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登場
「あ、忘れてた。」
と呟くと、大股で私と同じ亜麻色の髪に琥珀色の瞳、眼鏡を掛けてスラッとした男性が、険しい顔で近付いてきた。
「お兄様!」
そう、私の兄サミュエルお兄様です。
「レベッカ!お前はなんでこんな所に居るんだ!ウィルを撒いて1人で出歩くなんて。お前が領地でつまらないと嘆くから、兄上が居ない間にと、こちらへ呼んだのに。
こんなことなら、すぐに領地に送り返すぞ。」
と、私の手を掴んで椅子から立たせる。
「ま、待って下さいお兄様」
「いーや、待たない。ウィルが真っ青な顔をして学校までやってきたんだ。どれだけ皆が心配したか。」
「だって、ウィルはアレックスお兄様の息がかかった護衛ですもの。私の行動を一から十まで、全てアレックスお兄様へ報告するのよ!
せっかくお兄様が居ない時ぐらい、自由に羽を伸ばしたいわ。」
と兄妹で言い争っていると、サミュエルお兄様は私の前に座るレオナルド様に気がついて
「貴様は、誰だ?」
と、今まで聞いた事のない程の地を這うような声でレオナルド様を睨みつけた。
「申し遅れました、私はレオナルド・ ランバード。近衛騎士をしております。」
と、慌ててレオナルド様が席を立ち挨拶をする。
「レオナルド…ランバード伯爵家のレオナルド殿ですか。学園で、何度かお見かけした事はあるが…
で、何故女嫌いで有名な君が妹と?」
と、言い方は丁寧になったものの、声の刺々しさの変わらない問いに、レオナルド様が答えるより早く、私が口を開く
「ねぇ、お兄様聞いて?私、今日、運命のお相手に出逢いましたの!」
とりあえず笑顔でお兄様へ話しかける。
「運命の相手?」
「ええ。私が道に迷っている所をこのレオナルド様に助けていただいたのですけど、その時、私、恋に落ちたのです!
まるで、雷に打たれたかのような衝撃でしたわ」
雷に打たれた事も、恋に落ちた事もないが、私は侍女のアンナが大好きな今流行りの恋愛小説の一節を引用してみた。
「でね、お兄様。私、レオナルド様と結婚したいのです。」
「結婚?!」
お兄様は目を丸くして、いつの間にか抱いた私の腰にますます力を入れて、顔を凝視してきます。
これ、恋人の距離ですわね。まぁ、サミュエルお兄様も私を溺愛しておりますが、アレックスお兄様に比べれば、小者でございます。
「もちろん、レオナルド様も同じ気持ちですわ。先程、プロポーズもしていただきましたの。」
ねぇ、とレオナルド様を見ると、ブンブンと首を縦に振って肯定している。
「はぁ?運命の相手だ?結婚だ?そんなの許すわけないだろう。しかもレオナルド殿、君は確か次男だろう?跡取りでもない君は私の可愛いレベッカに相応しいとは思えないな。」
うーん。失礼ではないかしら?レオナルド様は次男でもエリートで将来有望な方だと思うんだけど。
しかも…
「伯爵家は将来、私が継ぐ事になっております。」
私が言いたい事をレオナルド様が言ってくれた。
「君が伯爵家を?ランバード家には嫡男のジョシュア殿がいただろう?」
「実は兄は婚約破棄の責任を取り、廃嫡されました。」
「廃嫡?それは穏やかではありませんね。婚約破棄とは…確かジョシュア殿の婚約者は…あのガンダルフ侯爵令嬢でしたね。」
レオナルド様は頷きます。
お兄様は私にしか聞こえないぐらいの声で
「ジョシュア殿も我慢の限界だったか…」
と呟いた。
サミュエルお兄様もソフィア様から、しつこく声を掛けられていた1人ですものね。ソフィア様の美しさと妖艶さにうつつをぬかす男性は少なからず居たと聞きます。ソフィア様は常に何人かの男性を侍らしていたとも。
その事を思い出したのか、お兄様の眉間にシワが寄ってきましたわ。
「でも、君が伯爵家を継ごうがジョシュア殿が婚約破棄しようが、関係ない。
私は君たちの結婚を認めるわけにはいかないよ。」
「お、お兄様…」
「いいかい、レベッカ良く聞くんだ。恋だの愛だのはまやかしだ。
そんな一時の感情で人生の大事な事を決めてはいけない。
それにこの事を兄上が知ったら、どうなるか…」
サミュエルお兄様ごときで、躓くわけにはいきません。本丸はアレックスお兄様ですもの。
「それ、それですわお兄様。私、このままでは誰とも結婚せずに、お兄様達に迷惑をかけてしまいます。」
「迷惑だなんて、そんな事」
「いいえ、私のような小姑がいたら、アレックスお兄様もサミュエルお兄様も結婚できませんでしょ?
私は2人にも幸せになっていただきたいの。
今日の私のように、突然、運命のお相手に会えるかもしれませんし。
その時に私という存在がお兄様達のお荷物となってしまうのが、怖いのです。」
目を潤ませながら、お兄様を見上げる。
サミュエルお兄様の弱点は私の涙だ。
「お荷物だなんて、そんな悲しい事をいわないでおくれ。私も兄上もレベッカが居てくれるだけで幸せなんだ。
もちろん、いずれは結婚しなくてはならないが…」
うーん。もう一押し。
「私だって、ずっとお兄様達と一緒に居れたら幸せですわ。でも、それではいずれ来て下さる、お兄様達の運命のお相手に嫌な思いをさせてしまいます。
伯爵家の存続の為にも、お兄様達には素敵なお相手を見つけていただきたいし、将来のお義姉さまと、私だって仲良くしたいのです。
誰よりも大好きなお兄様達の幸せを私は願っておりますもの。
お兄様は私の幸せを願ってはくれませんの?」
とポロリと一粒涙を溢す。
それを見たお兄様は私の涙を親指でそっと拭いて
「私はいつだってレベッカの幸せを願っているよ。レベッカ泣かないで。私が悪かった。大声をだしてごめんね。レベッカが泣くと、私の胸は張り裂けそうだよ」
と私を抱き締めてくれる。
うん、だからこれって恋人の距離ですよね?
レオナルド様に何を見せてるんだか。
他人にこんな所を見られて羞恥に見悶える。でも、これでフィニッシュだ
「お兄様、私の方こそ心配をかけてごめんなさい。1人でもう出歩いたりいたしませんわ。実は、お兄様にプレゼントを買ってましたの。びっくりさせたくて、ウィルの目を盗んで、買い物に行きたかったの。本当にごめんなさい。」
これは、怒られた時用に用意していた物だ。
「プレゼントかい?それは嬉しいな。でも、これからは1人で出歩いてはいけないよ。じゃあ、もう邸へ帰ろう。アンナも心配している。」
と、私の頭を撫でた。
「では、レオナルド殿、私達はこれで失礼するよ。今日は妹を助けてくれた事には礼を言う。しかし、結婚についてはもう少し妹と話す必要がありそうだ。」
そうレオナルド様へ挨拶した。
これは、少し軟化したかな?そう思いながら私はレオナルド様に
「レオナルド様…明日もお会い出来ますか?」と尋ねる。
さっき、打ち合わせの途中だったが、これ以上はここには留まれない。
「ああ、明日10時に邸へ迎えに行くよ。」
うん、私の言いたい事は伝わったようだ。
「楽しみにしております。今日は本当にありがとうございました。」
と頭を下げ、お兄様に手を繋がれて、私はお店を後にした。
と呟くと、大股で私と同じ亜麻色の髪に琥珀色の瞳、眼鏡を掛けてスラッとした男性が、険しい顔で近付いてきた。
「お兄様!」
そう、私の兄サミュエルお兄様です。
「レベッカ!お前はなんでこんな所に居るんだ!ウィルを撒いて1人で出歩くなんて。お前が領地でつまらないと嘆くから、兄上が居ない間にと、こちらへ呼んだのに。
こんなことなら、すぐに領地に送り返すぞ。」
と、私の手を掴んで椅子から立たせる。
「ま、待って下さいお兄様」
「いーや、待たない。ウィルが真っ青な顔をして学校までやってきたんだ。どれだけ皆が心配したか。」
「だって、ウィルはアレックスお兄様の息がかかった護衛ですもの。私の行動を一から十まで、全てアレックスお兄様へ報告するのよ!
せっかくお兄様が居ない時ぐらい、自由に羽を伸ばしたいわ。」
と兄妹で言い争っていると、サミュエルお兄様は私の前に座るレオナルド様に気がついて
「貴様は、誰だ?」
と、今まで聞いた事のない程の地を這うような声でレオナルド様を睨みつけた。
「申し遅れました、私はレオナルド・ ランバード。近衛騎士をしております。」
と、慌ててレオナルド様が席を立ち挨拶をする。
「レオナルド…ランバード伯爵家のレオナルド殿ですか。学園で、何度かお見かけした事はあるが…
で、何故女嫌いで有名な君が妹と?」
と、言い方は丁寧になったものの、声の刺々しさの変わらない問いに、レオナルド様が答えるより早く、私が口を開く
「ねぇ、お兄様聞いて?私、今日、運命のお相手に出逢いましたの!」
とりあえず笑顔でお兄様へ話しかける。
「運命の相手?」
「ええ。私が道に迷っている所をこのレオナルド様に助けていただいたのですけど、その時、私、恋に落ちたのです!
まるで、雷に打たれたかのような衝撃でしたわ」
雷に打たれた事も、恋に落ちた事もないが、私は侍女のアンナが大好きな今流行りの恋愛小説の一節を引用してみた。
「でね、お兄様。私、レオナルド様と結婚したいのです。」
「結婚?!」
お兄様は目を丸くして、いつの間にか抱いた私の腰にますます力を入れて、顔を凝視してきます。
これ、恋人の距離ですわね。まぁ、サミュエルお兄様も私を溺愛しておりますが、アレックスお兄様に比べれば、小者でございます。
「もちろん、レオナルド様も同じ気持ちですわ。先程、プロポーズもしていただきましたの。」
ねぇ、とレオナルド様を見ると、ブンブンと首を縦に振って肯定している。
「はぁ?運命の相手だ?結婚だ?そんなの許すわけないだろう。しかもレオナルド殿、君は確か次男だろう?跡取りでもない君は私の可愛いレベッカに相応しいとは思えないな。」
うーん。失礼ではないかしら?レオナルド様は次男でもエリートで将来有望な方だと思うんだけど。
しかも…
「伯爵家は将来、私が継ぐ事になっております。」
私が言いたい事をレオナルド様が言ってくれた。
「君が伯爵家を?ランバード家には嫡男のジョシュア殿がいただろう?」
「実は兄は婚約破棄の責任を取り、廃嫡されました。」
「廃嫡?それは穏やかではありませんね。婚約破棄とは…確かジョシュア殿の婚約者は…あのガンダルフ侯爵令嬢でしたね。」
レオナルド様は頷きます。
お兄様は私にしか聞こえないぐらいの声で
「ジョシュア殿も我慢の限界だったか…」
と呟いた。
サミュエルお兄様もソフィア様から、しつこく声を掛けられていた1人ですものね。ソフィア様の美しさと妖艶さにうつつをぬかす男性は少なからず居たと聞きます。ソフィア様は常に何人かの男性を侍らしていたとも。
その事を思い出したのか、お兄様の眉間にシワが寄ってきましたわ。
「でも、君が伯爵家を継ごうがジョシュア殿が婚約破棄しようが、関係ない。
私は君たちの結婚を認めるわけにはいかないよ。」
「お、お兄様…」
「いいかい、レベッカ良く聞くんだ。恋だの愛だのはまやかしだ。
そんな一時の感情で人生の大事な事を決めてはいけない。
それにこの事を兄上が知ったら、どうなるか…」
サミュエルお兄様ごときで、躓くわけにはいきません。本丸はアレックスお兄様ですもの。
「それ、それですわお兄様。私、このままでは誰とも結婚せずに、お兄様達に迷惑をかけてしまいます。」
「迷惑だなんて、そんな事」
「いいえ、私のような小姑がいたら、アレックスお兄様もサミュエルお兄様も結婚できませんでしょ?
私は2人にも幸せになっていただきたいの。
今日の私のように、突然、運命のお相手に会えるかもしれませんし。
その時に私という存在がお兄様達のお荷物となってしまうのが、怖いのです。」
目を潤ませながら、お兄様を見上げる。
サミュエルお兄様の弱点は私の涙だ。
「お荷物だなんて、そんな悲しい事をいわないでおくれ。私も兄上もレベッカが居てくれるだけで幸せなんだ。
もちろん、いずれは結婚しなくてはならないが…」
うーん。もう一押し。
「私だって、ずっとお兄様達と一緒に居れたら幸せですわ。でも、それではいずれ来て下さる、お兄様達の運命のお相手に嫌な思いをさせてしまいます。
伯爵家の存続の為にも、お兄様達には素敵なお相手を見つけていただきたいし、将来のお義姉さまと、私だって仲良くしたいのです。
誰よりも大好きなお兄様達の幸せを私は願っておりますもの。
お兄様は私の幸せを願ってはくれませんの?」
とポロリと一粒涙を溢す。
それを見たお兄様は私の涙を親指でそっと拭いて
「私はいつだってレベッカの幸せを願っているよ。レベッカ泣かないで。私が悪かった。大声をだしてごめんね。レベッカが泣くと、私の胸は張り裂けそうだよ」
と私を抱き締めてくれる。
うん、だからこれって恋人の距離ですよね?
レオナルド様に何を見せてるんだか。
他人にこんな所を見られて羞恥に見悶える。でも、これでフィニッシュだ
「お兄様、私の方こそ心配をかけてごめんなさい。1人でもう出歩いたりいたしませんわ。実は、お兄様にプレゼントを買ってましたの。びっくりさせたくて、ウィルの目を盗んで、買い物に行きたかったの。本当にごめんなさい。」
これは、怒られた時用に用意していた物だ。
「プレゼントかい?それは嬉しいな。でも、これからは1人で出歩いてはいけないよ。じゃあ、もう邸へ帰ろう。アンナも心配している。」
と、私の頭を撫でた。
「では、レオナルド殿、私達はこれで失礼するよ。今日は妹を助けてくれた事には礼を言う。しかし、結婚についてはもう少し妹と話す必要がありそうだ。」
そうレオナルド様へ挨拶した。
これは、少し軟化したかな?そう思いながら私はレオナルド様に
「レオナルド様…明日もお会い出来ますか?」と尋ねる。
さっき、打ち合わせの途中だったが、これ以上はここには留まれない。
「ああ、明日10時に邸へ迎えに行くよ。」
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