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いよいよ sideレオ
しおりを挟む夜明け前、殿下と最低限の護衛のみで編成された先発隊が出発する。
本来なら、殿下は最初の宿までは馬車で移動し、そこで秘密裏に団長率いる先発隊と殿下が合流、馬車には先発隊と共に居た影武者と入れ替わる予定だった。しかし状況の変化で仕方ないとはいえ、今まで立てていた計画を変更しなくてはいけなくなったことに、やはり不安を覚える。
俺は明日馬車を護衛しながら、ルーベンを目指す。
多分、俺達が到着する頃には、殿下が密輸についての証拠を掴んでいる事だろう。
殿下の護衛を外された事は悔しいが仕方ない。
俺達の旅程はもちろんウガロ伯爵…いや彼の方も把握済みだろう。
馬車が襲われる可能性は極めて高い。
しかも今回の計画を知っている人数は極僅か。
馬車に付いている者の中には、表向きの理由である改修工事の視察と聞かされている者が大多数だ。俺を含めた真実を知る数名には、緊張感が漂っていた。
表立って殿下を見送る事は出来ないが、落ち着かず、夜も明けぬ内に王宮へ到着してしまった。
「おいおい。そんなに私と離れるのが寂しいのか?
お前達までこんな時間から仕事する必要はないんだぞ?」
執務室で出発の用意をしている殿下にからかわれる。
お前達…というのは俺とアレックス殿だ。
アレックス殿は留守を預かる身。
ある人の動向を見張る役目だが、俺と同じで落ち着かない思いでいたのだろう。
彼も俺より早く王宮へ到着していた。
「……外へのお見送りは出来ませんが、せめて…と思いまして」
俺がそう言うと
「私は気になる事があって早く来ただけです。
殿下の顔を見るのはそのついでですので、お気になさらずに」
アレックス殿は相変わらずだが、殿下を心配している事は間違いない。
「そうか。2人共、仕事熱心だな。
頼もしい部下を持ったものだ。
これなら安心して任せられる。
…くれぐれもよろしく頼むよ」
そう笑顔で殿下は答えると、王宮の幾多もある隠し通路の1つから執務室を出ていった。
「いよいよですね」
俺は殿下が去っていった方向に顔を向けたまま、アレックス殿に話しかけた。
アレックス殿も俺には目も向けず
「貴様は明日に備えろ。あまりピリピリし過ぎると、かえって不自然だ。ほどほどにな」
そう言って、事務官の部屋へと入っていった。
結局その日も俺が邸に帰り着いたのは、夜半過ぎの事だった。
フェルナンデスがあまり重くない食事を用意してくれる。
「レオナルド様。今日も夜遅くなりましたので、軽めのお食事にさせて頂きました。明日からの視察…お気を付け下さい」
もちろんフェルナンデスにも今回の裏側を話してはいないが、長い付き合いだ。なんとなくいつもの視察とは違う雰囲気を感じ取っているのかもしれない。
俺は食事の後、湯浴みを終えて寝室へ入る。
レベッカを起こさないようにそっとベッドに横になった。
流石に今日は…やめておこう。
俺はレベッカを抱き締めるようにして眠りについた
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