TS魔法少女リュネール・エトワール! ~星月の魔法少女は気の赴くままに行動する~

月夜るな

文字の大きさ
136 / 137
最終章『妖精世界』

Act.50:エピローグ②

しおりを挟む
『まえがき』
毎度おなじみ、データとの同時投稿のためご注意下さい。
『まえがきおわり』


 まだまだ油断は出来ないものの、妖精世界の再生が順調になっている中、わたしは妖精世界に居る魔物と対面していた。再生範囲を広めていくと、当然他の場所に居た魔物にも遭遇し始める訳だ。

「ん。やっぱり小さい」

 近くで見ても、やはり地球の魔物と比べて小さいのがほとんどな妖精世界。もちろん、個体差もあるがそれでも今まで遭遇した魔物からして、平均的にその体は小さい。
 そして何より、地球の魔物と比べてもそこまで強くない事。わたしたちとしては、それは好都合と言うか良い事なのだが……。そうは言っても、まだ全部を見た訳ではないのもまた事実。

 そもそも、まだ再生している範囲がそこまで広くないし。
 なので、妖精世界にも強力な生物がいる可能性は否定できない訳で……たまたまわたしたちが遭遇している魔物が弱くて小さいってだけで世界全体で見たら、大きい魔物や小さくても強い魔物とかが居ても可笑しくない。

「スターシュート」

 魔法のキーワードを紡ぐと、ステッキから星が放たれる。それは真っ直ぐわたしを狙って走ってくる魔物に直撃する。避けようというような動作は確認できたけど、無理だったみたいだ。
 星のエフェクトを出して爆発し、魔物は消滅する。魔物が居た場所には、やや小さめで少々鈍色な魔石が一つだけ転がっていた。

「品質は地球ほどは良くないかな?」

 既に何回か、妖精世界の魔物は倒しているので分かっていたが、やはりと言うか何というか、どの魔物も倒してもそこまで品質が良くない魔石ばかり落とす。
 妖精世界の魔物は、ララの言う通り魔力がないから弱いし、その蓄える魔力もないから倒したとしても、品質の低い魔石を落とすのかもしれないな。

 まあ、これについては謎のままではあるけどララがそう言う風に考えているみたい。あくまで、ララが考えているだけで、それが事実かは不明である。
 何度も言う通り、魔物は謎が多いから仕方がない。そしてこっちの魔物については、地球ではないっていうのもあるから地球でのデータとかが参考にならない場合もある。

「まだまだやるべき事はある」

 妖精世界の真っ黒な空を見上げる。
 再生した場所はちゃんと日が照っていて、とても穏やかな気分になるけどこっちはどんよりする。そしてやっぱり、この外側に居る時は身体が少々重く感じる。
 別に動きに支障が出るレベルではないけどそれでも、違和感が結構するのもある。思わぬ事故に繋がる可能性もあるかもしれない。いくら妖精世界の魔物が弱いと言っても油断は出来ない。

「……戻ろ」

 この辺りの魔物は倒したので、一旦拠点としている精霊の森に戻る。
 一応、帰る前に回りを少しだけ見て、特に魔物も居ないし異常もない事を確認した後、精霊の森の方面へと歩き出す。魔法少女の状態なので、あっさりと辿り着くけどね。

「あ、戻ってきたようですね」
「ティターニア」
「いつもありがとうございます」
「ん。わたしとしてはティターニアに頭が上がらない」

 精霊の森に戻れば、ティターニアが出迎えてくれる。
 今日この世界にいるのは、わたしとラビとブラックリリーにララだけど、各自それぞれ別行動をしている。ララは主に周辺の調査等をしていて、ブラックリリーはそんなララと行動している。

 ラビはと言うと、この今の出来事を記録者として記録するって言ってたかな。

「いえいえ、これくらいどうってことないですよ」

 本当にティターニアが居なかったらこんな順調に行く事はなかったと思う。
 再生の魔法は良く分からないけど、取り敢えず普通ではないっていうのは誰も理解しているだろう。このまま行ければ、いつかきっと、この妖精世界も息を吹き返すだろう。

 どれくらい先になるかは想像がつかないけれど……それでも希望は見えている。ラビたちの故郷が元に戻る……ただ世界は確かに戻るかもしれないが、妖精世界は一度滅んでいる。そして生存者も今の所、確認できてない。
 だから復活したとしても、妖精世界には誰も居ない……ティターニアたち精霊は居るけれどラビたちのような妖精は居ない。そこだけがやっぱり、一番残念な所かもしれない。

 ……。
 本当に妖精の生き残りは居ないのだろうか? まだ探索できている範囲がそこまで広くないし、もしかしたら何処かで生き延びているかもしれない。他にもラビやララのように歪みに飲み込まれて別の世界に居る可能性もある。

 その別の世界というのが地球とは限らないが……。

 妖精世界や魔物の世界と言った、別の世界が実際存在しているのだ。他の世界があったとしても、何ら可笑しくない。地球ではない世界だと、結局はそんな世界に行ける方法など分からないから結局はどうしようもない。

「ティターニアは、この妖精世界や地球以外にも世界があるって思う?」
「また唐突ですね。この妖精世界と地球と、それからあなた方から聞いた魔物の世界の事しか知りませんが、可能性はあるでしょうね」
「ん」
「実際この世界と地球という世界がこうやって繋がっているのですから。魔物の世界については、行った事もないので何とも言えませんけどね」
「まあね。魔物の世界っていうのは聞いただけだから。でも行ける方法とかあるのかな?」
「あるかもしれませんね……」

 仮に魔物の世界に行けたとしてもどうするのかって話だけど。
 その世界にいる魔物を全て倒すとか? そうすれば確かに地球と妖精世界に魔物が来る事はなくなるかもしれないが、そもそも魔物の世界の環境が分からないし、行けたとしてもますはそこからだよねえ。

「好き好んでいく気はないけど」
「それが一番です。と言っても、確かに魔物の世界で魔物さえ倒せれば、平和になるかもしれませんね」
「そうだけどね。まあ行けても向こうの環境は分からないから」
「あーそれもどうですね。魔力が全くない世界だったら私たちはどうしようもなくなりますね」
「ん」

 魔物の世界なんて考えても分からないし、今わたしたちに出来る事は出てくる魔物を倒すだけである。それは地球でも同じだけどね……地球には魔法少女が居るからまだ良いけど、妖精世界には誰も居ないからやれるのはわたしたちくらいだ。

「そろそろ時間じゃないですか? 大丈夫です?」
「ん。……あ、そうだった」

 この後、地球で会う約束しているんだった。
 ……自分の答え、それも伝えないといけないし。ステッキを一度、スマホ状態にして時間を確認する。まだ大丈夫だけど、今から行った方が良さそうだ。

 余談だが、妖精世界では流石にスマホは繋がらないので、時計はインターネット同期ではない。まあ、そう簡単にずれないので時間確認ついては問題ない。
 流石の魔力さんも、異世界という毛別世界までは適応してないようだ。でも元々は妖精世界のものなのに……。

 そもそもこのスマホがどういう条件で動いているのかわからないけども。

「行ってくる」
「はい。応援してますね」
「ありがとう」

 やることは多い。
 だけど、そもそもどれくらいかかるか分からない妖精世界の再生だ。ゆっくりと、だけど確実に……地道にコツコツやって行けばいずれは目的も達成できるだろう。

 妖精世界だけではなく、地球の魔物も対処しないとね。
 確かに全体的な数は減ったけど、それでもゼロになった訳でない。それに、以前の異常事態に時のように少なくなる傾向になると、何処かでまた異常事態が発生する可能性だって考えられる。

 それが茨城地域なのか、他県なのか……それとも海外なのかは分からない。
 だけど、常に妖精世界も地球も魔物という脅威と隣り合わせだ。魔物という未知な生命体が、やって来てから地球ではもう16年……皆、日常は取り戻しているもののそれでも危険がある。

 何せ魔物は突発的に出現するのだから。
 だから、これから先も魔法少女と魔物の戦いは地球で続くだろうね。もちろん、わたしも……野良ではあるけど魔物を倒す事自体はやめないさ。

 妖精世界の魔物と、地球の魔物……両方に対応しないとね。そしてこの世界の再生も……まだ先は長い。

「うん。まだまだやることはある」

 改めてそれを認識し、わたしは妖精世界化を後にして地球へと向かうのだった。






TS魔法少女リュネール・エトワール! 共通世界END






新たな世界が確認されました。
世界へ移動しますか?

白百合の世界◀
???
???
???
???


決定 キャンセル




『あとがき』
ここまでお読み頂いて本当にありがとうございました。
Twitterでも告知した通り、一度これにて完結となります。
実質的な処女作で、色々と拙い所はあったかと思いますが、生暖かい目で見て下さると幸いです。

なお、まだ回収しきれてない内容が幾つかあるのは認識しております。


一番下にも何やら変なのを書いていたと思いますが、
これより先は分岐します。
今までのものが共通世界という認識で大丈夫です。

なお、ここまで毎日投稿をしていましたが一度本編と言うか共通世界の内容については完結となります。そのため、分岐する先については外伝的続編な感じとなります。

外伝的続編については不定期となります。
本作品も元々は不定期更新でしたが、ここまで書けました!
これも、皆様の応援のおかげです。改めて本当にありがとうございました。

どんな世界に分岐するかは秘密です。
(まあ、一つは既にもう作中でバレてますが)

また、外伝的続編で会えたら嬉しいです。
ここまでありがとうございました。m(_ _)m
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。 異世界パルメディアは、大魔法文明時代。 だが、その時代は崩壊寸前だった。 なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。 マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。 追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。 ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。 世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。 無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。 化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。 そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。 当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。 ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる

家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。 召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。 多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。 しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。 何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。

処理中です...