには、わけがあります…身内の恥を晒すようで恥ずかしいのですが、自分の兄が、失踪しまして。」
「失踪?!」少し大きな声が出てしまって慌てて口を塞ぐ。
「はい。実は兄には婚約者がおりました。その婚約者というのが、とにかく曲者でして…」
と、何かを思い出したのか、苦虫を潰したような顔をしたランバード様は
「俺はそのご令嬢が大変苦手なのです。なので、兄にはとても同情していました。あの女と結婚するなんて…と。俺だったら考えられません」
あの女呼ばわり…かなり個性的な方なのだろうか、そんなに嫌われるなんて、そう私が思っていると
「兄も、本当はめちゃくちゃ嫌だったんだと思います。兄が12歳の時に決まった婚約でしたが、そこから兄はどんどんと笑顔が少なくなりました。」
どんなご令嬢なのか…興味がわきます。
「俺はその時10歳でしたが、そのご令嬢の事がとにかく嫌…苦手で。はっきり言えばそのせいで女性が苦手になってしまったと言えると思います。」
ますます気になります。何をされたのでしょうか?
「本来なら、兄と婚約者が学園を卒業すると同時に結婚する予定でしたが、兄も少しでも先伸ばしにしたかったのでしょう。織物について勉強すると言って、隣国へ留学したのです。
最初は1年と言っていましたが、2年になり、3年になり…とうとう5年になりました。」
「ランバード領は織物が盛んで、特産品となっていましたね。」と言うと
「はい。兄の婚約者の領地は養蚕をしていて…まぁ両家にとってはお互い利のある関係だったので、婚姻によって繋がりを強化し、ゆくゆくは共同事業を始める予定で。まぁ所謂政略結婚です。」
「養蚕が盛んと言うことは…ガンダルフ侯爵領でしょうか?」と、私が思い当たると
「そうです。兄の婚約者は、ガンダルフ侯爵家の次女であるソフィア嬢です。」
「まぁ…あの…」
と田舎の引きこもり令嬢である私までもが知っているご令嬢の名前が出てきて、私もそれ以上なにも言えなくなった。
ガンダルフ侯爵家のソフィア様といえば、かなりの美人だが、派手好きで。そして良く言えば自己愛に溢れる方、悪く言えば我が儘で自己中であると聞いた。
ガンダルフ侯爵領も養蚕で領地経営も上手くいっている領ではある。
しかし、侯爵夫人もソフィア様に負けず劣らずの派手好きで、贅沢三昧。ソフィア様と2人してかなりの資産を浪費していると聞く。借金などはないようだが、養蚕で稼いでいても、贅沢をすれば、内情は厳しいのかもしれない。きっと、利の多い婚約だったのだろう。
しかも、ガンダルフ侯爵様は、夫人には頭が上がらず、その贅沢を許していると兄2人が話ているのを聞いたことがある。
ソフィア様は長男のアレックスお兄様の1学年下で、次男のサミュエルお兄様の1学年上あったので、学園での話も兄達から聞いた事があった。
派手好きで、男好きで、その上婚約者を下僕のようにこきつかっていると…その婚約者様がランバード様の兄上だったとは。
ちなみに、私の兄達はかなりの美男子なので、ソフィア様に声を掛けられたらしい。そんなに近くに寄らなくても香水の匂いで鼻が曲がりそうだったとは、お兄様達談だ。
「それで…その事と今回の事がどう繋がっているのでしょう?」私は話の先を促した。
「兄は、6年間耐えて、耐えて。
それでも家の為と我慢していたんだと思います。
しかし、隣国へ行って一時の自由を手入れた…それを手放す事が出来なかったんだと。」
「と、言いますと…」
「兄はそのまま帰って来ませんでした。」
「え、では伯爵家は?」
「兄から先日、手紙が届きました。もうこの国には帰って来ない事、自分の事は廃嫡してほしい事、婚約は破棄したいが、こちらの有責で破棄となれば慰謝料が発生する。
その足しにして欲しいと500万ルッツの小切手と、廃嫡の書類がサインをして入っていました。
兄は隣国で平民として生きていくと。
その為に商会を立ち上げ、軌道に乗ってきた所だとも書いてありました。
そして、侯爵家に法外な慰謝料を要求される事も考えられる為、なんなら死んだ事にしてくれて構わないとも。」
「そんな…」
私が二の句を継げないでいると
「父も母も、そこまで兄を追い詰めていた事を深く反省しました。俺も同情はしていましたが、やはりどこか他人事で。兄の気持ちに気がついてあげる事ができていませんでした。」
「お兄様は、誰にも言えなかったんでしょうか…。」
そう思うと、私でさえ辛くなってしまいます。
赤の他人の私でさえそう感じるのですから、ご家族の気持ちを思うと…私も何も言えませんでした。
「兄は、俺に爵位を譲ると。しかし、俺は今まで剣を振る事しか学んできていません。でも、兄の気持ちを思うと、望みを叶えてあげたいと…。少しずつですが、領地について学んでいる所です。」
「そうだったのですね。…でも、それなら婚約については?無事に婚約解消できたのでしょうか?」
そこで、ランバード様の肩がビクッと震えたように見えました。
私のその問いに
「兄は死んだ事にしてくれと言いましたが、それは出来ません。そんな事をすれば、兄とは2度と会えなくなる。私達親子は、ガンダルフ侯爵に誠心誠意謝りました。
慰謝料についても十分に支払う準備はあると。
そして、兄を廃嫡し平民にする事で、どうにか許して欲しいと。そう告げたのです。
ガンダルフ侯爵は正直、ソフィア嬢が兄を虐げていた事も、婚約者らしい事を何一つしていない事も、
ソフィア嬢の姉であるルイーズ嬢と婿入りしたマックス様から聞いていたらしく、慰謝料1500万ルッツと兄の廃嫡で婚約を解消させると言ってくれたのですが…
侯爵夫人とソフィア嬢が…激怒したのです。」
どんどんとランバード様の声のトーンが落ちていきます。
「ソフィア嬢は23歳。はっきりと言えば適齢期を過ぎてしまっています」
確かにそれは、そうだろう。次を見つけようとしても年齢の釣り合いがとれる貴族の令息はすでに結婚しているか、婚約者がいるかだ(うちの2人の兄には妻も婚約者もいないが)
これから探しても、歳の離れた方の後妻か、訳ありの家か…なかなかソフィア様の理想に沿う相手は見つからないかもしれない。
なんとなく展開が見えてきた気がしなくもないが、黙って話を聞く事にする。
「そうしたら、ソフィア嬢が『なら、レオナルドが婚約者になればよい。顔はレオナルドの方が好みだし、爵位を継ぐなら問題ない。両家にとっても良いことばかりだし、1番良い方法だ』と言い出したのです。」
あーやっぱり。私はそう思った。
「でも、俺は絶対に嫌なんです。あの女…ソフィア嬢との結婚なんて、考えたくもありません。元々彼女のせいで女性が苦手になったのに。結婚なんて…」
その時の事を思い出しているのでしょうか。ランバード様のお顔は真っ青です。
「でも…ソフィア様の気持ちもわからなくはありません。後妻なんて、きっとプライドの高いソフィア様には…我慢できませんでしょう?」
私は直接ソフィア様を知っているわけではないが、お兄様達から聞いた話を総合すれば、想像はつく。
「でも!でも!絶対に嫌なんです。なので、俺は…咄嗟に好きな人がいて、結婚するつもりだと。」
「なるほど。咄嗟に嘘を…」
「はい。でも、今まで女っ気のなかった俺にそんな人がいるなんて嘘だろうと。それにそんな人が万が一いたとしても、別れれば良いと言われて、それで…」
「それで?」
「もうその女性は妊娠しているから、それは出来ないと…」
「はい?妊娠?結婚はこれからの事ですし、契約としてでも結婚はできますが、妊娠は…今の時点で私のお腹は空っぽですけど?」
私は動揺して、素に戻ってしまいます。
「もちろん、それはわかっています。とりあえず相手を見つけて結婚さえしてもらえれば、妊娠については、間違いだったとでも言えばよいかと…」
「間違い…」
「なんなら、急いで作っても!」とランバード様は鼻息荒く仰いましたが、それについてはオプションになりますが?
「失踪?!」少し大きな声が出てしまって慌てて口を塞ぐ。
「はい。実は兄には婚約者がおりました。その婚約者というのが、とにかく曲者でして…」
と、何かを思い出したのか、苦虫を潰したような顔をしたランバード様は
「俺はそのご令嬢が大変苦手なのです。なので、兄にはとても同情していました。あの女と結婚するなんて…と。俺だったら考えられません」
あの女呼ばわり…かなり個性的な方なのだろうか、そんなに嫌われるなんて、そう私が思っていると
「兄も、本当はめちゃくちゃ嫌だったんだと思います。兄が12歳の時に決まった婚約でしたが、そこから兄はどんどんと笑顔が少なくなりました。」
どんなご令嬢なのか…興味がわきます。
「俺はその時10歳でしたが、そのご令嬢の事がとにかく嫌…苦手で。はっきり言えばそのせいで女性が苦手になってしまったと言えると思います。」
ますます気になります。何をされたのでしょうか?
「本来なら、兄と婚約者が学園を卒業すると同時に結婚する予定でしたが、兄も少しでも先伸ばしにしたかったのでしょう。織物について勉強すると言って、隣国へ留学したのです。
最初は1年と言っていましたが、2年になり、3年になり…とうとう5年になりました。」
「ランバード領は織物が盛んで、特産品となっていましたね。」と言うと
「はい。兄の婚約者の領地は養蚕をしていて…まぁ両家にとってはお互い利のある関係だったので、婚姻によって繋がりを強化し、ゆくゆくは共同事業を始める予定で。まぁ所謂政略結婚です。」
「養蚕が盛んと言うことは…ガンダルフ侯爵領でしょうか?」と、私が思い当たると
「そうです。兄の婚約者は、ガンダルフ侯爵家の次女であるソフィア嬢です。」
「まぁ…あの…」
と田舎の引きこもり令嬢である私までもが知っているご令嬢の名前が出てきて、私もそれ以上なにも言えなくなった。
ガンダルフ侯爵家のソフィア様といえば、かなりの美人だが、派手好きで。そして良く言えば自己愛に溢れる方、悪く言えば我が儘で自己中であると聞いた。
ガンダルフ侯爵領も養蚕で領地経営も上手くいっている領ではある。
しかし、侯爵夫人もソフィア様に負けず劣らずの派手好きで、贅沢三昧。ソフィア様と2人してかなりの資産を浪費していると聞く。借金などはないようだが、養蚕で稼いでいても、贅沢をすれば、内情は厳しいのかもしれない。きっと、利の多い婚約だったのだろう。
しかも、ガンダルフ侯爵様は、夫人には頭が上がらず、その贅沢を許していると兄2人が話ているのを聞いたことがある。
ソフィア様は長男のアレックスお兄様の1学年下で、次男のサミュエルお兄様の1学年上あったので、学園での話も兄達から聞いた事があった。
派手好きで、男好きで、その上婚約者を下僕のようにこきつかっていると…その婚約者様がランバード様の兄上だったとは。
ちなみに、私の兄達はかなりの美男子なので、ソフィア様に声を掛けられたらしい。そんなに近くに寄らなくても香水の匂いで鼻が曲がりそうだったとは、お兄様達談だ。
「それで…その事と今回の事がどう繋がっているのでしょう?」私は話の先を促した。
「兄は、6年間耐えて、耐えて。
それでも家の為と我慢していたんだと思います。
しかし、隣国へ行って一時の自由を手入れた…それを手放す事が出来なかったんだと。」
「と、言いますと…」
「兄はそのまま帰って来ませんでした。」
「え、では伯爵家は?」
「兄から先日、手紙が届きました。もうこの国には帰って来ない事、自分の事は廃嫡してほしい事、婚約は破棄したいが、こちらの有責で破棄となれば慰謝料が発生する。
その足しにして欲しいと500万ルッツの小切手と、廃嫡の書類がサインをして入っていました。
兄は隣国で平民として生きていくと。
その為に商会を立ち上げ、軌道に乗ってきた所だとも書いてありました。
そして、侯爵家に法外な慰謝料を要求される事も考えられる為、なんなら死んだ事にしてくれて構わないとも。」
「そんな…」
私が二の句を継げないでいると
「父も母も、そこまで兄を追い詰めていた事を深く反省しました。俺も同情はしていましたが、やはりどこか他人事で。兄の気持ちに気がついてあげる事ができていませんでした。」
「お兄様は、誰にも言えなかったんでしょうか…。」
そう思うと、私でさえ辛くなってしまいます。
赤の他人の私でさえそう感じるのですから、ご家族の気持ちを思うと…私も何も言えませんでした。
「兄は、俺に爵位を譲ると。しかし、俺は今まで剣を振る事しか学んできていません。でも、兄の気持ちを思うと、望みを叶えてあげたいと…。少しずつですが、領地について学んでいる所です。」
「そうだったのですね。…でも、それなら婚約については?無事に婚約解消できたのでしょうか?」
そこで、ランバード様の肩がビクッと震えたように見えました。
私のその問いに
「兄は死んだ事にしてくれと言いましたが、それは出来ません。そんな事をすれば、兄とは2度と会えなくなる。私達親子は、ガンダルフ侯爵に誠心誠意謝りました。
慰謝料についても十分に支払う準備はあると。
そして、兄を廃嫡し平民にする事で、どうにか許して欲しいと。そう告げたのです。
ガンダルフ侯爵は正直、ソフィア嬢が兄を虐げていた事も、婚約者らしい事を何一つしていない事も、
ソフィア嬢の姉であるルイーズ嬢と婿入りしたマックス様から聞いていたらしく、慰謝料1500万ルッツと兄の廃嫡で婚約を解消させると言ってくれたのですが…
侯爵夫人とソフィア嬢が…激怒したのです。」
どんどんとランバード様の声のトーンが落ちていきます。
「ソフィア嬢は23歳。はっきりと言えば適齢期を過ぎてしまっています」
確かにそれは、そうだろう。次を見つけようとしても年齢の釣り合いがとれる貴族の令息はすでに結婚しているか、婚約者がいるかだ(うちの2人の兄には妻も婚約者もいないが)
これから探しても、歳の離れた方の後妻か、訳ありの家か…なかなかソフィア様の理想に沿う相手は見つからないかもしれない。
なんとなく展開が見えてきた気がしなくもないが、黙って話を聞く事にする。
「そうしたら、ソフィア嬢が『なら、レオナルドが婚約者になればよい。顔はレオナルドの方が好みだし、爵位を継ぐなら問題ない。両家にとっても良いことばかりだし、1番良い方法だ』と言い出したのです。」
あーやっぱり。私はそう思った。
「でも、俺は絶対に嫌なんです。あの女…ソフィア嬢との結婚なんて、考えたくもありません。元々彼女のせいで女性が苦手になったのに。結婚なんて…」
その時の事を思い出しているのでしょうか。ランバード様のお顔は真っ青です。
「でも…ソフィア様の気持ちもわからなくはありません。後妻なんて、きっとプライドの高いソフィア様には…我慢できませんでしょう?」
私は直接ソフィア様を知っているわけではないが、お兄様達から聞いた話を総合すれば、想像はつく。
「でも!でも!絶対に嫌なんです。なので、俺は…咄嗟に好きな人がいて、結婚するつもりだと。」
「なるほど。咄嗟に嘘を…」
「はい。でも、今まで女っ気のなかった俺にそんな人がいるなんて嘘だろうと。それにそんな人が万が一いたとしても、別れれば良いと言われて、それで…」
「それで?」
「もうその女性は妊娠しているから、それは出来ないと…」
「はい?妊娠?結婚はこれからの事ですし、契約としてでも結婚はできますが、妊娠は…今の時点で私のお腹は空っぽですけど?」
私は動揺して、素に戻ってしまいます。
「もちろん、それはわかっています。とりあえず相手を見つけて結婚さえしてもらえれば、妊娠については、間違いだったとでも言えばよいかと…」
「間違い…」
「なんなら、急いで作っても!」とランバード様は鼻息荒く仰いましたが、それについてはオプションになりますが?
87
あなたにおすすめの小説
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
白い結婚の行方
宵森みなと
恋愛
「この結婚は、形式だけ。三年経ったら、離縁して養子縁組みをして欲しい。」
そう告げられたのは、まだ十二歳だった。
名門マイラス侯爵家の跡取りと、書面上だけの「夫婦」になるという取り決め。
愛もなく、未来も誓わず、ただ家と家の都合で交わされた契約だが、彼女にも目的はあった。
この白い結婚の意味を誰より彼女は、知っていた。自らの運命をどう選択するのか、彼女自身に委ねられていた。
冷静で、理知的で、どこか人を寄せつけない彼女。
誰もが「大人びている」と評した少女の胸の奥には、小さな祈りが宿っていた。
結婚に興味などなかったはずの青年も、少女との出会いと別れ、後悔を経て、再び運命を掴もうと足掻く。
これは、名ばかりの「夫婦」から始まった二人の物語。
偽りの契りが、やがて確かな絆へと変わるまで。
交差する記憶、巻き戻る時間、二度目の選択――。
真実の愛とは何かを、問いかける静かなる運命の物語。
──三年後、彼女の選択は、彼らは本当に“夫婦”になれるのだろうか?
離婚した彼女は死ぬことにした
はるかわ 美穂
恋愛
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。
もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。
今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、
「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」
返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。
それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。
神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。
大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。
私の手からこぼれ落ちるもの
アズやっこ
恋愛
5歳の時、お父様が亡くなった。
優しくて私やお母様を愛してくれたお父様。私達は仲の良い家族だった。
でもそれは偽りだった。
お父様の書斎にあった手記を見た時、お父様の優しさも愛も、それはただの罪滅ぼしだった。
お父様が亡くなり侯爵家は叔父様に奪われた。侯爵家を追い出されたお母様は心を病んだ。
心を病んだお母様を助けたのは私ではなかった。
私の手からこぼれていくもの、そして最後は私もこぼれていく。
こぼれた私を救ってくれる人はいるのかしら…
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。
❈ ざまぁはありません。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
探さないでください。旦那様は私がお嫌いでしょう?
雪塚 ゆず
恋愛
結婚してから早一年。
最強の魔術師と呼ばれる旦那様と結婚しましたが、まったく私を愛してくれません。
ある日、女性とのやりとりであろう手紙まで見つけてしまいました。
もう限界です。
探さないでください、と書いて、私は家を飛び出しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる