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第十章 タイガの剣
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気がつくと、私はピエロの前に立っていた。
「そ、そんな……あの人は私を見捨てるというのか!」
私を見て、ピエロが叫ぶ。
手には夢でおじさんがくれた短剣が握られていた。
「ピエロさん……あなた、嫌い」
「な、何をおっしゃるのですか……お嬢様……」
「私、お嬢様なんかじゃない……。倉石 真帆だもん!」
短剣を強く握る。剣先をピエロに向けた。
「あんたなんか、大っ嫌い!」
ピエロはおびえて、私に背を向けると、空に飛び上がった。
私と少し、距離をおくと振り返る。
「わ、私に立ち向かうとは、愚かな! いいでしょう。殺して差し上げます!」
ピエロが拳をにぎって、私に向けた。
拳を開くと、手のひらから、無数の光線が放たれた。
私は思わず「えいっ!」と言って、剣を振った。
振ったと言っても、何も考えずに空間を斬っただけだ。攻撃というには程遠い。
だけど、私が剣を振ると、呼応したように剣が赤く光り、剣の先から灼熱の炎が放たれた。
炎は光線を掻き消し、勢いを緩めずにピエロを襲った。
「ぐわあああああ! そ、そんなバカなことがあってたまるか! 私は……私は、百八魔頭の一人だ! こんなところでぇ!」
私がもう一度、剣を振ると、今度は剣が黒く光り、剣から無数の獣が飛び出て、空へ駆け上っていった。
その獣達の姿は皆、皮膚がただれていたり、骨が体から突き出ていたり、首がなかったり……と、五体満足ではない。
まるで、地獄から送られてきたようだ。
獣達は一斉に、ピエロへ飛び掛った。
逃げる事も出来ず、獣達が彼の肉体を貪る。
ピエロは恐怖と痛みから、半狂乱の状態に陥っていた。
息も絶え絶えに呟く。
「こ、これは……タイガの剣」
やがて一匹の獣が空に向かって、咆哮をあげる。
すると、何も無かった空間に黒い切れ目が生じ、徐々に開いて楕円の穴ができた。
その穴は底無しの闇で、中からは黒い腕が何本も蠢いてた。
獣達は引き千切られたピエロの体を引っ張って、穴の中に入っていく。
「い、嫌だ! 嫌だぁ!」
ピエロは心底、恐怖を味わっているようで、残った身体をじたばたとさせて、抵抗し続けている。
だが、獣達は容赦なく、彼を闇の穴へと引き連れていった。
そして、穴が塞がれると、私の手に握られていた短剣が灰となって、風に流された。
気がつけば、氷塊の雨は止んでいた。
ハークは、未だに気を失ってはいたが、息はある。
「よ、よかった……」
私は、地面にへなへなと腰を下ろした。
ふと、北の空を見た。。
「あれって……」
そこには、大きな古城が宙に浮んでいた。
「そ、そんな……あの人は私を見捨てるというのか!」
私を見て、ピエロが叫ぶ。
手には夢でおじさんがくれた短剣が握られていた。
「ピエロさん……あなた、嫌い」
「な、何をおっしゃるのですか……お嬢様……」
「私、お嬢様なんかじゃない……。倉石 真帆だもん!」
短剣を強く握る。剣先をピエロに向けた。
「あんたなんか、大っ嫌い!」
ピエロはおびえて、私に背を向けると、空に飛び上がった。
私と少し、距離をおくと振り返る。
「わ、私に立ち向かうとは、愚かな! いいでしょう。殺して差し上げます!」
ピエロが拳をにぎって、私に向けた。
拳を開くと、手のひらから、無数の光線が放たれた。
私は思わず「えいっ!」と言って、剣を振った。
振ったと言っても、何も考えずに空間を斬っただけだ。攻撃というには程遠い。
だけど、私が剣を振ると、呼応したように剣が赤く光り、剣の先から灼熱の炎が放たれた。
炎は光線を掻き消し、勢いを緩めずにピエロを襲った。
「ぐわあああああ! そ、そんなバカなことがあってたまるか! 私は……私は、百八魔頭の一人だ! こんなところでぇ!」
私がもう一度、剣を振ると、今度は剣が黒く光り、剣から無数の獣が飛び出て、空へ駆け上っていった。
その獣達の姿は皆、皮膚がただれていたり、骨が体から突き出ていたり、首がなかったり……と、五体満足ではない。
まるで、地獄から送られてきたようだ。
獣達は一斉に、ピエロへ飛び掛った。
逃げる事も出来ず、獣達が彼の肉体を貪る。
ピエロは恐怖と痛みから、半狂乱の状態に陥っていた。
息も絶え絶えに呟く。
「こ、これは……タイガの剣」
やがて一匹の獣が空に向かって、咆哮をあげる。
すると、何も無かった空間に黒い切れ目が生じ、徐々に開いて楕円の穴ができた。
その穴は底無しの闇で、中からは黒い腕が何本も蠢いてた。
獣達は引き千切られたピエロの体を引っ張って、穴の中に入っていく。
「い、嫌だ! 嫌だぁ!」
ピエロは心底、恐怖を味わっているようで、残った身体をじたばたとさせて、抵抗し続けている。
だが、獣達は容赦なく、彼を闇の穴へと引き連れていった。
そして、穴が塞がれると、私の手に握られていた短剣が灰となって、風に流された。
気がつけば、氷塊の雨は止んでいた。
ハークは、未だに気を失ってはいたが、息はある。
「よ、よかった……」
私は、地面にへなへなと腰を下ろした。
ふと、北の空を見た。。
「あれって……」
そこには、大きな古城が宙に浮んでいた。
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