62 / 68
58.社畜サラリーマンはいまだ癒えない傷に触れる
しおりを挟む
「いやだぁああああ、兄さーん!!」
悲鳴とどこか快楽が混ざり合った声を上げながら志鶯はルアクに無事連れていかれた。
志鶯とは、元の世界では色々ありあまり得意ではなかったが、こちらの世界に来てあの事件以降は少し関係は氷解してきていた。
結局、志鶯も親に振り回された被害者であるということが分かり、以前ほどの拒絶反応はなくなっている。だからといってべったりとした関係を築きたい訳ではないから、丁度今くらい距離感で接していければよいなと考えている。
「志鶯がルアクと結婚するならお祝してあげたいな」
ボソっと呟いた私の体を大きなもの、竜帝陛下が後ろから抱きしめた。
「シヅル、他を祝う前にまずはふたりの結婚式を成功させねばならないだろう??」
後ろを振り向くように首を傾ければ、竜帝陛下が少し拗ねたような顔をしている。その少し子供っぽい仕草が何故かいとおしくて私は少し笑いながら、
「……ええ、もちろん」
と答えれば、すぐにいつもの嬉しそうな顔に変わる。この人はそれこそ私と比べたら途方もない歳月を生きているのにこういう風に素直に愛情を表現してくれるところが愛おしいと最近は感じる。
(私はまだ、素直になれないから……)
「まずは全裸ウェディングを阻止しないと……もっと私好みに……」
「ああ、シヅルが望むなら余は伝統も打ち壊す覚悟があるぞ」
そう言った竜帝陛下が後ろから首を伸ばして私に口づけをしようとしたとき、置物のようにおとなしくしていたヘイズが声を上げた。
「あの……お取込み中に申し訳ございませんが、私の話がまだ途中だったことお忘れではありませんか??」
「ああ、そうだったな。てっきり、先ほどの異世界人の話かと思ったがちがったのか??」
竜帝陛下が私への甘さとは対照的な冷めた態度でそう答えると、ヘイズはそれを慣れた様子で無視しながら言った。
「……リュカ殿下が正気に戻られたそうで、番様と異世界人様のおふたりに謝罪をしたいとおっしゃっているそうなのですが、こちらいかがいたしますか??」
その名前に、体がビクリと震えた。
すっかり忘れたつもりでいたが、無理やり召喚されて痛めつけられた記憶と、ルゼルの時の意味もなく嫌われたまま殺られた記憶がよみがえる。
「……シヅル、無理に謝罪を受ける必要はない。たとえ洗脳されていたとはいえ、シヅルとルゼルが余の愛おしい番が受けた痛みが消えるわけではない」
「……その件についてはすぐに回答が難しいので少し考えさせてください」
悲鳴とどこか快楽が混ざり合った声を上げながら志鶯はルアクに無事連れていかれた。
志鶯とは、元の世界では色々ありあまり得意ではなかったが、こちらの世界に来てあの事件以降は少し関係は氷解してきていた。
結局、志鶯も親に振り回された被害者であるということが分かり、以前ほどの拒絶反応はなくなっている。だからといってべったりとした関係を築きたい訳ではないから、丁度今くらい距離感で接していければよいなと考えている。
「志鶯がルアクと結婚するならお祝してあげたいな」
ボソっと呟いた私の体を大きなもの、竜帝陛下が後ろから抱きしめた。
「シヅル、他を祝う前にまずはふたりの結婚式を成功させねばならないだろう??」
後ろを振り向くように首を傾ければ、竜帝陛下が少し拗ねたような顔をしている。その少し子供っぽい仕草が何故かいとおしくて私は少し笑いながら、
「……ええ、もちろん」
と答えれば、すぐにいつもの嬉しそうな顔に変わる。この人はそれこそ私と比べたら途方もない歳月を生きているのにこういう風に素直に愛情を表現してくれるところが愛おしいと最近は感じる。
(私はまだ、素直になれないから……)
「まずは全裸ウェディングを阻止しないと……もっと私好みに……」
「ああ、シヅルが望むなら余は伝統も打ち壊す覚悟があるぞ」
そう言った竜帝陛下が後ろから首を伸ばして私に口づけをしようとしたとき、置物のようにおとなしくしていたヘイズが声を上げた。
「あの……お取込み中に申し訳ございませんが、私の話がまだ途中だったことお忘れではありませんか??」
「ああ、そうだったな。てっきり、先ほどの異世界人の話かと思ったがちがったのか??」
竜帝陛下が私への甘さとは対照的な冷めた態度でそう答えると、ヘイズはそれを慣れた様子で無視しながら言った。
「……リュカ殿下が正気に戻られたそうで、番様と異世界人様のおふたりに謝罪をしたいとおっしゃっているそうなのですが、こちらいかがいたしますか??」
その名前に、体がビクリと震えた。
すっかり忘れたつもりでいたが、無理やり召喚されて痛めつけられた記憶と、ルゼルの時の意味もなく嫌われたまま殺られた記憶がよみがえる。
「……シヅル、無理に謝罪を受ける必要はない。たとえ洗脳されていたとはいえ、シヅルとルゼルが余の愛おしい番が受けた痛みが消えるわけではない」
「……その件についてはすぐに回答が難しいので少し考えさせてください」
77
あなたにおすすめの小説
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡
なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。
あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。
♡♡♡
恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話
八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。
古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる