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34.薄汚い影武者(ローザ視点(ルーナの妹?視点)
「……どうして捕まらないのよ」
私は苛々しながら近くにあった花瓶を床に投げつけた。ただ、頑丈だったのか生けられた花をと水は零れて散らばったがそれだけで花瓶自体は割れなかった。
「どいつもこいつも本当に無能よ。プルプラも助けてあげたのにあいつを捉えられないなんて!!」
叫んだ私の姿を見て、侍女が怯えた顔をしているけれど別に私は彼女を殴ったりしたわけじゃない。なんだかその態度が気に入らなくなってきていた。
(……本当に、どうして身分の低いヤツはみんな苛々することするのよ。捕まらないアイツなんてお兄様のふりをしていた影武者じゃない)
私がなぜあいつが影武者だと知っているかというと、あいつはお兄様の恰好をしていたが女だったのだ。女なのに、イケメンのフェンリル伯爵令息のノクス様と、同じくイケメンで私の従弟でもあるアルバス様を連れているなんて、しかもあのふたりが明らかに親愛以上の感情を抱いているなんて許せなかった。
(この国でもっとも高貴な女性は私よ。そうなることはずっと伯父様から聞いていたのだから)
私は、野蛮な隣国の血を引く王妃などの血は一滴も継いでいない。けれどあの女は私を娘だと思っていたからそれに便乗して利用だけはしてやった。
私が甘えればあいつはなんでもしてくれた。お兄様と同じくらいは甘やかしていた。
(私が実の娘じゃないとも知らないで本当に滑稽よね)
王国は元々、神様によって作られた国で、私の父はヒアキントス男爵の三男らしい。なんでもヒアキントス男爵の子は男爵を継ぐし、次男である伯父様は国王陛下の信を得るために生涯独身だから、結果爵位を継げず、そのまま平民になる予定だったけれど神様の血を引いた確かな血を持つ私が選ばれたのだった。
生物学的な父である男とは一度もあったことはないけれど、変わり者らしく国境付近の村で自給自足なんかしていたらしいけどいつの間にか失踪したらしい。
この秘密を知るのは、私と伯父様と国王陛下だけ。それ以外は誰も知らない。
「はぁ、早くあの影武者を捕まえて、お兄様の化けの皮を剥いで、そして……私がこの国の女王になるのよ」
今、王国はお兄様と私、どちらが王位を継ぐかで荒れている。お兄様の支持派はお兄様の今までの功績をあげて王位にふさわしいと言っているけど、あれは影武者の功績。お兄様は幼児位無能なんだからそれを知らしめてやりたいのに表向き今は病気療養中となってしまっている。
世論を手っ取り早く変えるためにはあの影武者を連れてくるのが簡単なのに、なぜか野蛮な隣国の皇帝と、その弟が影武者を自身の子だなどと意味のわからないことを言って引き渡さないのも腹立たしい。
なんだか苛々してきたので壊れそうな水の入ったグラスを持ち上げた時だった。
「ローザ殿下」
護衛騎士のひとりが血相を変えてやってきた。こいつは顔はいいけどいまいちマナーが足りないから解雇するか迷っていた男だった。
「何かあったの??」
「それが……ダプネー公爵様が突然国王陛下に謁見して意味の分からないことを言い出しまして……」
要領を得ない言葉に首をかしげる。ダプネー公爵とは頭のおかしいじじいだ。私が生まれた時、なぜかひとりだけ私への祝福を断った。
本来なら咎められるべきだが、ダプネー公爵は国王陛下が国王になるための後ろ盾になった人物でもあり、唯一国王陛下も頭の上がらない人物だった。
しかし、もうとんでもない年寄りで最近は色々徘徊していると聞いていた。それが突然、お父様になんの用だというのだろう。
「何をあの人が言ったのかしら??」
「その……王女様は偽物で、ダプネー公爵が連れてきた若者が王子だというのです」
「ハッ??」
意味の分からない言葉に変な声が出た。確かに私は王家の娘では本当はない。けれど、私と入れ替えになった王家の子は殺されたはずだ。だから、ダプネー公爵が連れてきたそいつも偽物で間違いない。
なんにせよ耄碌したじじいの話など誰も信じないだろう。それよりも今の私には大切なことがあった。
「全く、あの方は何がしたいのか……。それより、薄汚い影武者を連れてくる方が先決だわ、帝国に影を差し向けなさい」
私は苛々しながら近くにあった花瓶を床に投げつけた。ただ、頑丈だったのか生けられた花をと水は零れて散らばったがそれだけで花瓶自体は割れなかった。
「どいつもこいつも本当に無能よ。プルプラも助けてあげたのにあいつを捉えられないなんて!!」
叫んだ私の姿を見て、侍女が怯えた顔をしているけれど別に私は彼女を殴ったりしたわけじゃない。なんだかその態度が気に入らなくなってきていた。
(……本当に、どうして身分の低いヤツはみんな苛々することするのよ。捕まらないアイツなんてお兄様のふりをしていた影武者じゃない)
私がなぜあいつが影武者だと知っているかというと、あいつはお兄様の恰好をしていたが女だったのだ。女なのに、イケメンのフェンリル伯爵令息のノクス様と、同じくイケメンで私の従弟でもあるアルバス様を連れているなんて、しかもあのふたりが明らかに親愛以上の感情を抱いているなんて許せなかった。
(この国でもっとも高貴な女性は私よ。そうなることはずっと伯父様から聞いていたのだから)
私は、野蛮な隣国の血を引く王妃などの血は一滴も継いでいない。けれどあの女は私を娘だと思っていたからそれに便乗して利用だけはしてやった。
私が甘えればあいつはなんでもしてくれた。お兄様と同じくらいは甘やかしていた。
(私が実の娘じゃないとも知らないで本当に滑稽よね)
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この秘密を知るのは、私と伯父様と国王陛下だけ。それ以外は誰も知らない。
「はぁ、早くあの影武者を捕まえて、お兄様の化けの皮を剥いで、そして……私がこの国の女王になるのよ」
今、王国はお兄様と私、どちらが王位を継ぐかで荒れている。お兄様の支持派はお兄様の今までの功績をあげて王位にふさわしいと言っているけど、あれは影武者の功績。お兄様は幼児位無能なんだからそれを知らしめてやりたいのに表向き今は病気療養中となってしまっている。
世論を手っ取り早く変えるためにはあの影武者を連れてくるのが簡単なのに、なぜか野蛮な隣国の皇帝と、その弟が影武者を自身の子だなどと意味のわからないことを言って引き渡さないのも腹立たしい。
なんだか苛々してきたので壊れそうな水の入ったグラスを持ち上げた時だった。
「ローザ殿下」
護衛騎士のひとりが血相を変えてやってきた。こいつは顔はいいけどいまいちマナーが足りないから解雇するか迷っていた男だった。
「何かあったの??」
「それが……ダプネー公爵様が突然国王陛下に謁見して意味の分からないことを言い出しまして……」
要領を得ない言葉に首をかしげる。ダプネー公爵とは頭のおかしいじじいだ。私が生まれた時、なぜかひとりだけ私への祝福を断った。
本来なら咎められるべきだが、ダプネー公爵は国王陛下が国王になるための後ろ盾になった人物でもあり、唯一国王陛下も頭の上がらない人物だった。
しかし、もうとんでもない年寄りで最近は色々徘徊していると聞いていた。それが突然、お父様になんの用だというのだろう。
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「その……王女様は偽物で、ダプネー公爵が連れてきた若者が王子だというのです」
「ハッ??」
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