雨ニモマケヌ、野ニ咲ク花ノヨウニ〜魅了魔法で全てを失った元王子の拙者は前世推しに貢いで爆ぜたアイドルオタクだと思い出した

ひよこ麺

文字の大きさ
66 / 74

63:謎の人物と高速で現れたヤンデレ

しおりを挟む
「えっ??だ、誰かいるでござるか??レイ??」

しかし、誰も答えない。代わりに1枚の紙が差し込まれた。

『レオンハルトです。声を出すと小公爵様に気付かれますのでメモで失礼します』

という返事が書かれていた。

しかし、そのメモに拙者は不信感を抱いた。何故ならその文字はこの国の言葉ではなく前世の日本語で書かれていたからだ。

レオンハルト殿も転生者という可能性もあるが、その場合、叔父上からなんらかの説明はあるはずだし、拙者自身が転生者であるということを明かしていない以上、この文字を使うというのはありえない。

ちなみに、この国の言語は英語に近く、綴り方はローマ字である。つまりローマ字表記なので前世を思い出す前から親和性が高かったのを記憶している。

(しかし、今謎の人物が拙者と厠のドアを隔てて向かいあっているということでござろう、怖すぎるのだが??)

そう考えると差し出された椿油も使用するのは良くない気がしてきた。拙者は知っている。薄い本とかで美少年がそういうよく分からない薬を使えば、確実に破廉恥な展開となるということを。

(そう、エロ同人みたいに、エロ同人みたいに今の美少年の皮を被っている拙者はなんかされる)

『安心してください。俺の好みはルシオン殿下ではないのでそれは本当にただの潤滑油です』

拙者はまた無意識に独り言を話していたらしく、追加でメモが送られてきた。しかも地味になんだろう傷つくタイプのメモだった。

美少年に転生して、前世の記憶が蘇ってから周りが割と好意的、いや、一部ものすごい怖いご仁もいたが割と好意的だったので丁重に断られるショックが地味にきていた。

ただ、この傷ついたのは無駄ではなかった。このメモの人物は間違いなくレオンハルト殿ではない。彼の一人称は『私』であり、主である叔父上の甥っ子の拙者にそんな口調で話したりしないのだ。

とはいっても、この厠の扉を隔てた先にいるご仁は何故、レオンハルト殿になりすましているのか。そして、何故日本語で話しかけてきたのか。

そこまで考えて、拙者は敢えてバカのふりをしてみることにした。

「レオンハルト殿、どうして厠までついてきたでござるか??」

わざと大きめの声で、そう叫んでみた。相手は音を立てないようにしていたのだからそんなことされたらひとたまりもないはずだ。理由はよく分からないと思っていたが、その理由はすぐに明らかになる。

「ルシオン!!誰だ!!ルシオンと『浮気』をしようとするクソムシは!!もれなく殺す!!生きていることを公開させる!!コロスくぁwせdrftgyふじこlp!!」

あまりに興奮して小泉構文からふじこと化したレイが厠の扉を明らかにぶち壊して入ってきた音がした。

そして、すぐに個室の扉もぶち破ってレイが侵入してきた。

「大丈夫かい、ルシオン。ああ、誰だ、ルシオンの可愛いルシオンを剥き出しにさせたのは!!」

レイの言葉に厠の個室故、またズボンを下ろしていたことを思い出した。

「いや、レイ、ここは厠で今その、排泄をしていたのでズボンを下ろしていたのでござるよ」

その言葉に血走っていた目が、いつもの穏やかなものに戻った。そして、その代わり、レイの白い肌が赤く染まるのが分かった。

「そうだ、ここはトイレだった。すまない。その、ルシオンの声が聞こえて……」

「問題ないでござるよ。それより、レイが入ってきた時誰かいなかったでござるか??誰かがこれを拙者に渡してきたでござるよ」

そう言って、2枚のメモを見せるとレイは難しい表情になる。

「これはどこの言語だ……しかし、それでもこれが可愛いルシオンにクソムシが懸想して書いたものに違いない」

まさか、完全に好みじゃないと否定されているとはレイは思っていないらしい。そして、やはりレイの反応が普通だと気付いた時、突然聞き覚えのない声が聞こえてきた。

「うわぁ、嘘、本物の小公爵様!!うほっいい男」

というなんだか聞き覚えのある声が聞こえて来た。正確にはこの世界に来てから聞いたことはないが前世の拙者はいやというほどの聞いたことのあるその声。

「まさか、貴殿は……」
しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

ギルド職員は高ランク冒険者の執愛に気づかない

Ayari(橋本彩里)
BL
王都東支部の冒険者ギルド職員として働いているノアは、本部ギルドの嫌がらせに腹を立て飲みすぎ、酔った勢いで見知らぬ男性と夜をともにしてしまう。 かなり戸惑ったが、一夜限りだし相手もそう望んでいるだろうと挨拶もせずその場を後にした。 後日、一夜の相手が有名な高ランク冒険者パーティの一人、美貌の魔剣士ブラムウェルだと知る。 群れることを嫌い他者を寄せ付けないと噂されるブラムウェルだがノアには態度が違って…… 冷淡冒険者(ノア限定で世話焼き甘えた)とマイペースギルド職員、周囲の思惑や過去が交差する。 表紙は友人絵師kouma.作です♪

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

ユキ・シオン

那月
BL
人間の姿をした、人間ではないもの。 成長過程で動物から人間に変わってしまう”擬人化種”の白猫青年と、16歳年上のオッサンとのお話。 出会ったのは猫カフェ。白猫従業員としての青年と客としてやってきたオッサン。 次に再会したのは青年が人間として通う大学。オッサンは保健室の先生だった。 青年が金のためにヤバいことをしていて、あるトラブルが起こる。 そこへ見計らったかのようにオッサンが飛び込んで救出したのをきっかけに2人の距離は縮まり…… ※表紙絵は自作。本編は進むにつれてどんどん動物園と化します(笑)

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

【完結】みにくい勇者の子

バナナ男さん
BL
ある田舎町で農夫をしている平凡なおっさんである< ムギ >は、嫁なし!金なし!の寂しい生活を送っていた。 そんなある日、【 光の勇者様 】と呼ばれる英雄が、村の領主様に突然就任する事が決まり、村人達は総出で歓迎の準備をする事に。 初めて会うはずの光の勇者様。 しかし、何故かムギと目が合った瞬間、突然の暴挙に……?     光の勇者様 ✕ 農夫おっさんのムギです。  攻めはヤンデレ、暴走ロケット、意味不明。 受けは不憫受け(?)だと思いますので、ご注意下さい。ノリよくサクッと終わりますm(__)m 頭空っぽにして読んで頂けると嬉しいです。

処理中です...