3 / 38
3
しおりを挟む
朝食を済ませた後一度部屋に戻ったが、部屋にいても特にすることもないので、お世話係さんに案内してもらいつつ邸宅内を見て回ることにした。
昨日からルイ様とお会いしている部屋が広間で、廊下の突き当たりがルイ様の書斎。
「ここがキッチンです」
1階の端の扉。
やっぱり普通のキッチンと違うのだろうか。
「お邪魔しま~……した」
ドキドキしつつ扉を開け、そしてそっと閉める。
「どうされました?」
「いや、なんかすっごいガタイのいい、いかにも魔物です!みたいな人?が!牙も角もあったし……」
「調理係の方ですね。
見た目はいかにもって感じですが、物静かで心優しくてとても働き者ですよ」
確かに、見た目だけで決めつけちゃうのは良くない。
私は意を決して再びキッチンの扉を開ける。
「……こんにちは」
控えめに挨拶をしてみると、調理係さんは私を見た後軽く頭を下げた。そして作業に戻る。
すごい。手際良い……。
「朝食、とても美味しかったです。ありがとうございます」
今度はこちらを見て嬉しそうな顔をすると、1度頷いてみせた。
なんか可愛いかも……。
邪魔をしないように軽く見回した後、キッチンを後にする。
「他にもここに住んでる人はいるんですか?」
「いえ、邸宅内は私と、調理係の方と、昨日サラ様をここまで連れてきた護衛の方のみですね。
ほとんどがこの邸宅ではなく、森の各々が暮らしやすい場所で生活しています」
「そうなんですね。じゃあ外にも行ってみようかな」
「はい。護衛の方をお連れしますので、少々お待ちください」
すぐに戻ってきた護衛さんとお世話係さんと一緒に外に出る。
このふたりをみて、魔物って意外と怖くないんだという勝手なイメージが着いてしまっていたけど、調理係の人はしっかり魔物感にあふれてて見た目は怖かったし、外でどんな子たちが暮らしているのか気になる。
「待って待って待って。何!?」
邸宅から出て数歩、いきなり目の前に真っ黒のでっかい一つ目の幼虫みたいなやつが現れた。
「昨日村から来た子だ~」
「喋った!」
「ご主人様の結界内では魔物との意思疎通が可能です」
そういえばパッと見は人だから気にならなかったけど、お世話係さんも普通に話してるし、護衛の人も話してたな。
「ちなみに、見た目こそちょっと怖いですが、草食なのでご安心ください」
あ、そんな普通の動物と同じ感じなんだ……。
みんな人間を食べるのかと思っていた。
ほんと魔物の世界のこと全然知らないな、私。
「こんにちは……、サラです」
「よろしく~。怖がらせてごめんね」
「いえ、大丈夫です!
あの、触ってみてもいいですか……?」
「どうぞ~」
お腹の白い部分はふわふわしてそうで、好奇心から触らせてもらうことにした。
「すっごい!もちもち!え、お肌すべすべのもちもちですね!?」
私の肌なんかゴワゴワなのに……。
魔物といえど侮れないな。
「んふふ、ありがとう~」
喋り方可愛いし触り心地良いし、見た目を除けばとても良い魔物ちゃんだ。
「あ、人間」
「うわぁぁぁっ!」
蜘蛛だ!無理!!幼虫より無理!!
咄嗟にでかい幼虫さんの後ろに隠れる。
あっ、幼虫さんでかいけど草食ってことは、この蜘蛛が何食べるかによっては負ける……?
「大丈夫ですよ、サラ様。
見た目こそちょっとアレですが、雑食です」
「それは大丈夫では無い気がしますが……」
「安心して。人間は食べない」
「基本的にその辺の果物とか食べてますね」
「よかった……」
「サラ様、西にある湖の方に行きますか?
水辺に住んでるものの方が、見た目はアレでないものが多いです」
「ではそちらの方に……」
幼虫さんと蜘蛛さんとお別れして、お手伝いさんと護衛さんの後ろを着いていく。
「うわぁ、綺麗な人…じゃないや、魔物だ」
髪が長くて、顔立ちははっきりしていて美しく、上半身は人間、下半身は魚のような魔物。
「はい。あちらの魔物たちは、見た目こそ綺麗ですが、肉食です。人間は好物です」
「えっ、怖」
「ちなみに奥にある花畑の花、あれはほとんど人食花です。まあ小さい花たちなのでちょっと肉が削れる程度ですが」
「……ここは地獄ですか?」
というか、ちょっと肉が削れる程度って何?
髪の毛一本くらいのノリで言ってるけど、絶対そんなの重症だよ?
「サラ様はご主人様のお客様なので恐らく大丈夫ですが、念の為おひとりで湖には来ない方がよろしいかと」
言われなくても恐ろしくてひとりでなんか出かけられない。
今日学んだことは、魔物は見かけによらないってことだな。
「そういえば、お世話係さんは人間と同じ食事をしていると聞きましたが、護衛さんと調理係さんは、何を食べて生活しているんですか?」
「ご主人様の魔力を頂いております」
護衛さんが答えてくれる。
「魔力を食糧にする魔物もいるんですね。なるほど、だからルイ様のもとで働いてるんですね」
「はい」
「ちなみに、お世話係さんはどんな料理がお好きですか?」
「なんでも好きですが、強いて言うなら肉料理でしょうか」
……やっぱり肉食だった。
昨日からルイ様とお会いしている部屋が広間で、廊下の突き当たりがルイ様の書斎。
「ここがキッチンです」
1階の端の扉。
やっぱり普通のキッチンと違うのだろうか。
「お邪魔しま~……した」
ドキドキしつつ扉を開け、そしてそっと閉める。
「どうされました?」
「いや、なんかすっごいガタイのいい、いかにも魔物です!みたいな人?が!牙も角もあったし……」
「調理係の方ですね。
見た目はいかにもって感じですが、物静かで心優しくてとても働き者ですよ」
確かに、見た目だけで決めつけちゃうのは良くない。
私は意を決して再びキッチンの扉を開ける。
「……こんにちは」
控えめに挨拶をしてみると、調理係さんは私を見た後軽く頭を下げた。そして作業に戻る。
すごい。手際良い……。
「朝食、とても美味しかったです。ありがとうございます」
今度はこちらを見て嬉しそうな顔をすると、1度頷いてみせた。
なんか可愛いかも……。
邪魔をしないように軽く見回した後、キッチンを後にする。
「他にもここに住んでる人はいるんですか?」
「いえ、邸宅内は私と、調理係の方と、昨日サラ様をここまで連れてきた護衛の方のみですね。
ほとんどがこの邸宅ではなく、森の各々が暮らしやすい場所で生活しています」
「そうなんですね。じゃあ外にも行ってみようかな」
「はい。護衛の方をお連れしますので、少々お待ちください」
すぐに戻ってきた護衛さんとお世話係さんと一緒に外に出る。
このふたりをみて、魔物って意外と怖くないんだという勝手なイメージが着いてしまっていたけど、調理係の人はしっかり魔物感にあふれてて見た目は怖かったし、外でどんな子たちが暮らしているのか気になる。
「待って待って待って。何!?」
邸宅から出て数歩、いきなり目の前に真っ黒のでっかい一つ目の幼虫みたいなやつが現れた。
「昨日村から来た子だ~」
「喋った!」
「ご主人様の結界内では魔物との意思疎通が可能です」
そういえばパッと見は人だから気にならなかったけど、お世話係さんも普通に話してるし、護衛の人も話してたな。
「ちなみに、見た目こそちょっと怖いですが、草食なのでご安心ください」
あ、そんな普通の動物と同じ感じなんだ……。
みんな人間を食べるのかと思っていた。
ほんと魔物の世界のこと全然知らないな、私。
「こんにちは……、サラです」
「よろしく~。怖がらせてごめんね」
「いえ、大丈夫です!
あの、触ってみてもいいですか……?」
「どうぞ~」
お腹の白い部分はふわふわしてそうで、好奇心から触らせてもらうことにした。
「すっごい!もちもち!え、お肌すべすべのもちもちですね!?」
私の肌なんかゴワゴワなのに……。
魔物といえど侮れないな。
「んふふ、ありがとう~」
喋り方可愛いし触り心地良いし、見た目を除けばとても良い魔物ちゃんだ。
「あ、人間」
「うわぁぁぁっ!」
蜘蛛だ!無理!!幼虫より無理!!
咄嗟にでかい幼虫さんの後ろに隠れる。
あっ、幼虫さんでかいけど草食ってことは、この蜘蛛が何食べるかによっては負ける……?
「大丈夫ですよ、サラ様。
見た目こそちょっとアレですが、雑食です」
「それは大丈夫では無い気がしますが……」
「安心して。人間は食べない」
「基本的にその辺の果物とか食べてますね」
「よかった……」
「サラ様、西にある湖の方に行きますか?
水辺に住んでるものの方が、見た目はアレでないものが多いです」
「ではそちらの方に……」
幼虫さんと蜘蛛さんとお別れして、お手伝いさんと護衛さんの後ろを着いていく。
「うわぁ、綺麗な人…じゃないや、魔物だ」
髪が長くて、顔立ちははっきりしていて美しく、上半身は人間、下半身は魚のような魔物。
「はい。あちらの魔物たちは、見た目こそ綺麗ですが、肉食です。人間は好物です」
「えっ、怖」
「ちなみに奥にある花畑の花、あれはほとんど人食花です。まあ小さい花たちなのでちょっと肉が削れる程度ですが」
「……ここは地獄ですか?」
というか、ちょっと肉が削れる程度って何?
髪の毛一本くらいのノリで言ってるけど、絶対そんなの重症だよ?
「サラ様はご主人様のお客様なので恐らく大丈夫ですが、念の為おひとりで湖には来ない方がよろしいかと」
言われなくても恐ろしくてひとりでなんか出かけられない。
今日学んだことは、魔物は見かけによらないってことだな。
「そういえば、お世話係さんは人間と同じ食事をしていると聞きましたが、護衛さんと調理係さんは、何を食べて生活しているんですか?」
「ご主人様の魔力を頂いております」
護衛さんが答えてくれる。
「魔力を食糧にする魔物もいるんですね。なるほど、だからルイ様のもとで働いてるんですね」
「はい」
「ちなみに、お世話係さんはどんな料理がお好きですか?」
「なんでも好きですが、強いて言うなら肉料理でしょうか」
……やっぱり肉食だった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
4
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる