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第17話
しおりを挟むあれから3ヶ月が過ぎた。
父はニール・アズナブルの不貞を婚約者であった侯爵令嬢の元へ証拠と共に報告したらしい。
婚約はニール殿の有責で破棄となり、ニール殿はアズナブル侯爵家から放逐された。
直ぐ様、ジュリエッタへの接触を試みたようだが、その試みは空振りに終わった。
何故ならジュリエッタは既に修道院へ入れられたからだ。
あの父が私の提案を素直に受け入れたのには訳がある。
いや…受け入れざるを得なかったと言う方が正確な所だろう。
なんと、私が王宮で預かっている間に、ジュリエッタは陛下の寝室へと忍び込もうとしたのだ。
ジュリエッタは私と陛下が契約上の夫婦であるという事を疑った事などなかった為に、陛下の寝室へと向かったらしい。
まさか、陛下が夫婦の寝室を使っているとは思っていなかったようだ。
…夫婦の寝室を使っていたのは、私がまだお飾りの王妃だった頃からなのだが…流石にそんな事までジュリエッタに話した事はなかった。
まさか本当に側妃を狙って、陛下の寝込みを襲おうとするなんて思ってもみなかった事だ。もしかすると、既成事実でも作ろうと思ったのか…ジュリエッタの行動は想像の斜め上過ぎて、驚かされてばかりだ。
護衛に捕まえられたジュリエッタを見た時には目眩がした。
私はその時に決心したのだ。絶対にこの娘を修道院に入れると。
学園なんかに通わせたら、問題を起こすに決まっている。ロッテン様以上の問題を起こすかもしれない…考えただけでも恐ろし過ぎる。
妹に甘い父も流石にこの件を見過ごす事など出来ず、私の提案を受け入れた。
陛下からも子育てについてコンコンと説教されたのだ。当たり前といえば当たり前だ。
折角ニール殿を排除して、ジュリエッタを迎えに来ようとしていた矢先の出来事に、父は頭を抱えていた。
ちなみに、アズナブル侯爵はやはりニール殿をいずれジュリエッタの婿にと考えていたようだ。
うちとアズナブル侯爵の仲の悪さは特産品が同じである事に端を発している。
うちを取り込めば、ライバルは居なくなるし一石二鳥だと考えたんだろうが、浅はかだとしか言いようがない。
ニール殿の浮気相手であった女性はそれでもニール殿を愛していたらしく、平民になった彼を支えると言っていた。お腹の中の子の父親でもあるのだから、彼女と子どもが幸せになるなら、それで良い。
ジュリエッタは行儀見習いの為に戒律の厳しい修道院へ入れられた。泣きながら、私に悪態をついていたが、自業自得でしかない。
…私の陛下を狙ったりするからだ。ふん!ざまあみろ。
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