とりあえず結婚してみますか?

初瀬 叶

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約束 sideレオ

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応接室では、両親が待っていた。

母上は一目でレベッカを気に入ったようだ。
ずっと娘を欲しがっていたから、俺たちが結婚すれば、可愛い義娘が手にはいる。
結婚って凄いシステムだ。

でも、何故か申し訳なさそうな目でレベッカを見る。
そうだ!妊娠させた事になってるんだった。
俺は焦って、昨日少し調べた言い訳をとっさに使う。
レベッカに事前に言ってなかったからか、隣でレベッカが少し目を見開いた。
それも一瞬の事だ。両親にはばれてない。

父上に
「そういう行為をしたのだ」
と言われ、本当は口づけもした事ないのに、想像してドキドキする。
ちなみに俺は童貞だ。

とにかく、俺の気持ちが本気な事を伝えなければならない。
レベッカを愛しているから許可してほしいと頭を下げると、隣でレベッカも頭を下げる。
正直、こんなスラスラと言葉が出るとは思っていなかった。無意識なのか、なんなのか。
レベッカへの愛の言葉は、淀みなく俺の口からでた。
…俺って役者の才能があるのか?

両親は俺たちの結婚を認めてくれた。
レベッカも俺を支えたいと言ってくれている。
その言葉が本心でない事を俺は理解しているはずなのに、何故か心が温かくなった。

レベッカにも役者の才能があるようだ。

俺たちは「運命の相手」という、共犯者になった。


昼食後、俺の部屋にレベッカと2人きりになった。
落ち着かない気持ちになったが、動揺を悟られてはいけない。
レベッカに警戒心を持たれるのは辛い。
2人でお茶を飲みながら話す。
レベッカから、何故、自分だったのか聞かれた。

まさか、目が離せなかったとは言えなかったが、そういう相手を探していたのだろうと言われ、それは全力で否定した。
俺が節操なしに、色んな女に声を掛けていたと誤解されたくない。

上手く前半部分は隠しつつ、誤解を解く事が出来たと思う。出来たよな?
まぁ、俺が脳筋って事になったが、それも強ち間違いではない。
俺は考えすぎると上手くいかない。
そのおかげでレベッカに会えたんだと思うと、脳筋も悪くない。


次はサミュエル殿への挨拶だ。正直気が重いがこれを乗り越えなければ、到底、コッカス伯爵夫妻を納得させる事は出来ない。お茶を飲んだ後、俺たちはコッカス邸へ向かった。


結論から言えば、サミュエル殿からの許可を得た。
許可といっても、俺を敵対視している事には変わりはない。
レベッカを呼び捨てにする事は最後まで許されなかった。
相変わらずの溺愛っぷりが何故か俺の心をざわつかせる。

サミュエル殿に、レベッカを幸せにすると誓った。
例え偽装結婚であっても、レベッカの要求には出来る限り答えていきたいし、
レベッカが俺との関係を苦痛に感じないように努力するつもりだ。
レベッカを泣かせるような事はしない。

俺は俺のやり方でレベッカを幸せにしようと心に決めた。
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