126 / 137
最終章『妖精世界』
Act.40:蒼からのメッセージ
しおりを挟む「ん? CONNECTに通知が来てる」
妖精世界で精霊王と会い、森の再生を目撃しこれからの事を考えていたが、現状、やれるだけやると言う事だけしか言えないで一度解散と言う事になった。時間も時間だったしね。
何かティターニアがこっちの世界に来たがっていたけど、今はやめてくれと言う事で抑えたけど、多分諦めてないよあれ。
地球にも魔力があるから恐らく、精霊もティターニアも普通に来れるだろうけど。
そんな訳で自宅に居るのだが、CONNECTに通知が来ていた。魔法少女の状態だと、このデバイスはステッキなのが基本なので、通知とかが来ても分からない。スマホ型になれるけど、わざわざそれにする必要はないし……魔法少女の状態の時は。
「相手は……蒼?」
送信者を見てみると、蒼である事が分かる。丁度今から一時間くらい前のようだ。
『いきなりすみません。今度の土曜日に二人で会えないですか?』
ただその一文だけのメッセージが残されていた。土曜日か……直前で何もなければ、問題はないが……何故二人?
「……」
そこで思い浮かぶのが、この前の雪菜の告白。
わたしは答えられずに居たが、雪菜は待ってると言ってた。だから、わたしは答えなければならないのに。
いや、雪菜の告白の返事も大事だが、今考えるのはこの蒼の呼び出しと言うか、会えないかと言うメッセージだ。
色川蒼……魔法少女ブルーサファイアの正体であり、ホワイトリリー同様魔法省茨城地域支部に所属する政府機関の魔法少女。
そしてわたしに対して好意を持っているであろうもう一人。何か、あの大晦日の時からかは分からないけど、何かとは言えないけど変わっていると言うか、最初よりも違う印象になりつつある二人。
主にホワイトリリーは本当に変わっていた。何か前よりもアグレッシブ? と言えば良いのか……積極的になっている。
そして件の告白。
「……」
妖精世界の事ばかりでは駄目だな。こちらに向き合わねば……でも、わたしは一体どうしたいのだろうか?
おっと、話が逸れてしまった。今の本題は蒼からのメッセージである。あえて二人で、と書いている所を見ると、まあそのままなんだろうね。
『土曜日は大丈夫だと思う。時間は?』
蒼のメッセージにわたしはそう返信する。
特に特別な予定はないし、急用的な何かがなければ問題ない。わたしが返信して3分くらい経過した所で、メッセージに既読が付く。
ふと思う。
そう言えば、雪菜とは告白もされたし、話したりしたけど蒼とはあまり会話出来てないな。この前の、香菜も行った集まりで少し話した程度だ。
あーでも、それ言うと雪菜ともあまり話してないのか。告白の時くらいしか。
最近は、香菜とラビ、ララとしかあまり交流してないなと思う。目的が目的なので、仕方がないんだけど魔法省の魔法少女とも少しは仲良くしたい所。
特に、わたしに深く関わりのある雪菜と蒼とは。
別に魔法省の魔法少女たちを蔑ろにしている訳ではなく、ぶっちゃけ交流があるのがホワイトリリーとブルーサファイアばかりだから、他の子が薄いと言うか……。
でも、嫌いと言う訳ではない。そこまでの交流はないけど、出会う事自体は、魔物を倒した後や向かう途中とかにちょくちょくあったから、雰囲気程度は何となく分かる程度。
雰囲気もその時その時で変わるようなものだし、精度は期待できないかな。
もちろん、全員と会った訳ではないが……ホワイトリリーとブルーサファイアを除いて28人……わたしが会った事あるのは20人くらいだろうか?
「ん」
正確な数は分からない。
以前は以前で、問題が別にあったからそれもそれで仕方がなかった。わたしは極力、他の魔法少女と会うのを避けていたから。
「蒼と話せる良い機会かもしれない」
まあ、蒼がなんで二人で会わないかと言ってきたのは分からないけど、取り合えず彼女と話せる機会が出来るのは良いと思う。
『良かったです。14時頃はどうですか? もちろん、そちらの都合が良ければ、ですが』
14時頃か……別に午前中とかでも良いのだが、やっぱり皆午前中は忙しいのかもしれないなあ。予定はないので大丈夫と返しておく。
『ありがとうございます。また土曜日に』
『うん』
それだけ送り、既読が付いたのを確認した後、CONNECTのアプリを閉じる。すると当たり前だが、ホーム画面に戻る。
「今度はブルーサファイアもとい、蒼からですか」
「ん。何だろう?」
「それは実際会わないと分からないですけど。二人でって書いてある所が気になりますね」
「やっぱり?」
「メッセージ自体は別に可笑しくないですけどね」
「だね」
気にした所で、どうしようもないので考えるのはやめておこうと思う。何かわたしに用事がある、だからこうやって誘ってきたと言うか、聞いてきたと言う事だ。
「それで、これからどうしましょうか」
「ん。妖精世界の再生っていうのはやっぱり長い道のりだね」
「そうですね。まさか精霊王が出て来るとは思いませんでしたが……」
「ん。でも精霊王が仲間? になってくれたからかなり前進したと思う」
彼女……ティターニアは精霊王であるからその力は絶大。あの森をあっさりと再生させてしまった光景を見ればそれはもう明白。
「それはそうですが、気が気でありませんよ……」
「そう? 結構、話しやすかったけど」
「確かに話しやすい雰囲気ですけど、やっぱりティタ様からはかなりの力を感じます。どうしてもそれに気圧されてしまいますよ……」
ラビの言う通り、ティターニアからはとてつもない力を持っているのは確かだけど正直、そこまで気圧されるような感じはしてない。ティターニアが力を抑えている可能性もあるけど。
うーん、時々見せる子供っぽさが、打ち消してしまっているのかな。
身長とかはあの時も言ったように、ブラックリリーよりほんの少しだけ高いくらい。ブラックリリーの方がわたしよりも微妙に身長があるので、ティターニアはわたしよりも高いって事になるけど。
透き通るような水色の髪に、緑色のオーラのようなものがかかっている感じ。髪の長さは腰に届きそうなくらいだったかな。
そして何より、一番気になったと言うか目立つのが金色と緑のオッドアイ。まず地球では見ないような色の組み合わせである。
いやもしかすると、地球にも居るのかもしれないがわたしは見た事がない、それだけである。
喋り方は何処か大人っぽさがあるのだが、時々子供っぽくもなる。
「ラビ。結界って地球でも使えるのかな?」
「どうでしょうね……ですが、結界の使い方が分かればもしかすると使えるかもしれませんね。生憎、私は知らないですが……」
「そっか。ティターニアに直接聞くしかないか。あれでも、妖精書庫には?」
「うーん、どうでしょうか。私が読んだ限りでは結界と言う名前の魔法はありません。まだ全部を読んだわけではありませんが」
「結界は魔法じゃないって事?」
でも魔力を使って張っていたよね。
あー……そうは言っても、魔力ってまだ100%解析されている訳ではないし、それに魔力を消費するのは魔法のみとは限らないか。
精霊なら精霊だけが使える何かとかがあるかもしれないし。
「分かりませんね……やはり直接ティタ様に聞く以外はないかもしれませんね」
そっかー……。
もし結界が使えれば、地球も魔物が出現しても少しは安全になるのではないか? と思ったんだけど。あ、でも地球の魔物は突発的に出現するのは変わらないけど、倒す存在が居るから留まる事はあまりない。
結界を張って、その結界内に魔物が出現した場合はどうなるんだろうか?
そもそも結界って何なのだろうか? ティターニアが言うには魔物を退けるものらしいが、妖精世界に魔物は居なかったはずなので、魔物に対する魔法があるとは思えないんだけど。
精霊だけが使える特殊な力とかなのかな。
……うん、考えても分かるはずもないので、今度ティターニアに聞いてみる事にしよう。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します
あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。
異世界パルメディアは、大魔法文明時代。
だが、その時代は崩壊寸前だった。
なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。
マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。
追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。
ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。
世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。
無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。
化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。
そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。
当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。
ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる
家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。
召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。
多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。
しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。
何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる