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04.賢竜帝様は甥っ子のパンツを奪い取る(側近ガトー視点)
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あれから、竜帝様はすぐに属国への訪問を決めた。それについては高官には『感知』によりかの国に不穏なものを感じたためだと説明していた。
そのせいもあったのか、竜帝様の執務室へある方が来訪していた。
「伯父上、先日の挨拶以来ご無沙汰しております」
「ああ、久しいなシユ。今回は何用だ」
竜帝様の弟君の息子にあたる甥っ子様のシユ様。真っ黒い髪に真っ黒い瞳をした精悍な雰囲気の青年は、全てが美の結晶体のような竜帝様には似ていなかった。
シユ様の母であり、弟君の番様は東の大国の龍族の出身であり、かの御方にシユ様は似ているためか親族とはいえあまり似ていないのだろう。
「伯父上様が、フェルカド王国へ調査にいかれるとのことで、もしよろしければあちらの国に留学しておりましたし、かの国を実質現在支配しております公爵家の番が出身ですので私もお力になれるかと思いまして」
「ああ、把握している。ただ、今回の訪問はなんの先入観もなく朕の目で確認したいので一旦は不要だ」
冷たく感じる言い回しだが、童帝、もとい竜帝様は少し拗らせたところのある方なのでわざとそう言う感じでいっているのだと長い付き合いである私には分かった。
かの御方は、配下の前では『朕』といっているが、本来は『俺』という人称であり、たまに言い間違えたりもしているが、それを突っ込むつもりはない。ただ頬袋を膨らませて笑いをこらえていたら、竜帝様に睨まれたり頬袋を潰されたことはある。
「伯父上様、いえ、おじしゃまには番を見つけてしまった僕は不要なのですね」
シユ様はわざとらしく涙目になり、上目遣いで竜帝様を見つめている。その表情に竜帝様が一瞬ビクリと反応したのを私は見落としてはいない。
竜帝様は、1000年番が居ないわけで、それはつまり子供もいない。そのせいか、甥っ子のシユ様をまるで実子のように溺愛されていた。
特に小さな頃は「おじしゃま」と呼ばせて手元で育てたがるほどに大切にしていたのを私は微妙な顔で見ていたし、その時に竜帝様に「目怖っ!!」と何度も罵られたことは忘れていない。
「違う、シユ。おじしゃまはこの国のために今何が起きようとしているか把握しないといけない。本当は俺だって可愛いシユをなめまわ、もとい撫でまわしたいから一緒にいきたいけれどそれではいけないのだ」
何かと戦うようにオオアリクイの威嚇みたいなポーズをとる童帝、もとい竜帝様に、うるうるした目でシユ様が迫る。
「おじしゃまは番が先にできた僕が憎いのですか??あんなに可愛がってくれたのに、もう嫌いですか??」
「違う、断じて可愛いシユを嫌うなんてそんなことはない……んん??」
迫るシユ様に、押されているオオアリクイ童帝様だったが、何か急に難しい顔になる。
「どうしましたか、おじしゃま??」
「シユからかすかだが花のような匂いがしてくる」
「えっ??おじしゃま、匂いがするのですか??」
竜族は番に出会うまで、色々なことが実は制限されているらしい。私も竜帝様も番がいないのでどこまで制限されているか知らないが、有名なのが「匂い」だ。
私も竜帝様も「匂い」を感知できていないらしい。気配という形でそれっぽいものを感じることはあるがそれもとても鈍い。どうやらこれは番と出会い契りを交わせば変わるようだが、私も竜帝様も契りなどかわしていないので本来なら感じるはずがないものだ。
ただ、番と契りを行っていなくても例外として「匂い」を感じることがある。それは番に関連する場合のみその「匂い」を感じるらしい。
「間違いない……くんかくんか、いい匂い、じゃなかった。ここにその匂いがする」
甥っ子の匂いをくんかくんかしている変態童帝もとい変態竜帝様は、よりにもよって股間付近でその動きを止めた。あまりのことに私は頬袋の筋肉が鍛えられてしまう。
「えっ、僕の股間ですか??何故……」
「すまない、シユ、ちょっと大切なことだからパンツを脱いでくれないか??」
「いや、おじしゃま流石に、その、えっとガトーもいますし……」
「ガトーは問題ない。壁のなんか顔っぽく見えるシミだとでも思えばいい。とにかくパンツを脱いでくれ、むしろパンツかもしれない、その場合、パンツがほしい」
真面目な顔で、パンツを要求する竜帝様に、頬袋が決壊しかける。シユ様は真っ赤になりながら首を振る。
「だめです。僕にはもう番もいますし、おじしゃまのことは好きですがそういう好きでは……」
しかし、本能に突き動かされる竜人、しかも竜帝に逆らうことができずシユ様は下半身を剥かれた(意味深)。
そして、変態竜帝様がパンツを強引に奪うと、その中からポロリ、もといコロリと何かが床に落ちた。
「これに間違いない!!」
そのせいもあったのか、竜帝様の執務室へある方が来訪していた。
「伯父上、先日の挨拶以来ご無沙汰しております」
「ああ、久しいなシユ。今回は何用だ」
竜帝様の弟君の息子にあたる甥っ子様のシユ様。真っ黒い髪に真っ黒い瞳をした精悍な雰囲気の青年は、全てが美の結晶体のような竜帝様には似ていなかった。
シユ様の母であり、弟君の番様は東の大国の龍族の出身であり、かの御方にシユ様は似ているためか親族とはいえあまり似ていないのだろう。
「伯父上様が、フェルカド王国へ調査にいかれるとのことで、もしよろしければあちらの国に留学しておりましたし、かの国を実質現在支配しております公爵家の番が出身ですので私もお力になれるかと思いまして」
「ああ、把握している。ただ、今回の訪問はなんの先入観もなく朕の目で確認したいので一旦は不要だ」
冷たく感じる言い回しだが、童帝、もとい竜帝様は少し拗らせたところのある方なのでわざとそう言う感じでいっているのだと長い付き合いである私には分かった。
かの御方は、配下の前では『朕』といっているが、本来は『俺』という人称であり、たまに言い間違えたりもしているが、それを突っ込むつもりはない。ただ頬袋を膨らませて笑いをこらえていたら、竜帝様に睨まれたり頬袋を潰されたことはある。
「伯父上様、いえ、おじしゃまには番を見つけてしまった僕は不要なのですね」
シユ様はわざとらしく涙目になり、上目遣いで竜帝様を見つめている。その表情に竜帝様が一瞬ビクリと反応したのを私は見落としてはいない。
竜帝様は、1000年番が居ないわけで、それはつまり子供もいない。そのせいか、甥っ子のシユ様をまるで実子のように溺愛されていた。
特に小さな頃は「おじしゃま」と呼ばせて手元で育てたがるほどに大切にしていたのを私は微妙な顔で見ていたし、その時に竜帝様に「目怖っ!!」と何度も罵られたことは忘れていない。
「違う、シユ。おじしゃまはこの国のために今何が起きようとしているか把握しないといけない。本当は俺だって可愛いシユをなめまわ、もとい撫でまわしたいから一緒にいきたいけれどそれではいけないのだ」
何かと戦うようにオオアリクイの威嚇みたいなポーズをとる童帝、もとい竜帝様に、うるうるした目でシユ様が迫る。
「おじしゃまは番が先にできた僕が憎いのですか??あんなに可愛がってくれたのに、もう嫌いですか??」
「違う、断じて可愛いシユを嫌うなんてそんなことはない……んん??」
迫るシユ様に、押されているオオアリクイ童帝様だったが、何か急に難しい顔になる。
「どうしましたか、おじしゃま??」
「シユからかすかだが花のような匂いがしてくる」
「えっ??おじしゃま、匂いがするのですか??」
竜族は番に出会うまで、色々なことが実は制限されているらしい。私も竜帝様も番がいないのでどこまで制限されているか知らないが、有名なのが「匂い」だ。
私も竜帝様も「匂い」を感知できていないらしい。気配という形でそれっぽいものを感じることはあるがそれもとても鈍い。どうやらこれは番と出会い契りを交わせば変わるようだが、私も竜帝様も契りなどかわしていないので本来なら感じるはずがないものだ。
ただ、番と契りを行っていなくても例外として「匂い」を感じることがある。それは番に関連する場合のみその「匂い」を感じるらしい。
「間違いない……くんかくんか、いい匂い、じゃなかった。ここにその匂いがする」
甥っ子の匂いをくんかくんかしている変態童帝もとい変態竜帝様は、よりにもよって股間付近でその動きを止めた。あまりのことに私は頬袋の筋肉が鍛えられてしまう。
「えっ、僕の股間ですか??何故……」
「すまない、シユ、ちょっと大切なことだからパンツを脱いでくれないか??」
「いや、おじしゃま流石に、その、えっとガトーもいますし……」
「ガトーは問題ない。壁のなんか顔っぽく見えるシミだとでも思えばいい。とにかくパンツを脱いでくれ、むしろパンツかもしれない、その場合、パンツがほしい」
真面目な顔で、パンツを要求する竜帝様に、頬袋が決壊しかける。シユ様は真っ赤になりながら首を振る。
「だめです。僕にはもう番もいますし、おじしゃまのことは好きですがそういう好きでは……」
しかし、本能に突き動かされる竜人、しかも竜帝に逆らうことができずシユ様は下半身を剥かれた(意味深)。
そして、変態竜帝様がパンツを強引に奪うと、その中からポロリ、もといコロリと何かが床に落ちた。
「これに間違いない!!」
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