おじさんとショタと、たまに女装

味噌村 幸太郎

文字の大きさ
23 / 52
第五章 二股疑惑

人違い

しおりを挟む

 初めて挑戦したロリマンガの原作だが、編集の高砂さんから大絶賛してもらえた。
 ただヒロインについて、あらぬ疑いをかけられてしまったが。
 実際に存在している女子中学生を、モデルにしているのではないか? と。

 まあ男子中学生の少年。航太をモデルにしているから、問題はないだろう。
 別に彼といやらしい行為を、したわけでも無い。
 少しアイデアに協力してもらったが、あとは俺の妄想を膨らませただけ……。
 
  ※
 
 無事に原稿料を支払って貰えたということで、さっそくコンビニへ買い物に出る。
 半纏はんてんを羽織って、サイズの合っていないジーンズを履く。
 一応、靴下を履いてはいるのだが、くるぶしが出てしまう。

 別におしゃれで出しているわじゃない。
 これ一本しか、ジーンズを持っていないからだ。
 学生時代、元カノの未来に誕生日プレゼントとして貰ってから、ずっと履いている。
 
 貰ったのが、20歳になる年だったのだが……。
 一年で身長が7センチも伸びたため、ロールアップしたような状態になっている。
 貧乏な俺からすると、嬉しくない成長だ。

 いつものように、コンビニで芋焼酎とウイスキー瓶をカゴに入れ、つまみを選ぶ。
 今日は寒いからおでんにしようか……と、カウンターを眺めているとあるものに目が移る。
 肉まんだ。
 航太のやつ、こんな寒い日でもまたアパートの冷たい廊下に座っているんだろうか。
 また買っていくか。
 正直、アプリくじの当たりという嘘が、いつかバレそうで怖いが。

  ※

 パンパンに膨れた白いビニール袋を持って、自宅のアパートへ向けて歩き始める。
 今日はどんな格好をして、彼は座っているのだろうか?
 また女物のトレーナーワンピースでも着ているのかな。
 
 この前、航太が家に泊った時。気になった俺は彼に質問をした。
「なんで女物しか着ないのか?」と。
 すると彼は、当たり前のように答えた。
「だって、母ちゃんのお下がりだもん。細いのを着たがるけど、胸がきついらしいよ?」

 何とも、母親想いの彼らしい答えだ。
 綾さんが着られないからと言って、息子が着るものなのか?
 航太に渡す、綾さんの神経も疑う。

 と考えていると、アパートが見えてきた。
 俺の考えていた通り、二階の廊下に一つの影が目に入る。
 体操座りをして俯いている。

 俺は急いで錆びた階段を駆け上がる。
 早く彼に、肉まんを渡したいからだ。

「おい、航太。またこんなところで暇つぶしか?」

 と彼の小さな肩を掴もうとした瞬間。
 ある違和感に気がつく。
 それは背中だ。航太にしては、広い。
 
 ファッションも全然違う。
 紺色の大きな襟……どこかで見たことあるような。
 そうだ。この前、航太が着たセーラー服に似ている。
 
「あ、翔ちゃん! おかえり!」

 こちらへ振り向いたのは、男子中学生ではなく。
 航太より年上の女子高生だ。
 俺はその顔を見て、ため息をつく。

「はぁ、なんだ……あおいか」
「なにその反応!? 酷くない?」

 黒崎くろさき あおい
 年の離れた、俺の妹だ。

  ※

 玄関に入ると、部屋の灯りをつける。
 キッチンの上にビニール袋を置いて、サンダルを脱ぎ捨てる。

「ほら、お前もさっさと入れよ」

 と後ろを振り返ると、妹の葵が玄関に座り込む。
 何をしているかと思ったら、俺のサンダルを綺麗に並べていた。

「もう、翔くんって本当にだらしない。だから未来さんに振られたんじゃないの?」
「いや……あいつは、関係ないだろ」
「関係あるよ! キッチンだって……あれ? 綺麗だね」

 葵に指摘されるまで、気がつかなかった。
 今までとの違いに。
 航太が隣りに引っ越して来てから、よく洗い物や掃除をしてくれる。
 だから年中、ゴミだらけの汚部屋が、別人が住んでいるように綺麗さっぱりだ。
 
「その……たまに友達が片づけてくれるんだ」
「友達? そんな男の人なんている~?」

 どこか意地の悪い顔をして、玄関にあがる葵。
 そして、キッチンにある鍋や調理器具を眺める。

「本当だって。すごく優しい子でさ、この前なんか、おでんを作ってくれてさ」
「ふ~ん」

 俺の話など無視して、航太が買い直したフライパンを手に持つ。
 メーカーのロゴなどを確認すると、振り返って微笑む葵。

「翔くん、隠さなくても良いよ。未来さんとよりを戻したんでしょ?」
「は……?」
「料理だけじゃない。隅々まで部屋が綺麗に整理されているし。見ればわかるんだよねぇ」
「なにがだ?」
「女の匂いってやつ!」

 そう言って、ビシっと人差し指を俺の胸元へ指す。
 
 航太は間違いなく、男の子なのに。
 女として見られているようだ……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

処理中です...