おじさんとショタと、たまに女装

味噌村 幸太郎

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第八章 正直になろう

見た目だけは親子

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 俺が初めて作ったおかゆを、全て平らげた航太。
 味の方は知らないが、「おっさんにしては上出来だよ」と笑っていた。
 しかし、熱が引いたとは言え、まだ安静にしていなければ……。
 そう思った俺は、彼をベッドへ戻るよう促す。

 航太は「茶碗を洗いたい」と言っていたが、そこは厳しく注意した。

 ~それから、数時間後~

 俺は不器用なりにも茶碗を洗ったり、後片付けをしていた。
 しばらく、航太はベッドの中からこちらを眺めていたけど。
 やはりまだ状態が良くないようで、今はすぅすぅと寝息を立てている。

 明日もまだ彼が治っていなかったら、何か持って来ようかな?
 そんなことを考えていると、いきなり玄関のチャイムが鳴った。
 他人の俺が出ていいか、迷ったがとりあえず、応対してみる。

「は~い? どちらさまですか?」
『ぷへぇ~ 綾しゃんでぇ~す!』

 誰かと思ったら、母親の綾さんか。
 声からして、すっかり出来上がっているな。
 酔っ払いの相手は面倒くさい。

 ドアを開くと、酒くさいお水系のお姉さんが立っていた。
 身体をふらふらと揺らせて、落ち着きがない。

「あ~! 黒崎さんだぁ~!」
「綾さん……酔っぱらってます?」

 あんまり関わりたくない。
 航太の面倒は見たし、母親が帰ってきたんだ。
 俺も帰らせてもらおうかな?

「ただいま、なのれす……」

 そう言って、玄関に座り込む綾さん。
 コートを羽織っているが、中はVネックのミニワンピースだ。
 自然と胸の谷間が露わになってしまう。

「ご、ごほんっ!」
 
 わざと咳払いして見せる。
 今夜は息子以外の男がいますよ、と言いたいからだ。

「うえ? あ、黒崎さん。ごめんなさいねぇ~ 航太の面倒を見てくれて……」

 ようやく酔いがさめて来たか。

「いえ、良いんですよ。俺も航太くんには、日頃からお世話になってるし」
「そうですか……。でも、なにもお礼をしないのは、心苦しいです」

 と座り込んだまま、上目遣いで訴えかける。
 こういうところは母親譲りなのか?

「気にされないでください、お互い様ってことで」

 そう言って玄関に置いていた、自身のサンダルに足を通した瞬間だった。
 綾さんが俺の足をギュッと掴む。
 思わず「ヒッ!」と悲鳴を上げてしまった。

「待ってください! 今度、航太が良くなったらお食事に行きましょ?」
「え……食事?」

 まさか、綾さんと二人きりで居酒屋にでも行くのかな? と思ったら……。

「はい。航太と3人でランチに行きましょうよ」
「ああ……ランチですね」

 それを聞いて、なぜかホッとした。

  ※

 翌日の朝、自宅のチャイムが鳴り、扉を開けると……。綾さんが立っていた。
 解熱剤が効いたようで、航太の状態は一晩で良くなったらしく。
 
「約束どおり、来週みんなでランチを食べにいきましょう」

 とお誘いを頂いた。

 正直、母親の綾さんと一緒だから、航太とのんびりできないのは淋しいけど。
 他人の俺と未成年の航太が、外を歩くにはハードルが高い。
 しかし、家族が一緒なら安心だ。

「俺はいいんですが……あいつは、航太くんはどうなんですか?」
「え? 航太なら喜んでましたよ。黒崎さんとご飯を食べられるからって」
「そうですか……」

 意外だ。思春期だから、母親と一緒にご飯を食べるなんて、嫌がるかと思っていた。
 それに俺と航太のコスプレは……秘密だから。
 なんとなく、後ろめたいような気が。

「じゃあ、今度の日曜日。お昼に近くの喫茶店でランチしましょう」
「え……喫茶店って、もしかして?」
「あ、知ってます? 私のお店のお客さんに教えてもらってぇ。”ライム”って言うんです。ドリアが美味しいらしいですよ~」
「ははは……有名な店ですからね」

 まさかとは思ったが、あの喫茶店か。
 マスターが変なことを言わないと良いけれど。

  ※

 航太の状態が良くなったと聞いた俺は、一安心したようで。
 肩の荷が降りて、ずいぶんと軽くなった気分だ。

 編集部の高砂たかさごさんに頼まれていた、エロ漫画の原作。
 執筆活動も順調に進められている。
 普段は一話分の原作を編集部へ送るのだが……。
 
 ここ最近、起きた航太との思い出が刺激的で。
 忘れないうちに原稿へ書くことにした。
 そしたらコミックス一冊分ぐらい、書き上げてしまった。

 ボツになっても良いからと、ダメもとで送ったら。
 しばらくして、高砂さんから電話がかかってきた。

「いきなり、こんなにたくさんの原稿を送って来ないで下さい!」
 
 と注意されるかと思ったら。

『もしもし!? SYO先生ですか?』
「あ、はい。そうですけど……」
『なんですか、あの原稿は!』
「すみません……今回、書きすぎですよね?」

 そう言うと、高砂さんは受話器の向こう側で息を大きく吸い込む。

『エロすぎなんですよっ! もう私が送ったコスプレとか要らないでしょ!?』
「え?」
『高熱だからって。勝手に家へあがりこみ、座薬を入れてからの主人公が”ビルドイン”! 最高の展開でしょ!』
「……」

 どうやら、満足してもらえたようだ。
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