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第九章 美少女でもいじめられる
犯人の正体
しおりを挟む帰りのホームルームになり、生徒たちは先生が来るまで机の上に鞄を置き座って待つ。
結局、俺のセーラー服が見つかることはなく、未だに体操服とブルマ姿なのでかなり目立っていた。
13歳とは思えないほど胸が大きいし、女の子にしては身長も高いから、細くて長い脚が男子は気になるようだ。
一応、鬼塚の学ランを借りているけどあまり隠せていない。
教室の扉が開かれると、レディーススーツを纏った担任のねーちゃん先生が入って来る。
「じゃあ、帰りのホームルームを始めるよ~ あ、その前に水巻。これ、あんたのセーラー服だよね?」
と教卓の上に置かれたのは、真っ黒に汚れたセーラー服。
先生の言うように俺のセーラー服で間違い無いようだ、胸元に『水巻』というワッペンが貼られていたから。
今朝、着た時はきれいな制服だったのに、土と埃まみれ。一体どうしてこうなったんだ?
「わ、私のセーラー服ですけど。一体どこで見つかったんですか……?」
「なんかね、掃除の時間に2年生の子が教室のゴミ箱を焼却炉に持っていたら、中に入ってたらしいよ。だから燃やす前に拾ってくれたってさ」
「しょ、焼却炉の中にあったんですか!?」
「そうみたい。とりあえず今度2年生の子に、お礼に行きなよね」
「は、はい……」
焼却炉って、あともう少し遅れたら、俺のセーラー服は燃やされていたのか?
これは嫌がらせってレベルじゃないな。相当、誰かに恨まれている……。
先生から汚れたセーラー服を受け取ると、鬼塚へ学ランを返して、その場でセーラー服を着始める。
カッターシャツは見つからなかったので体操服の上から直に着ることになったけど。
あのまま、体操服にブルマ姿よりましだ。
着てみたけど見た目通り埃っぽいし、臭いな。
それを隣りから見ていた鬼塚が机の上で拳を作り、背中を震わせていた。
「水巻……お前、そんな目にあっても平気なのかよ!?」
「え? まあ怒っても仕方ないじゃん。直接ダメージがあったわけじゃないし……」
と前世でのいじめを比較していると、鬼塚が怒り始めた。
「なんでお前は、俺や翔平のことは助けてくれたのに。自分のことになるとそんなに我慢するんだよっ!」
「へ……?」
「もう決めたぜ! 俺がお前をいじめた犯人を見つけてやるよ! 必ずなっ!」
犯人を見つけるって、どうやって探すんだ? そんな簡単に見つかるもんじゃないだろう。
~10分後~
帰りのホームルームは終わったけど、セーラー服があまりに汚れているので、優子ちゃんと二人でハンカチできれいに拭き取っていたら……。
ものすごい足音を立てて、鬼塚が教室に戻ってきた。
「水巻っ! お前をいじめていた犯人を連れて来たぞ!」
「えぇ!?」
早すぎだろ……どうやって鬼塚は犯人を見つけたんだ?
しかし、その犯人とは一体誰のことなんだ。教室に現れたのは鬼塚だけだ。
「おいっ! 早く教室に入れ! ちゃんと水巻に謝るんだ!」
そう言って、教室の扉からひとりの少女の腕を引っ張る鬼塚。
「痛いっ! 私じゃないってば、鬼塚くん!」
「嘘をつくな! 俺は見ていたんだ。さっき下駄箱で、お前が水巻の靴にネズミの死がいを入れていたところを……」
鬼塚が連れて来た犯人とは、俺の初恋の人。鞍手 あゆみだった。
相変わらず、前髪は全て後ろで括ったオールバックのポニーテールが似合う女の子。
前世では大きな瞳がすごく可愛いと思っていたが、こちらの世界ではその瞳が逆に怖く感じる。
鋭い目つきでこちらを睨んでいる。
あの腐女子の優子ちゃんですら、後ずさりしてしまうほどの眼光。
久しぶりに鞍手 あゆみと出会ったことで、優子ちゃんは萎縮してしまい「ごめん、もう帰る」と逃げ去ってしまう。
「鞍手、お前さ。昔はそんなんじゃ無かっただろ? 翔平の面倒も見てくれてたし、優しかったじゃないか?」
「そ、それは……なにかも、あの女が無茶苦茶にしたからよ! だから……だから、私は鬼塚くんに目を覚まして欲しくて」
「ふざんけんなよっ! 水巻が何をしたっていうんだ! 俺にとって水巻はバスケよりも大きな存在なんだよ。小さい時から一緒に育ったお前でも許さないぞ!」
と放っておいたら、鬼塚が勝手にヒートアップしてしまい、なんとあゆみちゃんの胸ぐらを掴んでいた。
かなり興奮しているようだ。
俺は急いで止めに入り、あゆみちゃんの手を掴んで教室から離れることにした。
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