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第三章『真白襲来!?』
Act.06:真白襲来!②
しおりを挟む「そう言えばお兄は魔法少女になってるけど、魔法省に所属してるの?」
「いや、流石にしてないぞ。本体がこれだぞ? やばいだろ」
「ふふ、それもそっか。でも、それだと何の支援もなく戦ってるって事だよね? 心配だなー」
「大丈夫だって」
真白が家に帰ってきた日の夜。俺は元の姿で真白と話していた。
相変わらず、綺麗な髪をしているしシスコンって言われても良いから素直に可愛いと思う。絵も講師には結構褒められているようで、やっぱり凄いなと思う。
「真白はいつまで居るんだ?」
「うーん。冬休みが大体2週間程度だから、1月かな? ふふ! お兄とクリスマスとか、元旦とか過ごせそうだよ」
「そうか。そんな嬉しいか? こんな俺だぜ? 今じゃニートだしな」
「どんな感じであれ、お兄はお兄!」
嬉しいことを言ってくれるじゃないか、妹のくせに生意気だ。
「く、くすぐったいよお兄!?」
真白の頭をもみくちゃにしてやる。凄いサラサラで、どんだけ手入れしてるのかが分かるな。俺は男だから、良く分からないんだけどな。
「っと悪い悪い」
「もう子供じゃないんだから……嫌って訳でもないけどね」
「(シスコン極めてるわね)」
ラビめ……いや、シスコンなのは認めよう。でも良かった。真白も真白で元気にやってそうで安心した。CONNECTで連絡は取ってるから、元気なのは間違いなんだがな。
それはあくまで、CONNECTのチャットで見た感じだから実際会うまではやっぱり、わからないよな。無理して元気を装ってる可能性だってあるわけだし。
「お兄こそ、魔法少女してて大丈夫? 何かあったりしてない?」
「おう、そこは大丈夫だ」
「それなら良いんだけどね」
ニートで無支援状態の魔法少女をしているから、まあ心配されるのはご尤もなんだけどな。とは言え、俺にはラビっていう心強い味方も居る訳だし、大丈夫だ。
ただ、あの襲撃していた男についてはちょっとやらかしたが。魔石持ってて良かったわ、本当に。
「クリスマスさ、一緒に出掛けない?」
「何処に?」
「うーん、特に行きたい所はないんだけどね……家で過ごすのも良いけど、やっぱりお兄と出掛けたいし」
「ふむ。ならドライブでも行くか?」
まあ、確かにクリスマスの日に家に籠もってるのはあれだな。いや、ニートだから家に籠もるも何も無いのだが。
「え? 本当? うん、行く!」
「まあ、そこまで遠くにはいけないが高速使えばそれなり遠出できるだろうしな」
「わーい! お兄大好き!」
「いきなり抱きつくなって。お前もう大人だろ」
「そんなの関係ないもん」
もんって何だ。
真白は確か身長は156くらいだったよな? それが本当かどうかは別として、平均に近いのかな。妹とは言え、抱きつかれるのは流石に恥ずかしいと言うか……。
身長差としては大体10cmくらい俺のほうが上である。ただ、リュネール・エトワールになると逆転する。容姿も似てるので、周りから見れば妹と見られても可笑しくないな。
さっきは、着せ替え人形みたいにされて疲れたぜ……正確には着せ替えられてると言うか、魔力で服を変えてるのは俺なので、やらされていると言えば良いかな。
「……」
「どうした、真白? いきなり大人しくなったけど」
そんな事考えていると、真白が俺の方をじっと見てくる。
魔法少女という事はバレたのだが、ラビについてはバレてない。バレても別に大丈夫だけどな……どうせ、魔法少女ってバレてるんだし今更だよ。
「ねえ、お兄」
「ん?」
「お兄はさ、魔法少女になってるよね? 今更だけど身体とか性別変わってて違和感とか無いの?」
違和感、か。
確かに最初はバリバリあったのだが、今じゃすっかり慣れてしまってる。口調も板についていると思う。ちょっぴりくらいしか無いな。
「んー、最初はあったけど、大分慣れたな」
「そっか」
「どうしたんだ?」
「ううん。性別変わるって普通考えられないからさ……二つの性別を持ってて、そのうちどっちが本当か分からなくなっちゃうんじゃないかなって思ったら、ちょっとお兄が心配で」
「なるほどな」
現実では考えられないような現象だよなー魔法少女。そもそも、何で男である俺がなれたのかって話になるんだが。真白の心配は分かる。
本来とは違う性別になってるし、創作とかでは良くそっちの身体に心とかが徐々に変わっていくとか、あるよな。それを考えると、俺ももしかすると……。
いや、考えるのはやめよう。
「ま、大丈夫だろ。こうやって普通で居られてるしな」
「うん。それなら良いんだけどね。もし……もし仮にお兄がそうなったりしても私は味方でいるからね」
「考えすぎだろー……でも、そう言ってくれると嬉しいな」
「ふふ。私にとってお兄は欠かせない人だからね! もしお兄まで居なくなったら私は……」
真白の頭に手を乗せる。
「ふえ?」
「大丈夫だ。俺は居なくならない……絶対だ。お前を残して消えたりしないよ」
不安そうにする真白を優しく撫でる。
大切な家族だ。残して行くなんてできる訳がない。寿命で死ぬその時まで……絶対一人にはしない。あれ、何かこれ恥ずかしいな?
「うん。お兄ありがとう。やっぱり優しい」
「そうか?」
「うん」
そう言って笑顔になる真白。
安心させられたなら良かった。
仮に、仮にだが俺が真白の言う通りとなってしまったとしても、守ると誓おう。魔物と戦える力は誰かを助ける為にあるんだからな。
偽善者と言えるかもしれないが、俺は俺の目の届く範囲では誰も傷つけさせるつもりはない。それはホワイトリリーやブルーサファイア、他の魔法少女もそうだ。
他地域は無理でも、せめてこの地域だけは守りたいなと思ってる。とは言え、俺一人じゃ限界っていうのがあるけどな。魔物も結構増えてるし。
今は前にも言った通り、停滞状態。ゼロではないけど頻度は落ち着いている方ではある。それに出現する魔物もA以下がほとんどだしな、この前はAAが出てビビったけど、問題なく対応できてたっぽいし。
そう言えば魔法省といえば、この前リュネール・エトワールの姿で茜と遭遇してしまった。何の偶然だよ、と突っ込みたくなった。
まあそれで、茜に呼び止められて少し話をした感じだ。あの時は偶々、見回りルートだった訳で……人目がなかったので姿を消す魔法を一旦止めていたんだよな。
ハイドは姿を消せるけど、その状態だと魔力が常に減るからすっとは発動させられないんだよね。俺の魔力は膨大だが、それでも使えば減るんだから。
話したと言っても、感謝されただけだが。
ホワイトリリーもブルーサファイアも言ってたな……お礼を言いたい人が魔法少女以外に居るって。多分、これが茜なのだろう。
お礼は受け取ったけど、最後に魔法省に勧誘はされた。でも、当然所属は出来ないので断った。
「守られるだけ、は嫌だけどね」
「なにか言ったか?」
「ううん。何でも無い! お兄、クリスマスドライブ忘れないでね!」
「おう」
「そういう訳で、お兄、もう一回ハーフモード? とやらになってよ」
「なんでやねん!」
さっきまでの真面目な感じは何処行ったし。
「久しぶりに一緒に寝たいなって思って」
「……本気か?」
「うん。お兄のままでも良いけど、あの姿のお兄は抱き心地も良さそうだし!」
「おい……」
「お願い、今日だけで良いから!」
はあ……あのな、真白よ……俺は男だぞ? 男と寝るってやばいだろう。いくら兄であっても……子供の時は確かに良く寝てたけど今はどっちも成人済みで大人だ。問題しか無いだろ……。
「俺、男だぞ?」
「うん知ってるけど、どうせ兄妹なんだし大丈夫でしょ」
「……」
と言うか、あの状態で寝たら変身解除されたりしないか? そう言えば、魔法少女の状態で寝るとどうなるんだろうか。全然気にしてなかったし、わざわざその姿で寝るっていう選択肢はなかったな。
さて、どうするか。ラビに聞けるかな?
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