とりあえず結婚してみますか?

初瀬 叶

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罪と罰

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「レオ様、それはどういう…」
私は驚き過ぎて、言葉が出ない。

「実は今回、違法薬物を取り扱っていたアスガルドの商人が捕まった。
その商人はアスガルドでも我が国でも商売をやってたんだが…。
うちの国では、スミス伯爵の息子が経営している店で、如何わしい催しをやっていてね。まぁ…なんというか…その…仮面を着けた男女が一夜の火遊びを楽しむ場を提供してたってわけだ。
その時に違法薬物である媚薬や麻薬を売っていたと」

「まさか、ソフィア様は…」

「その店の常連客だった。麻薬には手を出してなかったが、媚薬にはかなりお世話になっていたようだよ。
その店で使うだけじゃなく、日常的にも使用していたみたいだから。
媚薬を使った快楽は1度味わうと、病みつきになってなかなか止められないらしい」
…ソフィア様はそれを使って取り巻きを集めていたのだろうか?

「では、ガンダルフ侯爵夫人も?」

「いや、ガンダルフ侯爵夫人はさすがにその店の利用者ではなかったが…そのアスガルドの商人と不貞関係にあってな。
スミス伯爵の店を利用するよう貴族を斡旋していたらしい。
旦那にほっとかれて寂しさを持て余している夫人を狙ってな」

「では…共犯者…という事に?」

「直接、薬の売買には関わってないが、間接的にはそういうことになるな。
まぁ、罪に問われるかどうかはギリギリ難しい所だが」

「では、ガンダルフ侯爵はそれを知って離縁を?」

「そうみたいだ。他の男とできてたんだから、まぁ仕方ないさ。
例え薬物の件で罪に問われなくても、不貞は不貞。
さすがの侯爵も堪忍袋の緒が切れたってところだろうな」

「ソフィア様は?」

「違法と知って買ってたんだ。罪にはなる。自分が使う為であってもな」

「そうですよね…。ソフィア様は…どうなるのでしょう?」

「処分についてはこれからだ。
実はアレックス殿からその商人の顧客リストを渡されて、証拠を集めるよう言われてたんだが、その中にあの女の名前があって、本当に驚いたよ。
馬鹿な女だとは思っていたが、まさかここまでとはな」

「……結婚しなくて良かったですね。レオ様もジョシュア様も」

「まったくだ」




その後、ソフィア様は違法薬物使用の罪に問われた。

戒律の厳しい修道院に入るらしい。
そこは軽犯罪を犯した女性を収容し、奉仕活動を通じて更正を計る施設のようだ。

ガンダルフ侯爵夫人は罪に問われる事はなかったが、離縁され、実家からは貴族籍を抜かれ平民となったという。
色んな夫人を店へ斡旋し、たくさんの家庭を壊したのだ。
貴族として残ったとしても、もう2度と社交界に出る事は出来なかっただろう。
それならば平民として暮らす方が良いのかもしれないと思っていたが、その後、斡旋した夫人達の家族より賠償を求める裁判をおこされ、賠償金の支払いの為に娼館へ身を落としたという。
娼婦としては歳をとりすぎている為、お客はあまりつかず、一生そこから出る事は不可能だという話だ。
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