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第18話
しおりを挟むさて、私と陛下の関係だが、見かけ上は何も変わっていないように思う。そう、見かけ上は。
『本物の夫婦になりましたよ!』と宣伝して回る訳もなく。
今まで通りの口煩い王妃とちょっと尻に敷かれ気味の国王といった感じだ。
声高々と『本物の夫婦だ』と言うのは、かなり恥ずかしい。
だって、暗に『ヤりました』と言っているようなものだ。…それはメンタル強めの私ですらちょっと無理だ。
もちろん私達の身の回りの世話をする使用人や侍女、護衛達にはバレているが、皆プロだ。あえてそれを口に出したりはしない。
だが、王宮で働く貴族や、出入りする貴族がそんな事を知る由もなく…
「まだ側妃をと言っている者が…」
「あぁ。クロエ以上の者が居るのか?!と言った時には少し静かになったのだが…喉元過ぎれば何とやらだ。その者達に私とクロエの関係を言った所で、子が出来るまではどうせ煩いのだろうから、放ってはいるがな」
と陛下は肩を竦めた。
此処は夫婦の寝室。私と陛下は長椅子に腰かけて、今日の出来事を話ながら、お酒を飲んでいた。
「そうですね…。まず、私に子が出来る保証は何処にもありませんし、3年経っても後継ぎを設ける事が出来なければ、いずれ側妃をと言う声は今以上に大きくなります。それは私を支持している貴族であってもです。後継者問題となれば話は別。それは仕方のない事ですから」
と私が溜め息をつくと、
「ならば尚更子作りに励まなくてはならないな」
と陛下は私の手を握ると寝台へと誘う。
「陛下…。こればかりは授かり物です。回数をこなせば良いという訳では…」
と私が呆れたように言うと、陛下は、
「それはわかっている。しかし、少ないより多いに越したことはないだろう?」
と陛下はニッコリと笑った。
今でも毎晩励んでいるじゃないか。そろそろ私の体力がもたないのだけれど…。
まぁ、陛下が楽しそうだから良いか…。
「ミラス王国、王太子殿下より書簡が届いております。陛下は確認済みですが、妃陛下にも確認して頂くように…との事です」
翌朝、私が欠伸を噛み殺していると、陛下付の事務官が私に手紙を持ってきた。
こうやって陛下がいつも私に全てを確認させるから、かかあ天下のレッテルがいつまで経ってもベッタリと貼られたままなのではないだろうか…。
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