雨ニモマケヌ、野ニ咲ク花ノヨウニ〜魅了魔法で全てを失った元王子の拙者は前世推しに貢いで爆ぜたアイドルオタクだと思い出した

ひよこ麺

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59:深愛(レオンハルト視点)※時間が少し遡ります

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ドン!!

大きな爆音と共に空間が揺らいだ気がした。

目を閉じる、そのまま死ぬと思った体はしかし、痛みを感じるままで痛みから解放されることはなかった。ゆっくりと目を開くとそこに居るはずのない人物の幻影が見えた。

いや、幻影ではない。これは多分、私が主、アンドレイ様から持たされた竜玉の力により投影されている映像に間違いない。

以前、アンドレイ様から竜玉の緊急システムについて説明されていたので合点がいった。

「アンドレイ様……」

『レオンハルト。僕はお前を誰よりも信じている。だから間違っても死ぬような選択は選ぶな』

凛と言い放つ姿はとても勇ましく美しい人なのだが、私はだけは知っている。

この人はあれだけルシオン殿下には甘い言葉を囁き、変態的な溺愛をする癖に、自分の恋愛についてはツンデレしてしまい初心すぎるということを。

だから、こんな風に私のために今やってきてくれたことがとても嬉しくてたまらない。だってこの人は普段は恥ずかしがって私に対して仕事以外で『信じている』とか『愛している』とか言えない人なのだから。

『……胸に穴をあけてなんでニコニコしている』

「いいえ。あまりにも貴方が可愛い人だなと思いまして」

その言葉にアンドレイ様のお顔が、赤く染まっていき、プイっとそっぽを向いてしまった。

あまりの可愛さに、いままでは、死ぬかもしれないと色々諦めていたが、こんなデカくて可愛い、でっかわいい人を残して死ぬなんて絶対に出来ないと改めて思ったし、恥じらってツンツンしている仮面を早急に剥いで泣かせたくなってきたので何とかここを切り抜けねばと強く心に誓った。

『……そういう減らず口は、ここから逃げおおせて僕のところに帰って来てから言え。まだ、騎士団の転送には時間がかかる。今、無理やり竜玉の緊急機能で遠隔的に爆撃したが、ギムレット、マティーニ、いや、レインとマティーニのふたりはお前ほどでは本来ないがふたりいることで相当厄介な魔法使いだからな』

「ええ。確かにひとりでは厄介です。けれど今はアンドレイ様とふたりです。あちらもマティーニは手負いですから条件が同じになりましたし、問題ないかと」

『……ふたりではない。僕は竜の血筋のものだ。例え遠隔でも通常の人間の倍近くの力を貸せるが、可愛い可愛いルシオンに今ドアストッパーという任務を任されているから一気にふたつのタスクをこなさないといけないので……あ、やばい、クソ、ちょっと力を使いすぎて中への侵入を許してしまったか……可愛いルシオン、ああ、また尻の中に戻ったらちゃんと頑張るから許しておくれ』

力が倍でふたつのタスクをこなしているのなら、半々に力が分散されるので、結局ふたりで正解なのではと、思ったがそれを口にするとこの人はいじけてしまうので一旦言わずに、その代わりに現状を再度確認する。

今の強引な攻撃のおかげで私を殺そうとしたマティーニは地面に伏している、そしてこちらを睨むように様子を伺っているレイン様。

レイン様の目には、アンドレイ様は見えていないので多分突然謎の爆発をした状態に見えていて、しかも、それが私の魔法だと考えている可能性が非常に高いと思われる。

(彼らは竜玉の存在もどれほど万能か知らないだろうし、アンドレイ様から預かってから私が股間に肌身離さず被せて、正確には竜玉に挿れて持ち歩いているということを知るはずないだろう……)

『竜玉はあくまで挿入するものであり、間違えても挿入されるものじゃない』

頭の中で考えていたことにとっても不服そうに答えたアンドレイ様だったが、私はそれをスルーする。

(アンドレイ様、今の膠着状態もそこまで長くは持ちません。ちなみに転送には後どれくらかかりそうですか??)

『3分だ』

考えていたより短い時間にほくそ笑む。

「なら……なんとかやり遂げますよ」

(ああ。そうでなくては。ただ、お前は今、回復魔法にリソースを食っている。その状態では逃げるのが精いっぱいだろう??なので僕が遠隔で爆撃をして陽動する)

アンドレイ様は並外れた怪力を持ってはいるが魔法は一切使えない。なので直接竜玉から転送で物理的に爆撃をしてくれるということだ。

(承知しました)

『……必ず、僕の元へ帰れ。これは上官としての命令だ。そう、あくまで命令だからな!!』


「本当にどうして、私の愛する人が素直になれないかをベットでみっちりしっかり聞かないといけませんね」

体が今まで感じたことのないほど痛む。心臓に穴が開いているのだから当たり前だがそれでも私は愛する人のためならその痛みに耐えることができた。

そして、愛する人のために死ぬことは簡単だけれど、愛する人のために生きることの方が難しいのだと身をもって知った。

「なに独り言を言ってるの、死に直面して幻覚でもみてるのかな。まぁ、関係ないけど。マティーニ」

「ええ。安心してください。先ほどは突然で対応できませんでしたが、私がこの男を仕留めます」

いつの間にか立ち上がったマティーニと視線が合った。

(やるしかない、いや、やり切って見せよう)
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