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第37話
しおりを挟む「可愛い~!うちの子、天才的に可愛いわ」
とんでもない親バカなのは……答え、私。
私は王妃だけど、貴族の頂点に立ってるけど、育児を自ら行っていた。
母乳はありがたい事に良く出るし、前世の知識と、私をサポートしてくれる皆に支えられて、日々、忙しく過ごしている。
しかし!前世には当たり前にあった物がこの世界にはない。
紙オムツも無ければ、哺乳瓶もないし、様々な便利育児グッズなど皆無だ。
本当に周りの手助けがなければ、全くもって私に育児は無理だっただろう。
王妃自ら育児を行うなど前代未聞。
ま~た、頭の固い貴族達には苦い顔をされたが、ライラお義母様は『素敵ね!王妃の仕事のサポートなら私がするから、思う存分、自分のやりたいようになさい』と言ってくれたので、お言葉に甘えさせて頂いている。
第1王子となった我が息子、イオ・ラインハルト。
これがまぁ…めちゃくちゃ可愛い。
陛下譲りの金髪に私と同じ紫の瞳。少し垂れ目なのは陛下似だ。
「イオ~。さぁ、おっぱいも沢山飲んだし、ねんねしましょうね~」
最初の頃は、私が何かする度にハラハラしていた侍女達も今では、私のする事をそっとサポートしてくれている。
母乳が出なかった時の為に、乳母も選任していたので、彼女達にも指導を仰ぐ日々だ。
「クロエ様、イオ様もお休みになられましたので、クロエ様も少しお休みしては?」
とナラが私に言う。私は眠っている我が子の寝顔を見ながら、
「少し仕事をするわ。イオが起きたら知らせてちょうだい」
と答えてから、後ろ髪を引かれる思いで子ども部屋を後にした。
産後、約5ヶ月が経っていた。陛下に待望の跡継ぎが生まれた事で、国民はお祭り騒ぎだったと聞く。
…国民に人気で良かった。
サーチェス公爵は隣国で逮捕。私は跡継ぎを生んだ。反王妃派の者達の声は少しずつ小さくなっていった。
燻っている思いはあるだろうが、今、私や陛下に反抗するのは、得策でないと考えたらしい。
「クロエ…。少し休んだらどうだ?」
私の執務室へ現れた陛下に呆れた様に言われた。
「夜は休ませて貰ってますから」
と言う私に、
「嘘だ。イオが夜泣きする度に起きてるじゃないか」
…バレてた。
「そうですが…。お昼寝してくれている時に少し休んだりしてますから」
と言う私に、
「子育てを自らする王妃など聞いた事はなかったが、クロエの頼みだから許可したんだ。
それに…あの…立ち会い出産とやらも、私としては本当に経験して良かったと思ったからな。
クロエの提案する事にはきちんと意味があると…そう思っているからだ。
だがな?クロエの体が第1なんだ。クロエが無理を続けるなら、私も考え直さなければならない」
そう陛下に言われてしまうと、私としても何とも言えない。
陛下の心配は理解している。
「…わかりました。今、イオはお昼寝中ですから、私も一緒に休みます」
そう私が言って席を立つと、陛下は満足そうに頷いて、
「イオが可愛いのはわかるよ。私だってメロメロだ。
だが、私にはクロエよりも大切なものなどないんだ…と、これは聞かれたら不味いな。国王たるもの国と国民が1番だと…言わなきゃな」
と自分の口に手を当てた。
陛下も国王としては珍しく、イオを抱っこしたり、あやしたりしてくれている。
イクメン…には程遠いが、私としては大満足だ。
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